カワウ(カツオドリ目ウ科)河鵜
Phalacrocorax (パラクロコラックス ウ属-ギリシャ語でphalakros禿頭のcoraxカラスの意
carbo(カルボ 炭=黒い)

Great(大きな) Cormorant(ウ類-海のカラス)     L82cm W129p

ユーラシア・アフリカ・オーストラリア及び北アメリカの東海岸地域に分布。
日本では、留鳥として本州から九州にかけて分布し、海岸から河川、湖沼などに生息する。東北地方北部では漂鳥。四国地方では主に冬鳥として渡来する(徳島県などでは一部が留鳥として繁殖する)。九州南部から南西諸島では冬鳥。他のウ類とは異なり水辺近くの樹上に集団で営巣し、近くの湖沼、河口、入り江などで潜水して魚を捕食する。繁殖期以外も群性が強く整然と隊列を組んで飛び、集団ねぐらを林の中につくる。
【声】「グワー」「グルルッ」などと鳴く。

【名の由来】川に生息するウなので“河鵜(カワウ)”。“ウ”は「水に浮く」とも、ウの羽で産屋を葺いた神話から「産む」に由来するなどいわれている。
○奈良時代からカワウ・ウミウを区別せず「ウ」「シマツトリ」の名で知られていた。江戸時代中期になって区別して「カハツ」、後期になり「カハウ」とも呼ぶようになる。異名;「カラスウ」

◇馬見丘陵公園では、主に冬季 大和川をねぐらとするカワウが飛来する。夏季には上空を飛ぶところを観察することがある。

2005/02/09  三重  営巣するカワウ♂♀    繁殖羽・婚姻色
雌雄同色。全体はほとんど黒色だが、背、肩羽、雨覆は光沢のある茶褐色で、羽縁が黒い。嘴は肉白色で、基部の裸出部が黄色く、根元の形は尖らず丸みがあり、その外側の裸出部は白い。虹彩は緑色。
繁殖期 ;嘴と基部の裸出部が黒くなり、眼の下に紅色の婚姻色が出る。また頭部と腿部に綿状の白色の繁殖羽が生え、足の付け根に大きな白斑が出る
飛翔時;翼の位置が体のほぼ中央にあるように見える。
幼鳥;全体に淡色で、体下面が白っぽくなるものもいる。
2005/01/04  馬見   成鳥(非繁殖羽) 2006/01/02  奈良  幼鳥
2008/05/23 大阪  非繁殖羽    翼を広げて羽を乾かす 2004/12/18  愛知  朝 ねぐらから餌場に向かう列
潜って魚を採るため翼に水をはじく油分が少なく、
潜水後の日光浴は欠かせない
ウミウとの識別ポイントへ
一時は農薬の影響で絶滅が心配されたが、農薬使用の減少でその数は増加してきた。
カワウが群れで魚を追いかけ捕食することから、地域によっては漁業被害で害鳥として追われている。
またネグラ・コロニーの木々が糞によって白くなり枯れることから嫌われ、コロニーの木を切られたりしている。
追われたカワウは別の場所に移り繁殖を行い、分散し全国にその繁殖地は広がっている。
カワウには何の罪もないのだが、カワウと人との共生問題は難しい。
(江戸時代では糞を集めて肥料にしたためカワウは保護されたが、化学肥料の出現によって使われなくなった)