6月定例議会 一般質問
教育行政と伝統文化の継承について
平成23年6月21日(火)
質問: 植村佳史/答弁: 市長・教育委員長
1. 一般質問(甲案) 教育行政について
●【質問者・植村議員】
先日、枝野幸男官房長官は6日の参院決算委員会で、山谷えり子議員に現在の天皇陛下が第何代なのか?と質問されて「知らない」と述べられ、そして今年は皇紀何年かと聞かれても答えられなかった、と報道されていました。天皇陛下に認証されている閣僚が、第125代天皇である事を知らないのは、枝野官房長官が勉強された中学校歴史教科書には、記紀(古事記・日本書紀)の事について記述がなかったのか?日本国の始まりを知らない我が国のNO2が、日本の舵とりをしていると思うと、本当に怖くなってきました。
さて、今年の夏に、4年に一度の中学校教科書の採択が全国の各教科書採択区において行われる教科書採択は、新しい教育基本法が制定されて初めての採択となります。新しい教育基本法では、「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」ことが教育の目標のひとつとして、示されました。これら教育法規の改正に基づき、学習指導要領の改訂が行われ、教科書会社は教科書の編纂を行いました。
しかしながら、今年3月末に検定合格となった教科書を、教科書センターで調査すると、自衛隊を憲法違反とする意見を強調したり、拉致問題を解決すべき国民的課題とせず、深刻な人権問題・国家主権侵害と教えない教科書。二宮尊徳、勝海舟、高杉晋作、上杉鷹山等の歴史上の重要人物を教えないと言うような、新しい教育基本法や、学習指導要領が求める「国家及び社会の形成者としての資質を養う」とする規定に沿っていない教科書が大半に成っております。
そこで、新教育基本法・学習指導要領に則った健全な中学校歴史・公民教科書を本市の子供達に届ける為に、今回行われます中学校教科書採択について以下の事実および史実について、市長並びに教育委員会委員長の率直な御所見をお聞き致します。
●【植村・質問-1】
先ず1点目としまして、自衛隊は憲法違反でしょうか?東日本大震災の復興支援で東北に展開している頼もしい陸海空10万人の自衛隊、この中には、航空自衛隊奈良基地や奈良県の防災任務を担当している陸上自衛隊大久保駐屯地から奈良県出身の隊員が約30名もおられ、そのうち奈良市出身の隊員が3名おられます。又ハイチ大地震の復興支援災害派遣にも奈良出身の隊員10人が活躍して下さっております。
国土防衛や復興支援災害派遣で活躍して頂いている自衛隊を「憲法違反」と疑える集団という紹介をする公民教科書について、率直にどのように考えますか?
■【市長・答弁-1】
自衛隊がどのような業務を担うのかが、問題だと思います。存在自体を否定することは、非常に困難だと思っています。
■【教育委員長・答弁-1】
自衛隊の活動について、我々の生活を守って頂いています。様々な考えがあって、教科書によって様々な表記があるものについて認識しております。記述について総合的かつ公正公平適正な立場に立って慎重に念密な調査をして採択に努めていきたいと思います。
●【植村・質問-2】
1点目としまして、拉致問題は国民的課題であり、許されない人権侵害・国家犯罪ではありませんか?そうした日本国政府の方針の通りに記さず、北朝鮮による拉致問題が、北朝鮮との関係好転を阻害している問題であるかのような記述をしている教科書について、どのように考えますか?
■【市長・答弁-2】
好ましく無いと思います。
市長=重大な人権侵害だと思っている。
■【教育委員長・答弁-2】
今年の4月の拉致問題については閣議決定で人権啓発基本計画で「拉致問題」は盛り込まれており、重要な人権問題だととらえています。様々な教科書会社の表記がありますが、念密に調べて慎重に採択していきたいと思っています。
●【植村・質問-3】
3点目としまして、外務省の公式見解と異なる領土見解を唱える教科書をどのように考えるのか。特に竹島や尖閣諸島を教えない教科書で良いと考えますか?
■【市長・答弁-3】
良いとは思いません
政府の見解で日本固有の領土と主張しているものには、そのような説明をするべきものではないと思います
■【教育委員長・答弁-3】
竹島や尖閣諸島は我が国の固有の領土と認識しております。
●【植村・質問-4】
4点目としまして、学習指導要領にて、国旗・国歌の「意義」と「相互に尊重する事が国際的儀礼」で有る事を理解させる事を求めているが、数行で誤魔化して、きちんと教えていない教科書で良いと考えるのか?
