耐力壁が木造住宅を作る上で重要な要素であると述べたが、その耐力壁もいろいろな種類があり、耐力も千差万別である。
木造住宅ではこのことを考えて構造を考えなければならない。
耐力壁という考え方は過去をさかのぼると大陸より渡来ししてきた最初の木造技術では柱と横架材の接合部における抵抗機構であり耐力壁という概念はなかったと思われる。
しかし、プライバシーや暑さ寒さから身を保護するため壁という概念が生まれたと想像できる。
その壁に貫を入れて小舞をし土壁を構成することになったのだろう。
この土壁及び貫が一般の住宅では主な耐力壁となり現在まで残っているのである。
しかし、明治維新に西洋の技術が導入され筋かいといわれる斜めの板材で三角形を作り、地震や風の横からの力に抵抗させようとする考え方が導入されたのである。
そして、2×4構法が導入され面材耐力壁使われるようになり、これが軸組み構法の家でも使われるようになって現在に至っている。
このように、日本の木造住宅では様様な耐力要素が使われているが、筋かいは断面の大きさにより抵抗力が違ってくるし、土壁においても厚さによって耐力が変わってくる。
面材も多くの種類が存在し、耐力もいろいろである。
そこで構造計算を簡略化するため、外力に抵抗するのに基準の耐力壁が何m必要か(必要壁量)を算出し、それよりも、加力方向に平行な耐力壁の長さ(=実際の各種耐力壁の長さ×壁倍率 の総和)が大きければよいという方法が用いられている。
これが壁量計算法といわれるものである。
個々の耐力壁の性能差は壁倍率を用いて基準の耐力壁の長さに置き換えられ、安全性の検討は単純に壁の長さを比較するだけですむようになっている。