稲取温泉観光協会事務局長奮闘す

静岡県東伊豆町の稲取温泉観光協会事務局長に渡辺法子さん(48歳)が就任して1年半余り。

衰退する温泉街復興に知恵を借りたいと協会が全国公募、千人を超える応募者の中から選ばれた東京の働く主婦だが、地元の熱い期待に応え、着々と実績を上げている。

着任してすぐに気がついたのが、大型旅館の集客力に依存し過ぎていた地元住民の姿勢。

地域づくりへ住民パワーを結集しようと、地域活性化のボランティアを募集すると、たちまち漁師、農民、商店主、職人さんら約60人が集まった。

ボランティアたちの努力でまず実現したのが、共同出資で2007年9月に設立した「稲取温泉観光合同会社」。

大手旅行代理店が集客するツアーではなく、地元が自ら観光資源を開発、ツアーを募集する「着地型旅行」を商品化。
今年夏には独自に約660人の観光客を呼び込んだ。

今年1月、無料の季刊地域情報誌「ウイエラ(方言で「てめえら」という意味)を創刊、情報発信も自分たちの手で始めた。

伊豆稲取温泉といえば、雛(ひな)のつるし飾りで全国的に有名。

ここ稲取温泉に宿泊し、オーシャンビューと海の幸を堪能した。
残念なことに夕食で手違いがあり、本文でもこのことを書いて苦情を述べたが、温泉・海・海の幸の魅力に変わりはない。
渡辺さんのご成功をお祈りする。



キンメダイをはじめとする海の幸も魅力。

静岡県東伊豆の稲取温泉観光協会では、2006年、事務局長を全国公募、1000人以上の応募があったが、NPO法人「全国まちづくりサポートセンター」事務局長のキャリアを持つシングルマザーが選ばれた(2007年2月就任)。

当時、この公募は全国的な話題となって、各種メディアで紹介されたが、その後の状況が日経新聞夕刊(2008年11月)で報じられた。

どこの宿もオーシャンビューが売り物の稲取温泉。

渡辺さんは江戸時代から続くこの伝統文化に着目、やはり雛のさげ物の風習が残る福岡県柳川市、山形県酒田市とともに「日本三大つるし飾りサミット」の開催を発案。
今年2月稲取温泉で第一回、来年三月には柳川市で第二回サミットを開催する。

さらに内閣府が今年度から補助を始めた「地元の元気再生事業」にも稲取温泉の地域おこし事業が選ばれ、事業の具体化に奮闘する毎日だ。

「足場は何とか築くことができた。10年春までの元気再生事業を成功させたい」と、渡辺さんは目を輝かす。

雛のつるし飾り

宿泊した宿で見かけた「雛のつるし飾り」