密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律における
既存木造建築物の耐震診断基準1.目的
本耐震診断基準は、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」の運用にあたって、既存木造建築物の耐震性能が同法律に規定する「建替促進建築物」あるいは「延焼等危険建築物」にあたるかいなかを、適切かつ円滑に診断することを目的としている。
2.適用範囲
本耐震診断基準は在来軸組構法、枠組壁工法、木質パネル構法、伝統構法による木造建築物および、1階を鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造、2階以上を上記構法の木造とした混構造建築物の木造部分に適用する。
3.診断法
3.1 概要
「建替促進建築物」および「延焼等危険建築物」に係る耐震診断はいずれも現地調査に基づき、以下に規定する基準入力エネルギーと保有限界エネルギーを算定、比較することで行なう。
現地調査は、原則として非破壊調査により実施し、基準入力エネルギー、保有限界エネルギーの算定に必要な諸量を得るものとする。
基準入力エネルギーEdは、各階のけた行、はり間方向ごとに(1)式で算定する。
Ed = (Q・d2) / (2・S・t) (1)
ここで、Qd = Rg・Fes・Qud:地震力によって各階に生ずる水平力で3.7.2で規定する
Rg = 地盤が軟弱な場合の割増係数で3.3(2)で規定する
Fes = 形状係数で3.5.1の(5)又は3.5.3の(5)で規定する
Qud = 各階の地震層せん断力で3.7.2で規定する
St = 各階の初期剛性で3.7.1で規定する
保有限界エネルギーEuは、各階のけた行、はり間方向ごとに(2)式により算定する。
Eu = Eu0・Rb・Rd (2)
ここで、Eu0 = 各階のけた行、あるいははり間方向の基本限界エネルギーで3.5.1の(4)
又は3.5.3の(4)で規定する
Rb = 基礎形式係数で3.3(3)で規定する
Rd = 劣化度係数で3.6で規定する
評価は、(3)の不等式により行なう。不等式が成立する場合、当該建築物は「建替促進建築物」又は「延焼等危険建築物」に相当すると評価する。成立しない場合には該当しないと評価する。
Eu < Ed (3)