趣味のページ
「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれるたびに、私はよく困っていた。趣味、それが「好きなこと」だという意味なら、私は研究すること、講義やゼミをすること、そして家族とともにいることが大好きなのだ。しかしだからと言って、「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれたときに、「仕事です」とか「家族です」と答えると、相手は「えっ!なんて、この人、無趣味なの?」という憐れむような目をするか、「けっ!なんてイヤ味なヤロウだ!」と嫌な顔をするのである。
動物うらないで「サル」の私は、そんなことが耐えられない。「サル」はサービス精神が旺盛なのである。だから、実は「仕事ってすごい楽しいし、楽しいことこそが仕事になっていくんやないんか」とか「生きることはいろいろあって楽しいし、それを一緒に見ていける家族が趣味になって何が悪いねん」と内心思っているのだが、ついつい相手が望んでいるであろう答えを一生懸命に探してしまうのだ。
そしてついに、行き着いた答えが、「クルマ」「映画」「推理小説」「音楽(ロック・ポップス)」「テレビ鑑賞」なのである。だから、これらが趣味と言っても、そんなに深いところまで知っているわけではない。「映画」や「推理小説」好きには、ディープな人たちがいて、「じゃあ、どんな映画が好きなの?」とか「こんな推理小説は知ってる?」と聞いてくるのだが、これは、そんな人たちへの言い訳である。
だが「じゃあ、どんな映画が好きなの?」と聞いてきてくれるときは、まだましである。「テレビ鑑賞」となると、「なんと、しょぼい趣味...」とまたもや憐れむような目になり、黙って立ち去られてしまう。でも、「テレビ鑑賞」がなぜしょぼいのか?と私は思う。「テレビ鑑賞」が趣味になる、これはすごいことではないのか?だって、戦前には、そんな趣味なんてあり得なかったのだから。と社会学者らしく言いつつ、実はこれも「しょぼい」と言われることが悔しいだけなのである。