わが国において、現在の建築基準法では次のように考えられている。
耐力壁とは、木造住宅において毎年影響を受ける台風などの風や数十年〜数百年に一回程度起きる可能性のある地震等の外力に対して、抵抗しようとする要素である。
また、耐力壁は単独で成り立つものではなく小壁・垂れ壁・腰壁などにより開口を持つ連続した壁で成り立つものである。
この連続した壁を壁線という。
更にその壁線が外壁及び内壁の間仕切り壁など複数存在する事により木造住宅は成り立っている。
この、壁線にある小壁・垂れ壁・腰壁などを雑壁と呼び、耐力壁と同様に地震などの水平力に抵抗する役目を持つ重要な壁でもある。
この雑壁を耐力壁と同様の性能のあるもので構成する事が木造住宅の耐震性を向上させる重要な道でもある。
現在の仕様規定の建築基準法における壁量計算においても、この雑壁が1/3の効果を持っているとみなして壁の量が決まっているのである。
実際のところ、阪神淡路大震災以後の実大実験等では耐力壁のみの場合に比べての1.5倍以上の性能を発揮することが確認されている。
北日本の住宅などで掃き出し開口や欄間開口などの通風のための開口を重要視しない住宅は、この雑壁と呼ばれる部分が非常に多く存在する。
1960年代から90年代にかけて起こった地震で北日本の住宅の被害が少なかった理由の1つはここにあると考えられる。
しかし、関東以西の温暖地域帯では夏の通風を重視しした掃き出し開口の大きな住宅が一般的であり、さらに欄間を和室部分に設けたりして雑壁と呼ばれる部分が非常に少なくなっている場合が多い。
このように、雑壁の量は地域による違いも大きい。
耐力要素というと耐力壁だけと思われがちだが、雑壁は耐力壁線における水平抵抗要素全体の50%以上に達する場合があるので出来るだけこのおまけ(雑壁)の要素の部分を多く、また耐力壁と同じようにきちんと作る事が耐震的な住宅を作る上での鍵となる。