奈良市議会報告

9月議会 一般質問
奈良市子どもにやさしいまちづくり条例骨子案のパブコメについて

平成26年9月16日(火)
質問: 植村佳史
答弁: 市長・こども未来部長


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※参考: 広島市子ども条例に反対するHP

●【植村・質問-1】

奈良市子どもにやさしいまちづくり条例--いわゆる子どもの権利条例または子ども条例と呼ばれるものですが、この国連の児童の権利条約の理念をもとに制定されている子どもの権利条例や子ども条例のこの評価についてですが、一般財団法人日本教育再生機構理事長の麗澤大学八木秀次教授は、「子どもの権利条例のもととなった国際条約、児童の権利条約はそもそも発展途上国の子供の人権環境を改善することを主な目的としており、子供の権利を突出させることを要求しているわけではない。子どもの権利条例は明らかな国際条約の悪用です」と、この種の条例に警鐘を鳴らされておられます。また、ヤンキー先生で有名な、衆議院議員で現在自民党教育再生実行本部副本部長の義家弘介議員も、既に平成20年には、国連発児童の権利条約は公教育を破壊すると警鐘を鳴らしております。そして民間シンクタンク「日本政策研究センター」研究部長の小坂 実氏は、「札幌市、広島市、新潟市などの政令指定都市でもこの子どもの権利条例の策定が進められている。いずれも左派系首長が条例づくりの原動力となっていると見られる」と、著書の中で述べられています。

さて、6月議会で、子ども未来部長は「日本国政府においてもこれまで計3回にわたり、国連・子どもの権利委員会への報告を行い、その報告に対して、1998年、2004年、2010年に総括所見とあわせて多くの指摘がされており、その指摘の中でも、自治体レベルで取り組むことができるものとして、子供の意見表明や、参加の促進といった項目や、また子供が自分自身のことや虐待、いじめ、体罰などについて安心して容易に相談できる相談体制の充実に努めるといった項目などを、この条例の骨子案の中で上げたと、積極的に取り組んでいる様子が述べられています。そこでお聞きしますが、本市はこの国連・子どもの権利委員会から、その勧告に従って子ども条例をつくりなさいと直接の指導や注意を受けたのか、市長にお聞きいたします。

■【市長・答弁-1】

国連のいわゆる子どもの権利条約を精神として尊重していく必要があると考えており、この勧告に基づいて奈良市が策定をしようとしているというわけでありません。

●【植村・質問-2】

奈良市は別に勧告を受けていない。いうなれば日本国政府を頭越しに越えてそれを実現しようとしていると、このような感じを受けます。これはちょっと何か特定のイデオロギー的なものも私は感じてしまいます。

それでは、もう1点、市長にお聞きしたいんですが、子ども未来部長も、国連・子どもの権利委員会からの勧告の精神を受けて、報告に対してその委員会から過去3回、1998年、2004年、2010年の総括所見とあわせて多くの指摘がされており、自治体レベルで取り組むべきものを取り込んだと、このように述べておられますけれども、この2004年の勧告の中での、総括所見の最も重要な部分であります児童の意見の尊重という項目において、我が国はどのような勧告を受けたのか、御存じでしたら簡単に御説明いただけたらと思います。

