木構造建築研究所 田原が今まで約20年木構造設計及び構造監理等を行って来たなかで、出会った本当に心に残る棟梁・大工職人の人たちについて紹介します。
特に技術的及び人格的に感銘を受けた人々を掲載し、木造架構のプレカット化が進む中でも大工技術に誇りを持って仕事に取り組んでいる人々を紹介するコーナーです。
兵庫県の篠山市の元大工棟梁。
もう引退されているが、75歳を越えた今でも独学で錦帯橋(山口県岩国市)の模型を作成するなど、精力的に職人技術を研究されている。
伝統構法の非常に難易度の高い継手の見本をいろいろ作って頂いた。どんな独創的なものでも一目見ただけですぐ同じものが作れる能力を持つ。
本当にすごい大工がいる事を実感した一人でもあり、この地方にこの様な人がいたと後世に伝えたい棟梁で、私の尊敬する棟梁の一人である。
兵庫県篠山市後川の工務店、いない建築を取りまとめている親方(棟梁)
篠山渓谷の森公園 コテージ棟等を担当していただいた大工棟梁でもあり、また若手の大工6人を抱える社長でもある。
どんな人にもやさしく対応し、その人の良さが顔の雰囲気からうかがえ、本当に人情にあふれ人当たりのやさしい棟梁で、古典的な大工技術から最近の金物を使った工法まで対応され、その能力の高さに驚かされた一人でもある。
稲井棟梁が篠山渓谷の森公園で担当されたコテージの屋根架構は伝統的な大工技術の一つで「扇垂木」と呼ばれる小屋組だが、これも難しい規矩術を習得され中勾等の指金利用技術に長けているからできる技であり、とてもコンピューターだけでできるものではない。
当事務所でも難易度の高いと思われる架構であったが、楽々と施工され、更に確認のため模型まで作って頂いた。本当に設計者にとって頼りになる棟梁であった。
本職以外にも「篠山市建築組合」や「ささやま百年家」の幹部として精力的に、地域性のために活動されている。
兵庫県の篠山市にある、木造建築等を専門とする大工職人及びその所属する工務店の団体。
この組合には市内のかなりの工務店が所属しており、その技術レベルは高く、ベテランから若手まで多士済済な大工の集団である。
また、この組合は現在「ささやま百年家」という取り組みを行っており、篠山地区の伝統的な木造住宅の施工を行い、その地域の伝統的な住宅造りを一途に守りつづけていく活動を行っている。