自治体総合フェア2011を視察
平成23年7月14日(木)~15日(金)
場所: 東京ビッグサイト
3名の講師陣の講演を拝聴した。
トップが語る自治体経営【その1】
日時: 平成23年7月14日(木)14:15~15:15
場所: 東京ビッグサイト 東展示棟 東3ホール
講師: 関 幸子 (株)ローカルファースト研究所 代表取締役
演題: 「人口減少時代のまちづくり」地域資源と人材
講師は、地方自治体に30年の勤務をへて、昨年(株)ローカルファーストを設立。
今日本はどのように動いているのか?世界と日本そして地域は大変革に迫られていると言う。以下の視点で動きを説明する。
- 東北大震災の発生で ⇒ 価値観の転換(食の安全・エネルギー政策の見直し)
- 安全神話の崩壊で地域コミュニティーの再生が望まれる。
- 人口構造の変化は大中年次代に変化(今回の自治体フェアも規模が縮小参加人数も少ない)と指摘
- リーマンショックと今回の震災で、無政府状態になっている。自治体は手を挙げて進まないとダメダこれからは震災復興に税金投入をしなければならないので、交付税は減る
- 日本の人口必ず減る12750.0人⇒2030年11522.3万人に減少する。首都圏も高齢化が進み生産労働人口の減少により税収減で東京も税の地方配分はできないように成る。ではなぜ人口が減少するのか?団塊ジュニアの世代(30台後半)の男の60%が独身である。なぜか女性が結婚したいと思わない!高学歴と社会で働きたいと思うから。結婚しても働けるシステムができていない。日本は結婚しないと子供が生まれない。地方は、自分の自治体がどのような年齢別人口推計になるのか調査しなければ、対策が打てない。
- 国はポピュリズムに迎合する政治に成っている。リーダー無き時代である。
- これからの、自治体の役割=気付きと市民の成長醸成が必要である。高齢者には孫の為にタンス預金を孫に投資して出来るようにする。
- 公益サービスの多元化⇒市民NPOが主役へ
- 自治体の役割は=新しい協働の手法の導入が必用、NPC等
- これからの公務員は主体からプロデューサーに。市民はお客さんから主体へ変化しなければならない。
- 税金減少、人口減少の中で公務員の役割は、(1)分析・設計・戦略構、(2)主体の選択、(3)市民合意形成が必用
- 市民が主体と成るための戦略をたてる⇒今こそ市民の知恵と見識が求められている。
- 自治体の役割と市民の役割を見極めて現実に向き合う力が必要である。
- 地域の足元を見る。地域分析を徹底的に分析する。80%が分析である、そして現実との違いが分かるとそのギャップを埋める。
- 内発型産業創造=地域に立脚した産業を生み出す。今の中国の子供は10歳で生理になる、食物に成長ホルモンが入っている。講師は日本の最大の地域資源は農業である。これを生かすべきであると言う。
まとめとして、災害後の日本の地方のこれからは、交付税も減少する。政府はポピュリズムに迎合してリーダー不在が続く。人口減少は止められないので、自治体は現状分析を行いそれに合った施策を市民NPOと協働で行わなければならない。
その為には、市民に現状の情報提供を行い、気付きが必用。現実に向き合って市民はお客では無く主役、 公務員はプロデューサーと成り協働型の自治体運営を目指す事が必要であると講師は言う。
たしかに、現状ではこの対策が一見必用な気もするが、この考え方の危険な点が多々ある。
まずこの講師の基本的な考え方の中に、無政府状態が続くものと肯定して施策を展開している。
現実問題としてこのままの政府が続くと、日本国は中国共産党に属国化してしまう恐れが大であり、講師の言うNPO市民との協働で地方が成り立つとは思えない。
講師の想定の中に国家観としての危機管理があまりにも含まれていない。国と地方は別々のものとしてとらえているように思う。
次に人口減少の原因は、女性が働きながら子育てができる制度設計が確立されていないので、結婚をしないと見ているが、私は必ずしも全てがそうであるとは思わない。教育の問題も大である。
私も30過ぎに結婚したが、切っ掛けは男は結婚して、子供ができて一人前に世間から信用される。それが一人前の大人としての責任ある姿で、男であると教えられた。
そういった規範的なものが薄れて、男も女も大人になりきれない大人が増えているからではないのか、とも思う。以上
トップが語る自治体経営【その2】
日時: 平成23年7月15日(金)10:30~11:20
場所: 東京ビッグサイト 東展示棟 東3ホール
講師: 落合 光一(三島市副市長)
演題: 市政70周年せせらぎと緑と元気あふれる協働のまちづくり
~環境と食を大切に
三島市は市政70周年を期にせせらぎのある街をめざして、ガーデンシティー三島せせらぎ事業を展開された。
三島市と言ってもどこにあるのかも知られていない人口113,000人の町である、強いて言えば「かみつき猿のラッキー」位である。三島市も人口減少傾向にあるので、居住人口や交流人口を増やして元気な三島市を作る為に三つの取り組をした。
以下の取り組みを、市民・行政・企業との協働で、ワークショップを400回以上行い殆どの事業を協働で取り組み、せせらぎ事業で多数の表彰を獲得し市民の地域のアイディンティティーが確立した。
三島駅前に広がる緑の森「楽寿園」源平川を湧水を使ってせせらぎを作り年間30万人が散策するようになった。駅前バスロータリーも緑化・観光協会の施設改修を行った。
- 魅力ある三島
- (ア) ほたるの里を運営(NPO)
