所在地:伊豆市修善寺 (旧)田方郡修善寺町

温泉名:修善寺温泉
施設名:菊屋 (入浴:2004.1.5)
修善寺温泉菊屋 (静岡県)
修善寺は源氏の悲劇の舞台である。
鎌倉幕府は源頼朝の開府、1192年から最後の執権・北条高時までの1333年まで続くが、頼朝直系の支配はわずか3代(頼朝、頼家、実朝)で終焉した。これは一族の内紛と執権北条時政との権力争いによるものだ。
弟・義経は奥州で殺害、同じく弟の範頼は修禅寺に幽閉され、その後殺害された。さらに子供の二代・頼家も執権・北条時正に退位させられた後、修善寺で殺害される。三代・実朝は、その頼家の子供によって鎌倉・鶴岡八幡宮によって暗殺され、北条氏の執権政治に引き継がれた。
明治41年、岡本綺堂が修善寺を訪れた際、作者不明の古い伎楽面を見て、
頼家の悲劇を題材とする戯曲「修善寺物語」を創作し、明治44年東京明治座で2世市川左団次の夜叉王にて初演された。
高校2年生のとき、文芸部の仲間と共に、川端康成の「伊豆の踊り子」やこの「修善寺物語」をテーマに、修善寺から天城峠までの道を歩いた。夏休み、手ぬぐいで汗を拭きながら歩いた炎天下の天城路を、今回は車であっという間に通り過ぎた。
(旧)修善寺町は、静岡県東部、伊豆半島のやや北部にあって、田方郡の中央部に位置し、東西16.5キロメートル、南北8.1キロメートルのやや細長い菱形をなしている。町内の大部分は天城・巣雲・達磨山系に囲まれた丘陵で占められ70パーセントが山林原野となっている。町のほぼ中央を、伊豆半島最大の狩野川が蛇行しながら北流、町の北西部一帯は富士箱根伊豆国立公園地域となっているため、風光明媚な保養地となっている。
現役時代、東京駅から品川駅の間で、よく「伊豆の踊り子号」という電車を見かけた。JR東海道線三島駅から伊豆箱根鉄道に乗り入れて修善寺に直通で至る。
当時は、あの電車に乗って修善寺温泉に行きたいな、と羨望の目でそれを見送った。今回は車で行ったが、近いうちにこの夢を実現したいと思っている。
修善寺温泉の中央に、弘法大師子(空海)を開祖とする「修禅寺」がある。重文の大日如来坐像が安置されている本堂、その手前にある宝物殿には岡本綺堂がそれを見て発想した「修禅寺物語」の伎楽面が保管されている。
熱海温泉から伊豆半島東側を縦断し、3時前に修善寺温泉に到着したが、チェックイン前に修禅寺を参詣、それから温泉地のシンボル・独鈷(とっこ)の湯を観光した。昨年夏、大水のために被害にあい、新しい上屋が完成していたが、同時に入浴が不可になったと地元の人に聞いた。
翌朝、出発前に北条正子が、実子でありこの地において殺害された鎌倉幕府二代将軍頼家の冥福を祈って建立した指月殿を拝観、それから川に沿った清々しい「竹林の小径」を散策した。
先述の岡本綺堂のほか、夏目漱石、芥川龍之介など多くの文人がこの温泉に魅了され滞在した。また、皇室・政治家もここを度々訪れている。これらの歴史・文化を背景に、桂川に沿って立つ低層・木造の歴史ある25軒の和風旅館や六つの橋等が温泉情緒を一層高め、近くの熱海温泉や伊東温泉では味わえない雰囲気を醸し出している。

日帰り入浴は10ヶ所以上の旅館で可能、専用施設としては、外湯を復活させた「筥湯」の他、「湯の里村」「修善寺スパラシオ」がある。
