よさの作事組プロジェクト

2021年12月
瓦店のエキシビジョンハウスとして、瓦型の屋根を木材を生かして実現
意匠設計よさの作事組
構造設計木構造建築研究所 田原
施工者 よさの作事組

与謝野町産の杉を地元で製材した杉板を曲げて積層した梁にする為、(株)ヤマヒロ製のステンレスビスにて接合し一体化した梁の断面性能とした。


それぞれの職人が施行した湾曲積層梁に対して個人名を記載して、名前が残る様にした。


地元のヒノキ柱は樹齢200年程度で元口径≒60cm程度だったのを50cm角に落としてアンカーボルトで基礎に緊結した。



柱が立ってから登り桁を設置したが、この登り桁も地元のヒノキ材で桁スパンの中央部での継手(2020年に岡山市で行った公開実験のシステムです。)で構築しました。


湾曲積層梁を全て仮置きし、その位置の確認と位置間違いが無いか確認した。


湾曲積層梁をヒノキ桁に(株)シネジック製のパネリ―ドS(PS10-230) 2本留とした。


小屋下から見た湾曲積層梁部分(魚の腹骨にも見える)


湾曲積層梁の曲線にあわせて地元材の杉野地板厚さ18oを張り詰め、この上に防水紙と桟木を設置し瓦葺きとした。



上棟後に見学会を開き関係者や見学者を含めて合計30kN以上を屋根中央部4坪の範囲にに集中荷重として積載して撓み量を計測した結果、≒15o程度(1/333)だった事を確認した。


20221年12月4日完成式典が行われた。

地元与謝野町の町長初め町幹部の方も見学に来られ、地元マスコミによる取材も受けました。


地域の方々や建築関係者からは「木造の小屋でこんな事が出来るとは・・・」と言う感想が聞こえたとのこと。

この構造形式は独立柱脚固定の応力処理でRC基礎からの「片持ち柱」での構造と言える。地震に対しては、水平せん断力係数 Co=0.30以上の性能を有している。

柱脚の接合は、基礎RC柱型に対しては (株)タナカ製の高耐力オメガアンカーを用いて定着し、柱脚曲げモーメントにより生じる引き抜きカに抵抗する。

ヒノキの柱との接合については、座金のめり込み耐力及び、せん断耐力等について十分安全な様に設計した。



外部に露出するので防蟻防腐剤を3度塗りし、それを2回行った。


下から見上げて見たら集成材にも見えるほどの湾曲積層梁で、よさの作事組のそれぞれの大工職人の技術カの高さが分かる出来栄えだった。

 ©Tahara Architect & Associates, 2021