屋根の野地板には目立った劣化はなく、漏水の痕も見受けられない。しかし、水平構面としての性能は、この「乗せ掛け垂木」仕様では得られないので、水平ブレース等の補強をしないと、かなり耐震性能が落ちる。
建築時の棟札が見える。当時の物不足の時代に、懸命に建設した苦労が彼方此方にうかがえ、この調査後の補強によりさらに末代まで残したいものである。
小屋梁丸太の下部に、三割程度の筋かいが取り付いているが、N50程度の釘だけで止められている状態であった。この様な接合部をした、神社・仏閣等の伝統的木造建築が「阪神・淡路大震災」で、多く倒壊したことから、接合部の補強対策が必要であると思われる。
母屋と小屋束の間に隙間が見られた。これでは小屋束が効いていないのと同じ状態であり、小屋束と母屋・小屋梁等の横架材との緊結が必要である。