修善寺温泉には、日本を代表する名旅館が複数ある。創業300年余の「あさば」や大浴場が国の登録有形文化財である「新井旅館」だ。明治元年創業「菊屋」も、日本情緒タップリの和風旅館だ。かって皇室や乃木大将が滞在し、夏目漱石も胃潰瘍の療養に2ヶ月間、ここで湯治を行っている。5千坪の敷地内に、木造二階の建物が池を取り囲むようにして建てられている。玄関から桂川を跨ぐ廊下を渡って宿泊棟温泉棟に移るが、公共スペースはどこも広々として、部屋数がわずか28室と少ないこともあってすれ違う人はほとんどない。部屋は豪華ではないが落ち着ける純和風の8畳、BT付き(2万円 税別・サ込み)で、窓からは鯉が泳ぐ中庭を望む。食事は手をかけた懐石の部屋食だった。
風呂は、男女別の内湯と露天風呂で接続はしておらず離れた場所にある。
内湯が深夜に男女が入れ替わるが、一つはかなり広く、湯舟が石の橋で二つに仕切られている。湯は透明なアルカリ性単純温泉だが、露天風呂の湯の方がヌメリ感があって、こちらのほうに源泉が使われているのかもしれない。(推定)
修禅寺に愛犬も参詣
桂川の河原にある弘法大師ゆかりの
「独鈷(とっこ)の湯」(入浴禁止)
竹林の小径
旅館菊屋
堂々たる玄関
華やかな先付け
例によって湯気で上手く撮れない内湯
裏山を望むかなり広い露天風呂
チェックインは「帳場」の看板がjかかるここで
上下は館内風景
老舗らしく様々なサイズの下駄が取り揃えてある
桂川沿いの小さな和風旅館
平成18年8月経営が変わって、湯回廊菊屋として再開。ここに記載の旧菊屋の情報は無効です。新菊屋は下記HPで参照ください。
データは変更されている可能性もあります。事前にご確認ください。
 所 静岡県伊豆市修善寺874-1
(旧)静岡県田方郡修善寺町修善寺874−1
電 話 0558−85−2000
交通機関 東名高速道路沼津ICから国道136号で約60分
JR東海道線、東京駅から直通「踊り子号」で約2時間
施 設 ラウンジ、売店、駐車場
宿 泊 無し
泉 質 アルカリ性単純温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 12時〜15時(要確認)
定休日 無休
入浴料金 大人1,000円
入浴施設 内湯男女各1、露天風呂男女各1、貸切風呂2
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 修善寺温泉内(修禅寺・指月殿、独鈷(とっこ)の湯、竹林の小径、ギャラリーしゅぜんじ回廊、)浄蓮の滝、昭和の森会館(伊豆近代文学博物館・天城わさびの里など)天城グリーンガーデン、旧天城隧道
伊豆近代文学博物館
天城・伊豆ゆかりの文学者・作家120人の資料、井上靖の通信簿・直筆原稿、川端康成「伊豆の踊り子」原稿などを展示、
お土産・食事 特産品はわさび、しいたけなど
食事・土産は修善寺温泉内、道の駅天城越え、昭和の森会館、ドライブイン、国道沿いにワサビ販売所多数。
近くの温泉 天城温泉郷(湯ヶ島温泉他の持越・吉奈・月ヶ瀬・嵯峨沢・船原・天城日活)
大仁温泉、伊豆長岡温泉、河津温泉郷
伊豆市HP
修善寺観光HP
湯回廊菊屋HP
旅館組合HP
http://www.city.izu.shizuoka.jp/
http://www.shuzenji.jp/
http://www.yukairou-kikuya.net/
http://www.wbs.ne.jp/bt/shuzenji/
雑記帳 修善寺温泉には格式ある木造旅館が多い。
そのなかで「あさば」は創業350年、日本を代表する名旅館である。
(宿泊料金33千円〜53千円)
また、国の有形文化財の「新井旅館(22千円〜70千円)」や「一修(30千円〜45千円)」も一級旅館だ。
さらに料金にまったくこだわらない方は「鬼の栖(49千円〜150千円)」をどうぞ