■【市長・答弁-4】
国旗国歌については、しっかり教えるべきものだと思います。
■【教育委員長・答弁-4】
国旗国歌については、学習指導要領にて児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮すること踏まえて指導するとあります。それに則って公正公平な立場で採択に進めていきます。
●【植村・質問-5】
5点目としまして、歴史上の重要人物を教えない教科書で良いのか?奈良市の小学校にも二宮金次郎の像はよく見かけます。一昨年でしたか、伏見小学校の校長がご自身の退職にあたり、小学校に二宮金次郎の像を寄贈して退職されたと聞いております。おそらくその校長は、勤勉の精神や報徳思想を子供達に伝えたかったのだろうと思います。
さて、日本人の勤勉の象徴であり、且つ、報徳思想を唱えた「二宮尊徳」を歴史上の重要人物として、取り上げなくて良いのか?勝海舟や高杉晋作、上杉鷹山を教えない教科書をどう思いますか?
■【市長・答弁-5】
各出版社毎に見解があるものと思っている。
■【教育委員長・答弁-5】
人物について、十分に調査研究をしてまいります。現在教科書採択研究活動の推進中ですので、意見を述べるのは差し控えさせていただきます。
●【植村・質問-6】
最後に6点目としまして、歴史上明確に疑われる事案について、一方的に断定している教科書で良いのですか?例えば、南京事件について、日本側が一方的に極悪非道に扱われている教科書で、子供たちの日本国への関心が高まりますか?
以上6点について市長及び教育委員会委員長の御所見をお伺いします。
■【市長・答弁-6】
歴史は常に両面があるので色々な視点から顕彰すべきで、デリケートな問題があるので、丁寧に教えるべきだと思います。
■【教育委員長・答弁-6】
これにつきましても、総合的かつ公正公平適正な立場に立って慎重に念密な調査をして採択に努めていきたいと思います。
1. 一般質問 政治姿勢について/工芸館
●【植村・質問】
次に、歴史都市としての伝統文化の継承と経済発展について市長にお聞きします。
昨年の11月1日の産業文教委員会で取り上げられた若手伝統工芸職人の育成目的のネットオークションサイト設立の件について質問致します。
昨年の市長が出席されていた世界歴史都市会議の中で、各国の委員からも意見が出ておりました歴史都市であるがゆえにやらなければいけない事の中に、文化継承のための制度設計が重要であり、いかに伝統技術の継承をするか.また伝統工芸だとか伝統文化を継承するこの職業が、いかに雇用につながっているか、また経済活性化に連動しているか問題定義として上げられていたと記憶しております。そして当日の歴史都市会議ロビーで、若手伝統工芸職人の一刀彫作品も当日実演展示をされておられました。
さて、その後の工芸フェスティバル2010が工芸館で開催され、若い伝統工芸職人の本当にすばらしい作品がたくさん出品されておりましたが、やはりこの若手の方々の作品をPRや販売に繋げる事が育成には重要なのですが、その方法として、奈良市の公用車等をインターネットオークションで出品して販売されている事にヒントを得て、こういった伝統工芸作品を、世界的にPRできるインターネットオークションサイト等を、立ち上げ、観光振興にも繋がる奈良の若い伝統工芸職人の作品をどんどん世に広めていく事業展開する事はできないか?と提案質問をしました。
その、答弁で山本観光経済部長は伝統工芸の後継者育成研修者の養成に関して、「今後、奈良の伝統工芸を担っていこうという若者を支援していこうという制度を展開しており、研修生は一人前のプロとして自立できる技術を積むべく、各工房主の指導のもとで研修しておられる。またそれ以外に奈良の伝統工芸をPRする場面にも参加いただき、情報発信を行っていただいており、現在のところ、あくまでも研修生であるが、卓抜した技の一端を拝見できる方もあり、彼らに関する情報発信の充実及び今後の支援策をさらに検討して、奈良の伝統工芸、伝統産業の保護・育成に努めてまいりたいと考えております。」と委員会で答弁され、委員会終了後に、観光経済部長は、私に、「議員さん、これはいい案なので、勉強させて下さい!」と良い返事を頂きました。そして私は、その事を、工芸館の館長にも相談させてい頂いたところ、若手の励みになります。と大変喜んでおられました。
「インターネット市有財産売却オークション」はどんどん展開しておられますが、あれから8カ月が過ぎましたが、その後、伝統工芸の後継者育成研修生の支援であるネットオークション販売サイトの設立について、本市としまして、どのように勉強され、進んでいるのか?具体的にご説明をお願いします。
以上1問目と致します。
■【市長・答弁】
進捗状況は分からないが、議員ご指摘の通り、私も同じように考えていますので、積極的に進めていきたいと思います。
2. 教育行政について
●【植村・質問】
2問目は自席より行います。市長に再質問を致します。
