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上諏訪温泉は、諏訪大社と下社の間、国道20号縁から一本内側に入った諏訪湖東岸に大小の旅館・ホテルが建ち並ぶ。
上諏訪駅から湖畔一帯にかけて、いたるところで温泉が湧き出ている。源泉数は12ヶ所、湧出量は一日当たり15、000キロリットル、平均温度が65℃の高温泉である。
湯量が豊富なため、旅館以外にも、一般家庭・官公署・会社・学校・サービスエリアまで配湯されている。
宿泊施設は約70軒、その内、旅館・ホテルは20軒程度である。
日帰り施設としては、日本で最初のスパ施設・片倉館、諏訪湖間欠センター、市営浴場の精進湯、諏訪湖サービスエリア(上り・下り)のハイウェイ温泉諏訪湖がある。
温泉街は、霧ヶ峰・蓼科・美ヶ原・白樺湖など日本を代表する高原リゾートとも近いので、観光・行楽拠点としても利用されている。
諏訪市は標高760mの高地にあり、人口が約53,600人。諏訪湖や霧ケ峰高原等の自然、さらに精密工業が盛んだったこともこあって、かっては「東洋のスイス」と持てはやされていた。しかしながら最近10年で、製造品出荷額が半減するなど完全な凋落傾向が続いている。
諏訪と言えば、諏訪大社の7年毎に行われる豪壮な御柱祭(おんばしら)がよく知られている。
諏訪大社は諏訪市の上社本宮など4つの社(やしろ)から成り、古来、諏訪大明神として崇められ、全国に10,000の分社を有している。
御柱祭は、諏訪大社に伝わる神事で、祭りの規模、勇壮さとも他に類がなく、日本を代表する奇祭(地元では「天下の大祭」)だ。
長さ20メートル、太さ3メートル、重さ10トン以上もの大木を、氏子総勢で引き出し、4つの宮の社の四隅に各1本ずつ計16本建てるという一連の祭りは、諏訪人の血を熱くする。特に、4月に行われる急坂を下る「木落し」が最大の見せ場だ。
東京の実家に帰るとき中央自動車道を利用することが多く、必ず諏訪湖サービスエリアで休憩する。ここからの諏訪湖の風景が見事だ。この周辺には上諏訪・下諏訪、蓼科等の温泉郷があるが、ここまで来るとどうしても先を急いでしまうため、なかなか入浴回数が増えていない。
諏訪湖は、周囲15.9km、面積12.9平方kmの県内最大の湖。冬になると湖が結氷して亀裂が入る御神渡[おみわたり]とよばれる現象が見られていたが、近年、温暖化が続き、ほとんど見られない。
水質の低下が著しく、ここを源とする天竜川は、上流より、数多くの支流が流れ込む中流の方が水質がよくなるという不名誉なことになっている。
昭和3年に建設された片倉館。
施設名 : 片倉館 (入浴日:2005.5.30)
永福町ランプから中央道に乗って2時間余り、諏訪ICから国道20号線で5kmほど、上諏訪駅付近で左折、湖畔道路沿いに昭和初期を代表する建築物の一つ片倉館があった。
片倉館は現在の岡谷市で創業、その後諏訪において絹糸で財を成した片倉財閥(現在の片倉工業 本社:東京・中央区 資本金17億5千万円 従業員:600名余 製品:インナー・靴下・自動車部品等)が、地域住民・社員の厚生・社交・娯楽・文化向上のために昭和3年に竣工したものだ。
設計は、東京帝国大学を卒業した新進気鋭の建築家・山松之助である。
外観は従来の建築様式には当てはまらない、左右非対称の個性的な設計。一方、内部は窓・切妻・レリーフ・ステンドグラス等において、各時代、各国の様式が採用されている。
湖畔と反対側の正面玄関から内部に入ると、石畳の荘重なエントランス、背の高い磨きこまれた木製のドア、そして伝統あるパリのホテルの雰囲気を持った(少し大袈裟か?)吹き抜けのロビーとフロントには赤絨毯が敷かれている。
これが温泉施設かと誰もが驚くだろう。
ラフなジーンズスタイル、手ぬぐい一本ぶら下げてやってきた身が恥ずかしくなるような気分になった。
もちろん、野暮な自動発券機など置いてなく、受付のお嬢さんに400円を支払って浴室に進む。
(諏訪湖ホテルに宿泊の客には、千人風呂の無料入浴券が支給される)
更衣室がこれまたアンティークな雰囲気で、横浜や神戸の異人館のリビングルームのような感じだ。ここで裸になるのが気恥ずかしい。
しかし、ロッカーは50円コインを入れてロックする方式で、ここらへんはガッチリしている(100円は珍しくないが50円という中途半端な金額がユニーク)
浴室に入ってまた驚かされる。
全体的にアルハンブラ宮殿の中庭のような雰囲気。高い天井やアンティックな輸入タイルを貼った浴室は、ステンドグラスやオパールガラスが組み込まれ、浴室の壁には輸入物の石像がはめ込まれている。
大阪の都心に、「スパ●●●●世界の大温泉」という入浴施設があるが、そこの俗悪で薄っぺらな浴室とはまったく違い、上品で典雅な造りだ。
4mx7m50cm(20畳)の浴槽は豪華な大理石仕様。この風呂は千人風呂と名づけられているが、一度に30人くらいが入浴できそうな大きなもの。湯船は2段になっていて、1段目に座ると半身浴が出来る。そこから黒い玉石がしかれた湯船に入ると、深さが1m10cmもあり、立ち湯となる。湯底にお尻をついたら、顔の半分が水面下となってしまう。
湯は無色透明の単純泉だが、公開情報によれば、「浴槽内で循環・加水・塩素消毒」となっていて、掛け流しにはなっていない。
浴室の一角には、完全に密閉された小さな浴室がありぬる目の湯が入っていたが、まるでサウナのように湯煙で一杯だった。ここは「ラドン浴室」と名づけられている。ラドンを含んだ別の温泉が使われているのだろうか? どうもよく分からない浴室だった。
ガイドブックでは「掛け流しあり」となっていたので、このラドン浴室が掛け流しなのかもしれない。
館内2階には休憩室・食堂や有料の休憩室もある。
入浴したのは平日の昼過ぎ、私一人だけという幸運に恵まれたが、休日は大変混みあうらしい。
東京からの帰り白骨温泉に宿泊することにして、途中、諏訪湖畔の片倉館に立ち寄った。
施設名 : 片倉館 (入浴日:2005.5.30)
堂々とした玄関
これが脱衣室!?
この角度から見るとビザンチン風の浴室
大正ロマンを感じさせるクラシックな窓
壁にはステンドグラス
洗い場の後に石像