- (イ) 商工会議所青年部がカラクリ井戸を建設
- (ウ) 雷井戸をNPOが改修して運営
- (エ) アダプトプログラムで町中の清掃を月1回、市民や誰でも行えるようにした。
- (オ) JRのウオークぶらりを企画して頂いた(せせらぎルート三島市内周遊マップの作成)
- (カ) せせらぎルートの古い町屋や商店を借りて「一服処」を運営しておもてなしを町ぐるみで演出している
- 美味しい三島
- (ア) 「富士山の湧水」を使ってウナギを1週間絞める味が向上した。美味い三島のウナギ
- (イ) 三島コロッケ「三島馬鈴薯」のメークインを使って作る事を限定した。販売も周辺店舗のみとしたので70店舗に拡大し売り上げも増大して来た。PRも工夫して美味い三島のコロッケでB1グランプリ出場して、2009年8位、2010年9位になった。
- (ウ) 三島YEG(商工会議所青年部)が、日本一の2.55Mの大きなコロッケを作って有名になった。
- (エ) 三島馬鈴薯の生野菜をのみで作った「三島スイーツ」を作って成功
- (オ) 6/18-19 食育推進全国大会を誘致に成功して開催し73000人が来場
トップが語る自治体経営【その3】
日時: 平成23年7月15日(金)11:25~12:15
場所: 東京ビッグサイト 東展示棟 東3ホール
講師: 吉田 雄人(横須賀市長)
演題: 横須賀version集客プロモーションにおける公民連携の姿
私は、2年前に自民・公明・民主相乗りの選挙に出て、市長に当選しました。なぜか?色々理由は有るが、やはり運が良かったと思う。
横須賀市長になった2年で4件の企業誘致に成功した。これも運が良かったが、しかし観光経済は運だけではダメです。
ここに横須賀の取り組んだ集客プロモーションの説明がされた。ポイントは民間と行政の連携でありました。
- 横須賀のイメージはと聞くと?山口百恵・海・海軍・海軍カレー等があります。
- (1) 横須賀市の人口は42万人弱ですが、減少傾向にある。2019には40万人に減少すると見ている。しかし神奈川県は人口が増えているのに、なぜ横須賀市が減るのか?
- (2) 人口減少がもたらす影響は、税収の減少→市民サービスの低下→都市の魅力低下→人口減少と負のスパイラルに陥る。
- (3) なぜ、人口が減少するのか?先ずはそれを徹底的に調査する必要がある。
- 横須賀の現状…横須賀は何処にあるのか?なぜ人口が減るのか?
- (1) 皆知らない・平地が少ない・都心から遠い
- 横須賀のポテンシャルイメージは?…古くから海の要所・製鉄所・日蓮聖人・黒船・海軍
- (1) 市民の持つイメージ…米軍基地・自衛隊の町・ベッドタウン・海と緑に憧れレクレーレーション
- (2) 横須賀の負のイメージ…基地の町=治安が悪い=(住みにくい住みたくない)
- (3) 実際には県内有数の治安の良い街である。東京近郊では住みにくい町の烙印と成る
- 負の転換を図る…基地のイメージを積極的に活用しよう→BVD作戦を企画
- (1) B-ビジネスは民間に→民間が設ける(行政は縁の下)
- (2) V-バリュー価値観は市外の民間に→マーケティングの発送(ターゲットの決定)
- (3) D-ぶれない決断→できない理由を探さない!イベントをやる
- 具体的例
- (1) カレーの街横須賀推進委員会の設立→H11年15業者がH23年65社に増加・大手メーカーも参入
- (2) 日本唯一の横須賀軍港めぐりを企画(民間運営)で集客10万人、年商5億円経済効果バツグン(人気で土日は要予約が必要)
- (3) 横須賀アメリカングルメ企画 1.横須賀ネイビーバーガーを企画(+軍港めぐりで産業観光まちづくり特別賞を受賞) 2.横須賀チェリーチーズを製作
- 情報発信
- (1) 横須賀集客促進実行委員会を結成
- (2) 坂の上の雲、三笠PR(アメリカングルメ)
- (3) 各情報誌の企画政策(おさんぽタビハナ)の企画、スマートフォン企画
- (4) 電気自動車(日産)と提携して
- (5) 会津若松の市長とお米とカレーのジョイントイベント(横須賀カレーフェスティバル)横須賀お土産コンテスト(賞金は0円)でも75社が参加した。
- まとめとして、行政は縁の下の力持ちで、脇役、仕組み、仕掛け、きっかけづくりに終始して「民間を主役」とする事。横須賀式=民間×行政集客プロモーションで行く事で集客して、魅力ある街づくりで、企業を儲けさせる事で誘致して人口増加を図る!
講演を聞いての感想
★三島市の取り組みは、先ず人口減少と言う問題点を掲げ、その対策を、「せせらぎ」癒しを演出してまちづくりを市民と共同で取り組むと言う明確な目標を掲げて取り組んだ所に賛同する。
又商工会議所青年部と企業と市民が共同で、三島市を活性化すると言う具体策を検討したところに成功の秘訣があったと思う。
★横須賀市は、吉田市長の徹底的な調査と経営者としてのリーダーシップが、議会を動かしたと思う。
そのポイントは、人口減少がもたらす、サービス低下と負のスパイラル減少がもたらす「不孝な街」の未来を市民の訴え理解して、それを解決してくれるのは「企業」である!企業がもうかれば、企業が増え、雇用が生まれて消費が増える!生産者人口の増やし方を明確にして、決意した事にあると思う。
この、ぶれない決断力とプロモーション力は素晴らしい者があると感じる。
そして、なによりも反対する議会に説明して納得さすだけの説得力と粘り強い交渉力は、横須賀をなんとかしたい!と言う命がけで行ってきた成果であると思う。彼の実行力に感動した!