光明寺 耐震改修工事

8.補強工事

前記の補強計画案のA〜Dの4案より、予算や工期等を考慮して、B案(中規模地震に対して中破)とC案(中規模地震に対して小破)の折衷案とし、少なくともこの地域で想定される地震動(震度6強)でも、倒壊を免れるように補強を行なうこととした。



基礎----------足固め----------鉛直ブレース及び構造用合板----------小屋裏



基礎

既設の布基礎に沿う形で鉄筋コンクリート地中梁を設け既設基礎と後施工アンカー等で緊結をおこない、島型及び半島型の基礎(基礎の写真35以降を参照)については直交の基礎と鉄筋コンクリート地中梁で緊結させる。

 

ケミカルアンカーの設置               差し筋の設置



 

抱き合わせ基礎の配筋           後付け柱脚金物の設置




足固め

耐力壁を有効にする為には、上部に作用した地震力を基礎・地盤へ伝達しなければならない。その為、耐力壁下部では1階床下から基礎までの間には、特に足固めが必要となり、必要最低限の補強工事に該当する。

 

足固め用合板枠材の設置




足固め構造用合板の設置と
足固め相互のHD金物による緊結




鉛直ブレース及び構造用合板

既設の壁の補強は、足固め・基礎の補強を考慮するだけなので、施工性がよい。但し、本物件は圧倒的に耐力要素が少ないので新規の耐力壁を設置する必要がある。その場合、既存の建物に新設の壁を設けることは、使い勝手・採光・通風及び基礎の補強等を考慮しなければならない。

補強案では採光・通風等に影響の出にくい面格子耐力壁等による提案をしたが、今回はローコストでやらなければならず、また、施主からの鋼製のブレースを採用してほしいという要望により、鋼製のブレースを採用することとした。


鉛直ブレースの端部ガセットプレート



 

鉛直ブレースの設置状況



もともと無開口だった壁は、現況の土壁をすべて撤去すると廃土による廃棄物処理にコストがかかるため、既存の土をほとんど残した状態で合板の受け材等を設置して、土壁の上からふたをするような感じで構造用合板を新設した。

 

既設壁を残した状態で構造用合板耐力壁を設置




小屋裏

小屋裏の現況写真73〜94で確認されたように、1995年阪神淡路大震災の際にずれやボルト穴だけの金物の未設置個所や貧弱な接合金具等の不具合の仕口接合部が多々あった。そのままの状態では、震度5以下(小規模)の地震が来ても、本来の耐震性能が発揮される前に、接合部がばらばらになって倒壊するの危険性があるので、金物等による緊結が必要となる。

 

小屋裏の小屋束仕口接合部の金物による補強



 

小屋裏トラス廻りの接合部補強           小屋裏ブレースによる補強





 ©Tahara Architect & Associates, 2005