奈良市議会報告

3月議会 一般質問
多様な観光客の誘致施策ついて

平成28年3月7日(月)
質問: 植村佳史/答弁: 市長

1問目

●【植村・質問-1】 多様な観光客の誘致施策ついて

おはようございます!自民党の植村佳史です。既に通告している数件について質問を致します。

まず最初に「多様な観光客の誘致」施策ついてですが、昨年の10月に、仲川市長は「奈良はコンパクトだからこそLGBTへのおもてなしを浸透させやすい。観光協会などと連携して受け入れ体勢を整えていきたい」「観光という切り口で、世界のLGBTの方々と我々がつながる。結果として、奈良の方々にもフィードバックしていけるのではないか」と語られ、IGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行協会)に日本における公的機関では、奈良市が初めての参加となると述べられ、今議会に来年度予算として208万円を提案されました。
日本政府観光局(JNTO)の英語サイトを見ますと、東京や京都のLGBT対応可能なホテルや観光施設等が紹介されていました。
一方、LGBTに取り組んでおられる自治体としては、昨年4月に渋谷区が「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を施行され、さらに世田谷区においても昨年9月に区長権限においてパートナーシップ宣誓書を実施されたと聞き及んでいます。

さて、本市は観光経済部の所管で、この関連に取り組むとの事ですが、京都のように民間の観光関連事業者の取り組みとは違い、留意する点も多々あろうかと思います。また先日の、この施策の新聞報道を見た市民や、先ほど届けられたのですが「NPO教育再生100人と市民の会」様等から様々な声が寄せられています。そこで3点質問を致します。


1点目に、本市がIGLTAに加盟する事は、当然LGBTの人権尊重を推進する、人権施策としても積極的に推進して行く自治体として、報道され期待される立場に成ると考えますが、今後、本市でも渋谷区や世田谷区等に見る、同様の人権施策としての条例やパートナーシップ宣誓書等の施策を、取り組もうと考えておられるのかお聞かせください。

■【市長・答弁-1】 条例やパートナーシップ宣誓書等の施策の方向性について

LGBTの本市の取り組みについてでございますが、レズ~女性同性愛者、ゲイ~男性同性愛者、バイセクシャル~両性愛者、トランスジェンダー~心と体が一致しない方々が、社会問題としてとりあげられておりまして、平成27年に行われた、ある企業の調査では、人口の7%がLGBTであるとも言われており、興味本位で見られるなど偏見や差別により、社会生活の様々な面で、人権にかかわる問題も発生しているものと認識しております。こういう性的指向や性同一性障害への無理解と偏見の解消は重要なテーマであり、それぞれの生き方の違いを認め、尊重する事が重要だと考えております。
一方で、この奈良と言う街を考えましたとき、1300年前から様々な国から多様な文化や、民族、人種を受け入れ、それを柔軟に融合させると言う事で国の礎を築いてきたといういわゆる多様性を重んじる、街である点も、重要なポイントかと考えています。
ご指摘を頂きました渋谷区や世田谷区本市での取り組みにおきまして、本市として具体的に、何をするという事は具体的に特に考えておりませんが、そういった流れが全国的に広がってくる、またそういった関心や市民の理解が、高まってくるかどうかと言うところにもポイントがあるかとおもっていますので、今後につきましては、具体的な全国での取り組みなどを、研究して考えているところです。

●【植村・質問-2】

2点目に、観光関連業者や民間の旅館、ホテル、結婚式場等に多様な観光客へのおもてなしを推進されるようですが、本市においても、今後はLGBTの人権尊重の観点からしても市営住宅への入居や不妊治療費の助成等についての要望や、問題も当然、出てくるのではないかと考えるのですが、その点についてはどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。

■【市長・答弁-2】

次に、1.LGBTの方の市営住宅への入居についてでございますが、本市では、市営住宅に入居出来る方は、配偶者及び3親等以内の血族又は姻族としており、現時点では、同性のカップルは配偶者とは認められないため入居資格はございません。
次に、LGBTの方の不妊治療費の助成についてでございますが、現在本市で実施しております不妊治療費助成は、法律上婚姻されている健康な夫婦が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活を営んでいるにもかかわらず、一定期間を過ぎても妊娠しない場合を対象としており、LGBTのうち、レズビアン、ゲイという同性のカップルはこの概念に該当しないと考えております。

●【植村・質問-3】

3点目に、教育の観点から、学校教育部長にお聞きします。産経新聞の報道後に、私どもにも子供を持つ保護者の方から複数の声が寄せられています。この施策が成功すると言う事は本市に多様な観光客の方々が増加し観光振興に繋がるので、世界遺産の寺社仏閣での多様な観光客のハネムーンや結婚式等の様子も目にする機会も出てくると思います。ただ、今の我国の法律では同性婚制度はありませんので、自我の確立していない時期の子供達がその様子を目にしたときに、受ける影響等もやはり考えなければならないと思いますが、その点、学校教育現場においては、これに関連した教育や又は、誤解を与えないようなLGBTに特化した教育等はされているのか、お聞かせください?

