『機会の損失』・・・やらない事の罪

失敗(リスク)を恐れて、結局なにもしない(やらない)事の罪。
人は誰でも多かれ少なかれ、ある程度(質は別問題として)の情報を持っている。 
その情報を「活かすか」、「活かさないか」が分かれ道。 
 
●例えば、人脈を広げたいと思っている人が、 
興味のある「交流会」の情報をつかんでいる場合の話。
 参加すれば、負の部分を抱えてしまう恐れがある。
 でも、参加しなかったら何も始まらない(機会を損失してしまう)だけ。

交流会に出てみると結果 
1.すごく自分の為になった。
2.つまらない内容で出なかった方が良かった。
3.勧誘目的の最低なものだった。 

★2や3の結果でもその失敗が経験となって次のステップになる。
 ・・・・・・・教訓を得る。

★参加しなければ何も始まらないし、また、同じ事で(参加しようか、しまいか)悩む。
 ・・・・・・・時間の損失。
★もしかしたら、2度ともうそのチャンスは来ないかもしれない。
・・・・・・・機会の損失。 

●人付き合いでも同じ事。 よく簡単に約束を反故したり、
優先順位をつけてしまう人が多い。 
人付き合いの機微をわきまえている人は、
問題が発生したら どんな方法をとっても軌道修正したり、
最善な形を考えて理解してもらえるよう務める。 
相手や決め事を軽くみたり、テクニックで誤魔化しても いつかは見破られ、信用されない。 
次第に、その人には重要な情報などは伝わらなくなり機会を損失してしまう。 

●太閤記(豊臣 秀吉)を読むと、 全てがトントン拍子に事が進んだ、
幸運の持ち主と言う印象がある。
けれど、彼の同僚は彼と同じような「出世の機会」を 実は豊富に持っていたのかもしれない。
秀吉の持っていた、創造性、独創性など天性の資質も大いに関係あったのは事実。
が多くの同僚達も「出世の機会」はたくさんあった事だろう。 
 
★「秀吉はわらじを懐で温めて信長に取り立ててもらった」 
と言う説話(エピソード)から
 「他のわらじ取り」も大きな声で挨拶するとか、村の庶民の声を殿様に伝えるとか、
 目立つ(アピールする)方法はたくさんあったはず。
「信長の機嫌をそこねると打ち首」と言ったような大きなリスクはあったにせよ。
でも結果、「他のわらじ取り」は何もせずに(通常の仕事のみをこなして)
 機会を損失したのかもしれない。
 秀吉がわらじ取りから昇進した後、
 一体何人の後任者(次のわらじ取り)が居たことだろう?

 秀吉がわらじ取りから、昇進した後、 
◎士分に取り立てられ、命がけで墨俣の一夜城を造った。 
◎大名に昇格し、負け戦で危険が一番大きい殿(しんがり)に手を挙げる。 
◎信長暗殺後、一番に駆けつけ天下分け目の戦を仕掛けた。

 ★秀吉の群を抜いた才能、運の強さは決して否定できないが 
他の同僚も(あらゆる時空の各段階で)同一のチャンスがあったのは確か。
 やるか、やらないかだ。
 ●現代で言えば、平社員は平社員なりの、課長は課長としての、
 社長は社長の立場のそれぞれの階段(レベル)に置いて
様々な「機会」があるのかも知れない。 
周りの反対やリスクに尻込みして、自分のやりたい仕事をしなかったら 
結局、本人に取っても、会社に取ってもその罪は大きい。 
やらないより、やって失敗する方がまだまし。(そんな気がしませんか?) 

 ◆◆◆◆◆なら、どうやって機会の損失を防ぐのか?◆◆◆◆◆

 ●まずは、自分を鍛える他ありません。 
★手始めに出社の途中、ビルの警備員の方にも、清掃のオバサンにも
キチンと挨拶するところから始めましょう。 
その人達自身や知り合いが良いお客さんになったり、
 仲良くなって有効な情報を手にする、と言った幸運も考えられますが。
 ★実は本質は自分自身を鍛える事が大事なのです。
 自分が優位に立てる人や目下に見える人に対して もう少し関心を持ち、敬意を払いましょう。
 部下であろうと、業者さんであろうと、喫茶店のマスターであろうと
 自分より(立場的に)偉い人であろうと同じ扱いをしましょう。
 接する人によって態度を変える人間は、大事を語れません。 

 ここで、中国古典『大学』から一つ 

★★★君子必慎其独也(君子は必ずその独りを慎む)★★★ 
〜他人の目があろうとなかろうと常に慎重に振え〜 
 見ている人は見ていますし。誰もいなくても自分は見ています。 

●博打をできる人が、一か八かの賭けに勝つのではなくて 人格形成を目指し、
常に自分を磨いている人が機会を損失しないと私は考えます。 
また、後日のテーマに引き継ぎますが、
 崇高な人格形成は『地の利』、『時の利』、『人の利』、と言った
 「勝者への条件」にも全て繋がっていくのですから。 
 
 ●機会の損失を防ぐ第一歩は、人との付き合いの大切さを学ぶこと。
その人との付き合いをうまくできるようにするには (うわべではない)、
本当の人格を磨く事。 
そこは入り口であり、スタート地点である。
 
作・加地 光広