食エッセイ ★ワタリガニのスパゲッティ−

 


      

【ランチ編/ワタリガニのスパゲッティ− 】・・・・・マンドリーノ北新地店

お昼ご飯はビジネス・パーソンの最大の楽しみであり、悩みでもある。
社員食堂や愛妻弁当とほぼ定番メニューで過ごせる方は別として
さて今日は何を食べよう?・・・どこに行こう・・・一時間以内で!
大げさに言えば、人生の毎日の修練でもある。

特にうっとうしい梅雨時期から真夏にかけては
値段や味のみならず、食欲をそそるもの、清潔なもの、あっさりとしているもの
店のゆったり感、涼しさなど条件は厳しくなる。

その点OLさんは、良く知っていて彼女達のお眼鏡にかなうところは
二重マルである。

さて、先週の雨の合間の晴天の暑い日。
会社の同僚OLさんとランチを共にする事になった。
パスタでもと言う事になって赴いたのは、マンドリーノ北新地店。
ここは、夜は本格的なイタリア料理を食べさせてくれる店である。

しかし、お昼も、お手軽料金で逸品を食べる事ができる。
私達が選んだのは1,500円のBランチ。
選べる前菜とパスタ類、そして焼きたてのイタリアパン、しかもドリンク付だ。
私がチョイスしたのは、スズキのカルパッチョの前菜と
かの有名なワタリガニのスパゲッティ−だ。

酸っぱくてさっぱり感で食欲増進させるスズキのカルパッチョ
はこの季節食べやすくてさわやかである。
そしてかの有名なマンドリーノのワタリガニのスパゲッティ−!
スパゲティーにどんと乗っかった目にも美しい菱形の紅い蟹の甲羅は
小市民を幸せにさせる重量感がある。
蟹のエキスと、しっかりとした麺の腰(シコシコ感)が絶妙の相乗効果を呼び
絶妙の音楽を奏でている。
蟹の身を取る為のステッィク、指を洗う為のフィンガーボールも用意してもらえる。
店内はシンプルで清楚な創り、椅子やテーブルも広々。
スタッフも高級感のある、でも嫌味のないサービス。
また、料理を運んでくれるのはゆっくりペース。
時間がないと言う方は、具合悪いかも知れないが
1時間の昼休みを優雅に過ごすには塩梅の良い時間割。

考えても見てください、通常昼飯を食べる時間は15分
後、40分を喫茶店で過ごすと言う方多いのでは。
料金的にも、マクドナルドや吉野家を別にして
昼飯代750円前後、喫茶店代350円前後・・・つまり一食千円は越します。

マンドリーノでは、コーヒー付で、950円のランチもあります。
本格料理と綺麗な店内を楽しめてタップリ1時間を店内で過ごすことが出来る。
これは、お値打ちと言う他ありません。
(残念ながら、ワタリガニのスパゲッティ− は1,500円のコースから)

しかし何より蟹?より、何の変哲もないパスタ(これだけでも充分おいしい)に
ワタリガニ君を一匹丸ごと入るって言う発想はどこからきたのでしょう!
感動ものです。


たまたま、出張の際、日本航空の機内誌(ウィング6月号)を読む機会があった。
そこには、オマール海老についてのエッセイが掲載されていた。

北イタリアのとあるレストランでの事
「メニューを見せてください。」と著者。
「私自身がメニューだ。食べたいものをいいなさい。」・・・とシェフ。
「では、オススメは」
「オマール海老の良いのが入った、これを食べないのは犯罪である。」
とシェフは、オマール海老を潰し、パスタにからめたものを
出してしてくれたとある。
元々、本場イタリアでは、トマトなど野菜類だけではなく
海産物の素材などもパスタとうまく調和させてきたのかも知れない。

立ち食いソバを初めワン・コインの昼食も良いが
時には、優雅なお昼を楽しむのは長い人生の潤滑油であると思う。
但し、難点はこの手のお洒落店は、女性客が多く(しかも並んでいる!)
一人または、男性同士で入りにくい点かもしれません。

◆祭 作太郎