雑壁の存在は前提条件とされ、壁量計算法では見かけ上、壁倍率を1.5倍割増していた。
実際の雑壁の有無に関わらず、強制的に雑壁が計算されていたといえる。
雑壁は別途計算となったが、壁量計算では、耐力壁の壁倍率の計算方法を建物内に組み込まれている時の実際の状態に合わせて見直したり、柱頭・柱脚金物の規定を強化することで耐力を稼ぎ、新旧の壁倍率を同じにしている。
そのため構造計算の計算のやり方が変わったのに、壁量計算は変わらないというある意味ややこしいことになっている。
しかし、同じような仕様なのだから実際に耐力が上がっているわけではない。
金物があるので、雑壁が無くても倒れないというだけである。
そのかわり、品確法の計算や新しい許容応力度計算を使えば、雑壁の有無による影響を検討することができる。
旧基準で想定していたレベルと同程度の建物の剛性を得るには、雑壁を加えた耐力の総計が耐力壁だけの場合の1.5倍程度が目安となる。
品確法の耐震等級で言えばレベル3であれば、同じレベルが確保されていることが確認できるわけである。