2008年


                                     2月



          2月10日 ウイグル音楽

             昨日、吹田市のメイシアターで行われたウイグル音楽のコンサートに行って来ました。
             ウイグル音楽の研究家兼演奏家の鷲尾惟子さんが、
             現在日本に留学中の音楽家、ウメル・ママット氏を共演者に迎えて
             色々なジャンルのウイグル音楽を演奏してくれました。
             現地の演奏会の模様をヴィデオで紹介するコーナーや、飛び入りのウイグル舞踏も有り
             シルクロードに興味がある者にとっては、あっと云う間の2時間でした。
             そこでママット氏により演奏されたウイグルの代表的な民族楽器「ラワープ(ルワプ)」にも
             蛇の皮が使われていました。同じ中国のドムや三弦も蛇皮胴ですし
             昨日紹介した三線も蛇皮の胴を持っています。
             その形態や音色も含めて、ウイグルのラワープと三線が何らかの繋がりを
             持っているのではないかと思った次第です。
             
             因みに私はラワープと殆ど同形のウズベキスタンのルボッブを持っていますが
             この中央アジアの楽器には子牛の革が貼られています。
             

         
         

           (蛇皮貼りのドム)           (ラワープを構えるママット氏)      (ウズベキスタンのルボッブ)





           2月9日 蛇・獅子・孔雀

             ロバ・犬・猫・鶏はブレーメンの音楽隊ですが、こちらは昨年から今年にかけて手に入れた
             民族楽器と関係がある動物です。
             
             昨今沖縄の音楽が「涙そうそう」等、歌謡曲の流行で本土でも大変ポピュラーに成りました。
             その沖縄音楽に欠かせないのが「三線〜サンシン」です。ご存知のように胴に錦蛇の皮を貼ってあるので
             「蛇皮線」と呼ばれる事もあります。民族音楽と楽器の伝播に興味を持って以来、少しずつ色々な楽器を
             蒐集していますが、三味線の直接の先祖にあたる三線は今まで持っていませんでした。
             現実の蛇は気味悪がられる事が多いですが、
             古来人々はその強い生命力を崇拝の対象としてきました。
             特にその脱皮の習性は再生を連想させ、新年の行事に用いる注連縄や、鏡餅などは
             日本人の蛇信仰の名残りだと云われています。
             新年に蛇皮の楽器を手に入れたことは正にグッドタイミングであった訳です。
             これで三弦から三味線に至る経路が繋がりました。

             獅子(ライオン)はその堂々とした風貌から「百獣の王」と云われてきました。
             本物のライオンは現在、アフリカとインドの一部にしか生息していませんが
             昔は中近東やバルカン半島にも分布していたそうです。
             それへの恐れと憧れから人々は、強さや立派さのシンボルとして用いました。
             エジプトのスフィンクスやヴェネチアのサンマルコの獅子等はその例証です。
             インドでは獅子が仏法を守る聖獣とされ、他の国々に伝播してゆきました。
             インドの隣国、ネーパールの民族楽器「トゥングナ」が獅子頭を持っているのも
             仏教と共に伝播した事を示しています。因みに「ライオン」の事を「シシ」と呼ぶのは
             サンスクリット語の「シンハ」が訛ったものだと云われています。

             大きく華やかな羽を持ち、優雅に歩く孔雀が餌として好むのは
             以外にもサソリや毒蛇だそうです。
             (因みにルネサンス舞踏のパヴァーンは、孔雀の歩く様子から名付けられたと云われています。)
             主な生息地であるインドで益鳥として保護されたのは
             その外見の美しさだけではなかったのですね。
             この習性から仏教にも取り入れられ、邪気を払う象徴となり
             孔雀明王の名前で信仰されました。
             今回入手した「ドタル」は東インドやバングラデシュでバウルが宗教歌の伴奏に用いる楽器で
             仏教者が扱う物ではありませんが、孔雀に対するかの地の人々の思いが
             楽器に刻み込まれているのだと思います。
             孔雀は蛇が好物と云う事なので、三線はドタルの側には置かないようにしようと思います。
             



                    

                (サンシンの胴)           (トゥングナの獅子頭)   (孔雀をデザイン化したドタルの糸巻き)
             
                    (それぞれの楽器に関する詳しい事は楽器紹介のページをご覧下さい)



            1月




         1月5日 坊雑煮

             東大寺には毎年1月3日と5日に、二月堂脇に有る茶所で雑煮を振舞う行事があります。
             今年は今日5日に行ってきました。(頂くには坊雑券というチケットが必要ですが。)
             まず東大寺の若い僧が漆塗りの酒器から般若湯を注いでくれます。
             それからすまし汁の雑煮を頂きます。
             水菜とお供えの餅が入っているだけの素朴な雑煮ですが
             おせち料理で重くなった胃にぴったりで、本当に美味しく感じます。
             二月堂下の参道には観光客の鹿せんべいを当てにして鹿が群れていました。
             珍しく秋の角切りを逃れたのか、立派な角を持った鹿も混じっていました。
             
   

            

       (二月堂下のお不動さん)           (若い僧の接待)                 (境内の鹿の群れ)





         1月1日 初詣で

          新年明けましておめでとうございます。
          2008年、平成20年の奈良の元旦は、寒いながらも穏やかな日和に恵まれました。
          今年も春日大社へ恒例の初詣でに出かけました。
          長い参道を大勢の人に囲まれながら歩いているうちに正月気分が湧いてきます。
          昨年の破魔矢を納め、今年の絵馬を買ってきました。
          今年は干支頭のねずみ年、新しいサイクルの始まりの年も昨年同様
          元気で音楽活動が出来るようお祈りして来ました。
          
          
  

          

        (新春の猿沢池と興福寺)       (福ねずみの絵馬付き破魔矢)           (春日大社参道)