壁基準耐力 Pw0 は、軸組等の基準耐力と内外壁面の基準耐力を加算してもとめます。
壁基準剛性 Sw0 についても、同様に、軸組等の基準剛性と内外壁面の基準剛性を加算してもとめます。
具体的な基準剛性の値やその仕様等は規準書を参照してください。
但し、下記のような制限や、補正があります。
壁基準耐力は 14kN/m を超えない。
原則的に筋かいの耐力は基準書掲載の「圧縮・引張を区別しない場合」の耐力を用いてよいが、すじかいの傾斜が一方向に偏っている場合は、圧縮と引張を区別して診断する。
筋かいの規準耐力は基準書の数値に、端部接合の仕様に応じて下表にしめす低減を乗じる。
筋かい金物等 | 筋かい要素の規準耐力(kN/m) | ||
---|---|---|---|
2.0未満 | 2.0以上4.0未満 | 4.0以上 | |
2.0倍用金物以上 | 1 | 1 | 1 |
1.5倍用金物 | 1 | 1 | 0.8 |
釘打(2-N75程度)以下 | 1 | 0.8 | 0.6 |
面材貼りの壁で、基準書の仕様と釘ピッチが異なる場合は、下式により修正する。但し、釘打ち間隔は、100mmより小さい間隔としてはならない。
面材貼りの壁で、基準書の仕様と釘径が異なる場合は、下式により修正する。
大壁面材貼りの壁で、胴縁仕様の壁面の場合は、以下に示す修正規準耐力を用いる。
規準耐力 | 修正基準耐力 |
---|---|
2kN以下 | 基準耐力x1.0 |
2kN超 4kN以下 | 基準耐力x(-1/8・基準耐力 + 1.25 |
4kN超 | 3kN |
従来の診断法や一般診断では雑壁の耐力は略算していましたが、詳細計算法では数値的にキチンと評価します。また、筋かいの方向性の影響についても考慮されるようになっています。
極端に耐力が高いと、各部の応力等が計算モデルに合わなくなるので、基準耐力の大きさには制限があります。
筋かい端部の接合強度による低減は基準耐力の段階で行います。。
面材耐力要素については仕様が明記され、仕様が異なる場合の低減方法についても示されています。
なお、詳細診断法1で計算に用いる基準耐力の大きさは壁量計算や短期許容応力度のレベルです。但し、許容応力そのものではありません。許容応力度では4つの指標(降伏強度、特定変形角(1/120や1/150等)時応力、最大耐力の2/3の強度、終局耐力と靭性により決定される強度)のうちの最小値から許容応力度が決められ、中地震時の損傷防止についても配慮されていますが、大地震時の倒壊防止を主目的とする耐震診断では「終局耐力と靭性により決定される強度」で基準耐力を決めています。
また、低減係数を別途計算している関係で、基準耐力は許容応力度等にくらべてより高くなっています。
なお、剛性については剛性率の計算に用いますが、この剛性は1/200の割線剛性(荷重-変形関係のグラフを書いたときの原点と1/200変形時の点を結んだ直線)となっています。