精密診断法における必要耐力の算定は(1)建築基準法施行令に準じて求める方法又は(2)略算による方法のいずれかによって求める。
建築基準法施行令88条に定める「地震力」を必要耐力Qrとする方法。
建築基準法施行令88条の地震力は
により求めます(詳しくは法令集等を参照のこと)。
建物重量は実情に基づき求めるか、下表により算定します。
屋根 | 外壁 | 内壁 | 床 | 積載荷重 | 仕様の例 | |
---|---|---|---|---|---|---|
軽い建物 | 0.95 | 0.75 | 0.2 | 0.6 | 0.6 | 屋根スレート葺き 外壁ラスモルタル 内壁石膏ボード貼 |
重い建物 | 1.3 | 1.2 | 0.2 | 0.6 | 0.6 | 屋根桟瓦葺き 外壁土塗壁 内壁石膏ボード貼 |
非常に重い建物 | 2.4 | 1.2 | 0.45 | 0.6 | 0.6 | 屋根土葺き瓦 外壁土塗壁 内壁土塗壁 |
略算法や一般診断法の場合は、標準的な建物仕様を仮定して、上式を元に床面積あたりの必要耐力を算出しています。→一般診断法
建物の仕様や形態が想定されている標準的な仕様からかけ離れている場合は、本計算法により求めるのが望ましいといえます。。
必要耐力Qrは下表に示す値に床面積を乗じて求めることもできる。
なお、著しく軟弱な地盤の場合はQrを1.5倍割増す。
一般診断法の「各階の床面積を考慮した必要耐力の算出法(精算法)」に該当する計算方法です。
軽い建物 | 重い建物 | 非常に重い建物 | ||
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平屋建 | 0.28×Z | 0.40×Z | 0.64×Z | |
2階建 | 2階 | 0.28×K2×Z | 0.40×K2×Z | 0.64×K2×Z |
1階 | 0.72×K1×Z | 0.92×K1×Z | 1.22×K1×Z | |
3階建 | 3階 | 0.28×K6×Z | 0.40×K6×Z | 0.64×K6×Z |
2階 | 0.72×K4×K5×Z | 0.92×K4×K5×Z | 1.22×K4×K5×Z | |
1階 | 1.16×K3×Z | 1.44×K3×Z | 1.80×K3×Z |
K1〜K6は下表により算出する。
軽い建物・重い建物の場合 | 非常に重い建物の場合 | |
---|---|---|
K1 | 0.40+0.60×Rf1 | 0.53+0.47×Rf1 |
K2 | 1.19+0.11/Rf1 | 1.06+0.15/Rf1 |
K3 | (0.25+0.75×Rf1)×(0.65+0.35×Rf2) | (0.36+0.0.64×Rf1)×(0.68+0.32×Rf2) |
K4 | 0.40+0.60×Rf2 | 0.53+0.47×Rf2 |
K5 | 1.03+0.10/Rf1+0.08/Rf2 | 0.98+0.10/Rf1+0.05/Rf2 |
K6 | 1.23+0.10/Rf1+0.23/Rf2 | 1.04+0.13/Rf1+0.24/Rf2 |
但し、、立地条件・建物形態等により、積雪重量の補正、建物の幅が狭い場合の補正、混構造の木造部の診断の場合の割増を考慮する。
多雪地域の場合、積雪量に応じた積雪重量を床面積あたりの必要耐力に追加する。
積雪量 | 1m | 〜 | 2m |
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割増量(kN/m2) | 0.26Z | 直線補完 | 0.52Z |
いずれかの階の短辺の長さが6.0m未満の場合はその階を除く下の全ての階の必要耐力に下表の割増係数を乗じた値とする。但し、複数の階が6m未満の場合は割増係数の大きい方を用いるものとする。(多雪地域については積雪重量を加算後の必要耐力に対して適用する。)
短辺の長さ | 4.0m未満 | 4.0m以上6.0m未満 | 6.0m以上 |
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割増係数 | 1.3 | 1.15 | 1.0 |
1階がRC造又は鉄骨造の混構造建物の木造部を診断する場合は木造建物の場合の必要耐力を1.2倍する。