■【市長・答弁-3】

学校現場におけるLGBTの指導についてでございますが、学校では、LGBTに特化した指導は行っておりませんが、性に対する不安を持ちながら、周りの不理解により思い悩む児童生徒がいる可能性があることをまず教職員が認識することが大切であると考えます。その上で、そうした子どもが委縮することなく、前向きに生きていけるよう、心情に配慮した対応をしながら、教育活動全体を通じて、誰に対しても差別することや偏見をもつことなく、互いを認め合い、一人一人を大切にする教育を推進してまいりたいと考えております。

2問目

●【植村・質問-1】

二問目は自席より行います。多様な観光客の誘致について、再質問をいたします。
市長は、先ほどの答弁で「ある企業の調査では、人口の7.6%がLGBTであるとも言われており、興味本位で見られるなど、偏見や差別により、社会生活の様々な面で、人権にかかわる問題が発生しているものと認識しております。」と述べられました。そこで、2点質問を致します。


1点目に、市長お述べの、そのLGBTの人権に関わる問題が本市においては、どれぐらい発生しているのでしょうか、この施策を提案するに当たって、当然調査をされていると思うのですが、その調査を実施したのであれば、その結果をお示しください?


2点目に、この208万円の観光戦略施策において、どれぐらいの観光戦略上の効果、又は成果を計画、予定しておられるのか、具体的に数字でお示しください。

以上2問目と致します。

■【市長・答弁-1】

まあ、多様な観光の取り組みについて再質問をいただきましたが、LGBTにつきましては、やはりその問題のですね、性質上、実際にそういう悩みを抱えておられても、それを表になかなか出しにくいというようなこともあろうと思います。ですので、正確な数字というのは、恐らく国でも把握ができていない状況である、逆に言えば、そういうことがおかしなことじゃないということをしっかりと社会として認知をしていってあげることがですね、悩みを持っている方々にとっては、まず、解決策の一歩になるだろうというふうに思っております。そいうことで、本市としても実数として、じゃあ、例えば、市内にLGBTの方々が何人おられるかという調査は行っておりません。ただ、傾向として、そういう傾向が日本全体でも言われておりますし、また、実際の個々の事象の中でですね、そういう悩みを抱える方がおられるという話は、いろんなところでもやはり昨今、耳にすることが多いわけでございますので、そういう方々がより生きやすくしていくために、いわゆる性の多様性を知ってもらうということは大変重要だというふうに思っております。


 一方、その、観光に与える影響額がどれぐらいであるかという御指摘でございます。この辺りも、経済波及効果ということについては重要なポイントだというふうに思っております。本市におきましては、今、世界からたくさんの外国人観光客の方にお越しをいただいております。もちろんこの中には、宗教も多様な方も多いということで、例えばイスラム教徒の方のように、はっきりとその対応策がわかっているものもありますし、逆にこのLGBTのようにですね、いろんな国が今いろいろとこう、トライアルをしているというようなところもあると思います。我々としては、奈良に来たいと思った方が、奈良で安心して滞在をしてもらえる環境をつくるというのが、とどのつまり一番の目的だというふうに思っておりますので、奈良に行くと、そういうLGBTの方々が偏見の目で見られて、非常に気まずい思いをしたというようなことにならないようにですね、国際的な観光地としてのレベルを上げていくというためにまず必要なことだと思っております。ですので、明確にですね、何億円になるかと言われると、そこは難しいところはございますけれども、多様な、いろんなバックグラウンドを持つ方が来てもいい街ですよということを世界にアピールをしていくということは、間違いなくその方々にとっての情報伝達にもなりますし、それであれば、日本の中で奈良という街に行ってみようというふうに思っていただけることに着実につながっていくだろうというふうに考えております。

以上でございます。

3問目

●【植村】

3問目は意見並びに主張と致します。


◆まず最初に、多様な観光客の誘致についてですが、本市におけるLGBTの人権に関わる問題の発生調査は行っていないとの事でした。


◆そして観光経済効果および成果の見込み数字等も、どうやらはっきりとされてい無いようです。


◆そして、本来は渋谷区や世田谷区のようなLGBTを人権尊重問題として、取り組むのかと思いきや、どうもそこまでは考えておられないと言う事もわかりました。


◆この「多様な観光客の誘致施策」の新聞NET報道があって以来、私ども議員に、教育上の観点から子供に与える影響について心配する複数の保護者からの声が寄せられている事から、学校教育部長にその事をお聞きしましたが、学校現場では、この事に特化した教育はされていないという事も分かりました。故にこの施策を進めるにあたっては、学校現場でのその対応策の検討を急ぐ必要性もあると思います。


◆市長の答弁を聞いて、私はこの取り組みは、観光戦略として、どの程度期待ができるのか、今の段階では、判断が付きにくい状況であると感じています。


◆一方、この施策の展開順序としては、本来は、先ず人権尊重問題として捉えて、取り組むべき案件では無いのかと感じました。


以上のような事から、この施策の展開においては、自治体として1番に取り組んで目立つ事で、効果を狙いたいと言う、その市長の思いを理解しないわけではありませんが、市民の方々から私ども議員に対しては、収支不足を大切な基金を取り崩してまで、補っている財政難の折にあって、優先順位を鑑みた場合、この時期に行わなければならない事業であるのか?と市民からですよ問われた時に、自信を持って、「そうだ」と答えるには、あまりに情報が乏しい状況であると、意見を申し上げておきます。 以上

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