■【市長・答弁-2】

この国連からの2004年の総括所見は、今手持ちに詳しいものもございませんので、もし必要であればすぐに調べさせていただきます。

●【植村・質問-3】

それでは、私のほうから紹介させていただきますと、児童の意見の尊重の27というところで、国連・子どもの権利委員会は、「児童に対する社会の旧来の態度によって、彼らの意見の尊重が家庭、学校、その他の施設、そして社会全体において制限されている点について懸念する。」と、このように表明した上で、28で、(a)「家庭、裁判所、行政組織、施設及び学校において、児童に影響を及ぼす全ての事項や政策策定への児童の参加を円滑にすること」、また(d)は、「児童が、学校及びその他の教育機関、余暇その他の児童活動のための施設における施策を決定する理事会、委員会、及びその他の集団に定期的に参加することを確保することを勧告する。」と、このようにあるんですね。
これから、次に、教育分野ではありますけれども、この教育分野、これ教育委員会の方もこの子ども条例検討委員会に入っていただいていたので聞きたいんですけれども、時間がないので進めさせていただきますけれども、どのように書いていたかと言いましたら、生徒、親及び関連するNGOの意見を考慮しつつカリキュラムを再検証すること、このように勧告されています。要するに、家庭での子供へのしつけや、学校での校則やカリキュラムあるいは司法における少年審判のあり方や、教育制度などの決定過程にまで子供を参加させ、その意見に耳を傾けよと言っているのと同じことなのですね。そして、このような勧告を日本政府がそのまま受けて実行するとは、私は思えないわけであります。
その政府を頭越しに、本市は積極的に取り組んで、この精神を取り込もうとしておられるわけですけれども、さらに教育分野で気になったことがあったんですが、後ほどの通告の課題において必要なんですが、教育分野の勧告の49の(g)には、歴史教科書のことに触れており、「検定制度にも拘わらず、いくつかの歴史教科書が不完全乃至一方的な内容であることについて懸念する。」と、このように委員会は勧告しているわけなんですね。もうここまで来ると、我が国を非難しているどこか周辺諸国の意見そのもののようにも感じ得ます。一体なぜこの国連・子どもの権利委員会は、児童の権利条約を逸脱したとんでもない勧告を出すのだろうかなというふうな疑問が湧いてくるわけですけれども、そこで小坂 実研究員は、著書の中でこのように答えておられます。「実はこうした勧告は、日本の左翼運動の一つの成果だと言える。すなわち国連子どもの権利委員会は、報告書の審査に関してはNGOの意見も参考にはしているが、日本の左翼はその機会を利用して最大限に働きかけを行っているからだ」と、このように著書の中で述べておられます。
さて、このような中で、次は子ども未来部長にこの骨子案について、具体的なことをお聞きしたいんですが、児童の意見の尊重の関連で、子供に関する施策について、子供が意見表明をし、参加する場として子ども会議を置くとあり、その運営のためには、本市に予算的な支援を求めることが担保されているわけですね。この子ども会議なるものは、国連・子どもの権利委員会からの勧告のうちで、本市が取り組み可能なものを条例化したことから、当然に児童の意見の尊重の意義から、家庭または裁判所、そして行政組織または施設及び学校において、児童に影響を及ぼす全ての事項、例えば校則だとか、学校のカリキュラムや、また司法においては少年審判など、または私立や国立の学校の校則や政策策定へ参加する権利、これを求められれば、条例の骨子案のIIの4で、「子どもは、この条例の基本理念にのっとり、子どもにとって大切な権利の保障を求めることができる。」と、このように書いてあるんです。ということは、保障を求められれば、保障しなければならないと考えるんですけれども、そうしなければ人権侵害となる、そのように考えられるんですが、このケースの場合は参加させるのか、お聞かせください。

■【子ども未来部長・答弁-3】

子ども会議で教育政策の策定に参加する権利が求められた場合などでございますが、条例案の中間報告の中で、基本理念といたしまして、子供の成長及び発達に応じ、その思いや意見に耳を傾け、子供の最善の利益を第一に考慮することと規定しております。そのため、子ども会議から意見が提出された場合は、子供にとって何が最善なのかということを第一に考えて対応していくことになると考えております。

●【植村・質問-4】

しかし、基本理念の2の(1)で、「子どもが権利の主体として尊重されることを全ての取組の基礎とすること」とあるんですね。大人が子供にとって何が最善なのかを第一に考えて対応していくとしても、この条例骨子案IIIの5に大人の役割と、またIIIの6に市の役割や義務はありますけれども、大人の都合で子供にとっての最善の利益を決定する権利はないと思うんですが、どこでそのことは担保されているのかお教えください。

