木質構造の学習 - No.11 真壁で面材耐力壁を使う時の注意点

5. ホールダウン金物が取り付く部分の受け材の緊結方法についての問題点(その3)

2004年4月

市販のテキスト等に、真壁耐力壁の収まりが図等を用いて説明しているが、その具体的な施工要領は明記されていなく、どのような受け材をどのような接合金具で、さらには接合金具の種類に至るまで、性能を担保するための設置方法等が記されていないから、前記の問題点が発生しているのだと思われる。

前記のの問題点を解決する方法として、性能と施工性の両方を考えた時に、下図のような受け材を介したホールダウン金物の設置とし、面材に打たれる釘も大壁時と同等の本数が設置できるので、構造的に望ましい設置方法である。



性能と施工性の両方を考えた時に、図のような受け材を介したホールダウン金物の設置とし、面材に打たれる釘も大壁時と同等の本数が設置できるので構造的に望ましい設置方法である。

注)近年、Zマーク金物同等認定品でホールダウン金物のビスタイプが出回っているが、ビスタイプでは受け材を介した仕様で行うと、ビスののみ込み長さが少なくなり、金物の性能が発揮出来なくなる恐れがあるため、受け材を介した真壁仕様ではビスタイプのホールダウン金物は適していない。



しかし、役所や民間の確認機関等の検査官は「受け材を介したら、ホールダウン金物の性能が落ちるので、柱へ直接設置しなさい」などと言う人もいるが、受け材を介したらどれだけ性能が落ちるのかというと、いきなり耐力が半分になったりすることは有り得ない。

逆に受け材を設置できない部分があるため、その部分へ釘が打たれなかったり、打たれても受け材がいい加減に設置されていれば、耐力壁としての性能が確保できなくなる可能性が高くなると言えるが、検査官等はそのことまできちんと理解しているのであろうか?

検査規準等をもう一度見直してほしいものである。

また、構造設計・監理を行なうことで、上記の様な問題は解消することが可能となるが、条文や告示の型にはめ込むだけで、何も工夫しないで施工されている現状が問題ではなかろうか?


 ©Tahara Architect & Associates, 2004