水平力による耐力壁の剛体的回転により、柱が浮き上がった際、長期軸力よりもかなり大きな押さえ込み効果すなわちカウンターウェイトが存在することが確認できた(次節参照)。
また、柱の浮き上がりが大きくなるほど、カウンターウェイトが増大し、それに伴って水平耐力も増大することが確認できた。No.4-1はNo.3-3に、耐力壁数・位置は変えずにL字形に増築したものであるが、カウンターウェイトが増大し(約1470(kg)の増加)、その結果700(kg)近くの試験体全体の水平耐力の増加が見られた。これは、継ぎ手のメス側がオス側増築部分の梁を持ち上げ、浮き上がり範囲が増えたことが原因であると思われる。
梁継手のメス側が浮き上がった場合は、同時にオス側も持ち上げられる形となった。今回の継ぎ手は、はめ込んだだけの形で、金物等で緊結されていないので、オス側が持ちあがった場合、オス側のみが持ち上がる現象が見られた(これは、金物がついていても、短冊金物程度の緊結力のものでも、同様の現象が予想される)。
もし、オス側が浮いた場合もメス側を持ち上げるような、継手の金物などの緊結がなされていれば、カウンターウェイト増大につながり、耐力の増大につながるであろう。