教科書の記述について、どうも私が質問しております事とは、違う答弁を頂いているようなのでもう一度お聞きしますが、私が聞いておりますのは、自衛隊の存在について聞いておるのではなく、自衛隊を「憲法違反」と疑える集団という風に書いている教科書について、どう考えるのかと聞いております。
それから、国旗国歌に関しても、大阪府知事の条例化もあるように、そもそも国旗国歌を学習指導要領では、学習指導要領では国旗と国歌の意義を理解させとあるのに、国旗は日の丸、国歌は君が代、平成11年に法律で決まりましたと、わずか1行ぐらいでごまかしている教科書をどう思うかと聞いております。
次に、歴史上の重要人物についてですが、個別の教科書をどうのこうのと聞いているのではない。本市の小学校にも明治小学校・辰市小学校・飛鳥小学校を初めその他沢山の銅像があり、二宮尊徳の銅像が立っています。その二宮尊徳や勝海舟・高杉晋作・上杉鷹山を書いていない教科書をどう思うのかと聞いています。
それから、南京事件に関しても、日本側が一方的に極悪非道に扱われている教科書で、子供たちの日本国への「関心が高まりますか?」と聞いております。
次に、仲川市長は拉致被害者に関しては、昨年12月議会で大坪議員の本市の取り組みについての質問に対して、市長は、「拉致問題は非人道的な人権侵害問題であることから、この問題につきましても、さまざまな方法で市民に対する啓発に努めるとともに、本市の人権文化推進計画における取り扱いについても、今後検討していく」と答弁されました。
そして、教育長は、先日の産業文教委員会での、4月1日に政府は「人権教育・啓発に関する基本計画」の人権課題に「北朝鮮当局による拉致問題等」を入れると閣議決定され、文部科学省では「児童生徒の発達段階等に応じて、拉致問題等に対する理解を深めるための取組を推進する。」と決定され、4月28日に本市はその通達を受けておられます。
それを踏まえて本市の教科書採択における各社の検定合格した公民教科書の拉致問題記述についてどのように感じるかの質問で、教育長は「拉致問題については国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、人権侵害であると認識しております。この問題につきましては、教科書等を使ってしっかりと教えなければならないと考えております。」と答弁されました。
さて市長は、拉致問題については重要だと言われましたが、今度上堤されました。
議案第62号の奈良市基本計画の第1章市民生活 1-03人権・平和・の箇所で、施策を取り巻く現状と課題・目標・展開方向を見てみると、高齢者・子供に対するいじめ・DV・同和問題・インターネットの誹謗中傷・平和学習等は記述されていますが、閣議決定された「北朝鮮当局による拉致問題等」の取り組みが、全く記述されていませんが、答弁のわりに、実動が伴っていない様な気がしますが、一体どうなっているのでしょうか?
■【市長・答弁】
二問目は自席からお願いします。
自衛隊・こういった考え方の教科書をどう思うかという事ですが、拉致被害者問題について、国際的な人権問題であると認識しております。また基本計画の入っていないのも認識しておりますが、基本計画の人権問題に含まれていると思いますので、大きな展開方法で様々な事業活動を考えていきたいと思います。
■【教育委員長・答弁】
二問目は自席からお願いします。
先ず自衛隊を初め一方的な教科書問題について踏み込んだ答をしていないではないかとの事ですが、現在は教科書採択に向けて調査研究中でありますので、現時点で踏み込んだ見解のお答えについては、控えさせていただきます。
それから、植村議員ご指摘のような、教科書を使用するので良いのかとの事ですが、議員のおっしゃる意図は良く分かりますが、この教科書見本は文部科学大臣の検定を通ってきておりますので、一定の国の基準を満たしたものだと考えています。表記上の記述とか様々な違いはありますが、これについて十分調査をしていきたいと思います。
3. 教育行政について
●【植村・質問】
3問目をお聞きします。
最後にもう一度お聞きしますが、閣議決定された「北朝鮮当局による拉致問題等」の件で、なぜ基本計画にいれないのか?拉致問題は重要じゃないのですか?実施計画に入れる。との事ですが、基本計画に入れた事は行う!無いものは行わないが鉄則です。市長のブログのように簡単に書いたり、消したりできるものでは無いのです。
ブルーリボンのこの青色の意味は、北朝鮮の拉致被害者が見ている空の青色と日本の我々が見ている青い空が繋がっているとの意味です、横田めぐみさん他拉致被害者の方々は日本人であり同胞であります。もし市長の娘さんであったら市長はどのようにされますか?何としても助けたいと思うでしょう!
最後にもう一度聞きますが、基本計画に入れて下さい。再度お聞きします。
■【市長・答弁】
問題の重要性は認識しておりますので、総合計画において具体的な実施計画に入れていきたいと思います。