阪神淡路大震災の被害事例を教訓に、2000年6月に建築基準法が改正されて3年が経過した。
@ 建物の水平方向のバランスに関する規定(偏心率・1/4分割法)
A 建物の接合部の強度に関する規定(仕様明示は耐力壁両側の柱頭柱脚のみ)
B 地盤の強さに応じた基礎の仕様規定
この3点が大きく改正され、それぞれに詳細な内容を定めた仕様規定が明示されるようになったが、これら以外についての仕様は明示されず相変わらず曖昧なままなので、これからの新築住宅においても写真-1のような被害が発生する可能性はある。
改正建築基準法の施行と同年に「住宅の品質確保促進等に関する法律(以下、品確法)」が出来たが、構造計算より簡易な手法できちんと建物の安全性を確認するもので、最低限の建築基準法の問題点がフォローされている。以下に品確法で検討する項目を示す。
1:建物の水平方向のバランスに関する規定(偏心率・1/4分割法)
2:建物の接合部の強度に関する規定(仕様明示は耐力壁両側の柱頭柱脚のみ)
3:地盤の強さに応じた基礎の仕様
C:外力の計算 地震時の壁率が実際と違う
(実際の建物重量でなく、重い屋根で約20〜30%増と甘く想定されており、特に被害の多かった土葺き瓦等の土で構成された木造住宅の重量が規定されず、重い壁率に当てはめると、実際の重量の約50%となり、非常に危険と思われる。これが品確法の壁率UPの根拠である)
風圧時の壁率(地域による風の強さ)
D 耐力壁の詳しい計算 (耐力壁要素以外の小壁等の評価)
E 床の強さ (床構面・屋根構面の剛性等の評価)
F 梁の接合 (水平構面廻りの接合部の評価)
G 横架材 (スパン表による条件別断面表)
H 基礎 (スパン表による条件別断面表)
1〜3までの項目は当然建築基準法(品確法等級1に該当)で定められているので、品確法でも検討を行なう必要がある。
木造の構造的な弱点となりやすい「吹き抜け」「下屋」は、主にEとFの検討項目に関係しており、いるので、それぞれ説明していく。