ヴィヴィアン・リー、ローレンス・オリヴィエ主演、1941年制作・イギリス映画です。
あらすじ:フランス・カレー、みすぼらしい身なりの女が酒屋で酒をくすねて官憲に捕まっているところをひとりの女が
助けに入って乱闘になる。そのみすぼらしい女は助けてくれた女に促され、身の上を語り出すところから始まる。
下層階級出身のエマ(リー)は母親とナポリへナポリ大使ハミルトンの甥と結婚するためにやってきたが、借金のカタにだまされて
ハミルトンに売られたと知る。ハミルトンは全てを知っていたが美しいものはいいといい、エマはハミルトン夫人と
なり、やがて彼女はハミルトン以上に社交界で才を発揮するようになる。ある日エマは英国艦隊の士官ホレイショー・
ネルソン(オリヴィエ)と出会う。エマはネルソンのために王妃に働きかけ彼を助ける。ナポレオンとの戦争から帰ったネルソンは片目片腕を
失っていたが、エマは彼を公私に渡って助け、やがて二人は相思相愛になる。それが世間に知れるところとなるが
ふたりは別れることができない。ネルソンは夫人と離婚しようと考えるが夫人はそれを承知しなかった。
やがてネルソンは再び遠征、エマはネルソンの子供を産んで育てていたが、ハミルトン大使は病没し、その遺産は
甥に渡っていた。帰国したネルソンは事情を知り、ふたりは一緒に暮らすが再び世間の情勢がネルソンを必要とし、
ナポレオンとの戦いに赴くことになった。1805年のトラファルガー海戦、イギリスは大勝利を得るが
ネルソンは甲板で撃たれ、艦長にエマのことを伝えて息をひきとる。エマも二度と会えないような予感を持っていたのだった。
場面は冒頭へ戻り、エマは女にその先を尋ねられるが「その先はもうないのよ」と答えた…
時はナポレオンの時代、ベルばらより10年ほどあとになりますでしょうか。かの英国艦隊のネルソン提督と
ナポリ大使夫人エマ・ハミルトンの実話を、当時実際に互いに伴侶のある身で恋愛関係にあったヴィヴィアン・リーと
ローレンス・オリヴィエという、ある意味リアリティのある?キャストで制作したものです。
この映画の公開時にはふたりは結婚していました。
原題はLady Hamiltonですが、邦題「美女ありき」はまさしくそのとおりです。ヴィヴィアン・リーは
完璧な美女ではないと思うんですが、あのスクリーンで見たときの現実離れした美しさは彼女ならではだとつくづく
思います。でも冒頭とラストのみすぼらしい姿は彼女とは見えなくてびっくりしました。
ローレンス・オリヴィエのネルソンは気品のある軍人ですね。ネルソンは右目と右腕を失ったので、アンドレとは目が反対側なんですが。
また、彼らの影にある、ナポリ大使ハミルトンとネルソン夫人に目をやってみるのもなかなか面白いと思います。
ネルソンはこの話どおり1805年トラファルガーの海戦で戦死、エマはネルソンの死後、フランスのカレーに渡りますが、
借金をかかえて不遇のまま1815年に人生を終えます。
この絵は1799年12月31日、大使にネルソンと別れるように言われたエマがその話をネルソンにする場面、
ここでふたりはキスをするんですが、そのとき、新しい年を迎える、そうしてネルソンはこういうのです。
「2つの世紀をまたいでキスしたことになるね…」(Now I kissed you through two centuries.)
恋愛映画のセリフとして大変有名なものですが…美男美女だから許せるようなセリフかと(笑)
こちらは「エマをオスカル、ネルソンをアンドレで」という順子様のリクエストです。
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