■【子ども未来部長・答弁-4】

子供にとって何が最善なのか、それぞれ子供の成長や発達、また置かれている環境などによって異なりますけれども、そのため条例案の基本理念におきまして、まず、子供の思いや意見に耳を傾け、その上で子供にとって最もよいことは何かということを第一に、大人と子供がともに考えて取り組んでいくことを規定しております。

●【植村・質問-5】

今御答弁いただいた中で、大人と子供がともに考えて取り組んでいくということを規定していると、このように今お述べですけれども、基本理念の2の(2)には、「子どもの最善の利益を第一に考慮すること」と書いてありますけれども、ともに取り組んでいくという子供の義務、この義務は規定されていないと思うんですが、どこに子供が、大人と子供がともに考えて取り組んでいくというような規定をされているのかお示しください。

■【子ども未来部長・答弁-5】

子供にとっては、自分にとって大切な権利が保障されているのと同様に、他者の権利を尊重するように努めるということを子供の大切な権利の事項で規定させていただいております。以上でございます。

●【植村・質問-6】

いや、いや、子供の権利のことを聞いているんじゃなくて、今、言わはりましたやろう。大人と子供がともに考えて取り組んでいくということを規定しているということは、子供に義務を課しているわけですね。その義務はどこに規定されているんですかと。子供が何々をしなければいけないということは、この条例案のどこに規定されているんですかと聞いているんです。だから、条項で答えていただいて結構です。子供はこうしなければならないといって書いてあるところ。時間がない。休憩。時間とめてください。

■【子ども未来部長・答弁-6】

この条例におきましては、基本理念におきましては、子供の参加、意見、これを私ども大人が聞かせていただく。子供からどういうふうな意見があるのかを聞かせていただいた上で、私ども大人とともに考えて、何が子供にとって最善の利益かということを考えていくというところで規定させていただいております。以上でございます。

●【植村・質問-7】

それ、全然私の質問に答えていないじゃないですか。子供の義務ですよ。大人と子供がともに考えて取り組んでいくということは子供側の義務を規定しているわけです。その義務はどこにあるのかと言っているのですけれども、全然違うことを言っているじゃないですか。それは大人の義務を言っておられるんじゃないですか。もう結構です。ないわけですから、そんなこと規定されていないんですよ。要はそこにこの条例の問題点がありまして、要は、子供の権利はどんどん書かれておりますけれども、義務というものが全くこの条例からは欠如しているんです。それで大人の義務とか役割とかはたくさん書かれているんですけれども、全て子供、子供となって、このままでは子供がわがままになってしまう奈良市の条例だという懸念をしておるわけです。
もう1問予定していましたけれども、もう時間がないので、もう次回にさせていただきますけれども、ことし1月の産経新聞でこう書かれていました。明星大学の高橋史朗教授は、子どもの権利条例について、「そもそも子供の権利をどう考えるのか、教育とは何かについて現場で混乱を招く可能性が高い、まず危ういのは子供観で、子供は権利の主体であり、」--これは本市もそうですね--「解決の主体であって、社会の一員である」--先ほど言わはったようなことですね--「ということが三本柱になっている。先行的な事例だった川崎市の条例でも子供と大人はパートナーだとか、すなわち対等だということが強調されていた。誤った子供中心主義が根底にあると言える」と、こう述べております。
平成6年5月20日に文部科学省は、国連児童の権利条約--この条例のもとになっているやつ、先ほど部長言わはったね--この批准をしたわけですけれども、教育関係について、特に法令などの改正の必要はないと通知しておられます。私も日本国憲法と教育基本法の中で、そんな飛び越えてまでやる必要がどこにあるのかなというふうに思っております。この条例は本当にそういう点を注意しなければならない。権利と義務のバランスというものがなっていない。そのような条例であるということを肝に銘じて今後検討していただきたいなというふうに思います。それから、部長、何も書いていないようなこと、取り消さはったほうがいいですよ、さっきの答弁。そんなこと規定されていないじゃないですか、どこにも。何条の何項に大人と子供がともに考えて取り組んでいくということを規定しているんですか。よく見てください。教えてください、後で。この骨子案の何条の何項にそれがあるということを。いいですね。

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