施設名 : 仁成館 (入浴日:2006.6.12)
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新潟県の津南町から中津川に沿って国道405号線を南下すると、次々に秘境に相応しい渓谷が現れ、やがて右手に鳥甲山(2,038m)の険しい山稜、左手に日本百名山の苗場山(2,145m)が見えてくる。
いつの間にか県境を越えて長野県側の栄村に入っている。
信越国境を跨ぐこの深い峡谷には、12の集落、6ヶ所の素朴な温泉があり、これらをまとめて秋山郷と呼ぶ。
平家落人の郷の伝承が残り、厳しい地形と気候(豪雪地帯で積雪が3mを越す)によって閉ざされていたこの地は、古い生活様式や風俗習慣が今も残されている。
東西への道は無く、か細い国道を南へ35km走り、これが途切れる切明で、林道秋山線(但し5月下旬まで閉鎖・・・降雪によって変わるので村役場へ確認))に繋がって志賀高原に出られる。
鳥甲山は標高が2000m強に過ぎないが、険しい山稜は第二の谷川岳と言われている。
新潟・秋田両県に跨る秘境・秋山郷には、素朴な温泉が6ヶ所ある。この日、小赤沢温泉・楽養舘、切明温泉に続き、登山好きな皇太子浩宮殿下も宿泊された素朴な和山温泉・仁成館に立ち寄った。
秋山郷には、中津川の下流から「逆巻(さかさまき)」「小赤沢(こあかざわ)」「屋敷」「上野原(うえのはら)」「和山(わやま)」「切明(きりあけ)」と6つの温泉が点在する。
逆巻だけが新潟県、他の5つは長野県栄村に所在する。
和山温泉は、最深部の切明温泉の手前、国道沿いの和山の集落から、7軒ほどある民宿を左右に見ながら少し下った中津川の河畔に一軒宿の仁成館がある。
前方には、秋山郷のシンボルである鳥甲山が聳え、眼下には中津川に落ち込むむき出しの絶壁が見える。
まさに秘湯と呼ばれるに相応しいロケーションだ。
秋田のマタギが発見したといわれる和山温泉の一軒宿・仁成館(じんせいかん)の創業は1789年(寛政元年)。(他に民宿有り)
駐車場に車を止めると、豪雪地帯らしく急角度の屋根を持った2階建ての素朴な建物の壁に、大きな文字で「仁成館」と描かれている。内部はいかにも秘湯の宿らしく、飾り気のない古びたロビーには簡素な調度類が雑然と置かれている。
500円を払って風呂場に向かう途中、1982年の夏に、皇太子浩宮殿下がここに宿泊した際の写真が掛けられていた。
風呂は内湯もあるが、なんといってもここの売り物は、素晴らしい眺望の混浴露天風呂だ。
銘石でなく河原の石を拾って置いたような素朴な露天風呂だが、かえって周囲の自然に溶け込んでいる。前方の湯船のほうが温い。
鶴翼に広がった建物には12室のみの客室。宿泊料金は11,700円〜。
1.5mx5m程度、タイル張りの簡素な内湯。泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉。透明だが、気のせいかやや黒く見えた。
男女別の小さな脱衣室。女性にはタオルを無料で貸してくれるようだ。
仁成館の露天風呂から見る風景、この後ろに鳥甲山が聳える。