施設名 : 群上閣 (入浴日:2008.9.30)
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
群上閣(ぐんじょうかく)
〒399塩尻市片丘6114-235 TEL(0263)58ー2140
崖の湯温泉から眼下に松本平を望む。
塩尻市は長野県のほぼ中央に位置し、市内には信濃川支流と天竜川の支流が流れ、塩尻峠等が太平洋と日本海への分水嶺となっている。
松本盆地の南端にあって、北アルプス、鉢盛連峰、東山・高ボッチ山に囲まれ、さらに遠く中央アルプスの山並みを背景に田園地帯が広がっている。
天候は寒暖の差が大きい内陸性気候で、周囲の山脈を越えて吹き込む乾燥した空気により、夏は涼しくて爽やか、冬は雪が少なくて寒さが厳しい。
農業が盛んで野菜と果樹の生産団地が形成され、レタス・ブドウ・リンゴ・ナシ等が生産されており、ワインの醸造も行われている。
また木曾五木をはじめとする森林資源に恵まれてきたので、木曾漆器産業が昔から盛んで、国道153号線沿いには漆塗りの店を数多く見かける。
宿泊した「薬師平茜屋」
長野自動車道塩尻ICから6kmほど東に向かい、案内板に従って住宅が点在する一帯から山道に入り、高ボッチ山に向かって3kmほど登って行くと白樺林に囲まれた崖の湯温泉に到着する。
松本市と塩尻市の境の標高1000m、高ボッチ高原から5kmほど手前の山道に沿って、斜面にすがりつくように6軒の宿が点在している。
ガイドブックでも紹介され、最近改装した「薬師平茜屋(旧薬師平ホテル)」を除き、いずれも年月を経た佇まいで、湯治場としての雰囲気を今に残している。
どの宿も規模は大きくないが、松本平越しに北アルプスの3000m級の山々を一望に見渡せる絶景が売り物だ。
崖の湯温泉は、奈良・東京往復の中継地点に適した場所にあるので、マイナーながらいつかは宿泊しようと思っていた温泉地だった。
当初は崖の湯の一番奥、最高所にあり秘湯の雰囲気たっぷりの「高ボッチ温泉・ホテル鳴神」を訪れたが、あいにく当日の宿泊が無かったためだろう、日帰り入浴が出来なかった。そこで途中通過した群上閣に変更した。
飛騨の合掌造り、木曾の横屋造りと並んで日本を代表する木造建築と言われる松本・安曇野地方の本棟造り。
群上閣はその手法・様式を取り入れた建物だ。
左右に2戸が建ち並び、その中を通る階段の両側は石が積まれていて、堂々としたアプローチだ。
引き戸を開けて館内に入ると、そこはいかにも山の宿といった雰囲気だった。奥から俎板を叩く音が聞こえてきて、今夜の夕食の仕込みに取り掛かっているらしい。大声で入浴を請うと、前掛けをした女将と思われる女性が出てきて「もうすぐ団体さんが来られるけど今なら入浴できますよ」と愛想良く応対してくれた。
入浴料金500円を支払って、年季の行った廊下を奥に進んだところに総タイル張りのアンティークな浴室があった。
本棟造りの群上閣。正面に愛車、右手に愛犬を散歩させる奥方。
玄関先
ロビー
ラウンジ兼湯上り処?
雑多なものが祀られていた
露天風呂はなく内湯のみだ。
浴室の床には小さなタイルがぎっしり敷き詰められ、壁の途中までも床に合せたこげ茶色のタイルが張られている。
その上はコンクリートがむき出しになっていて、長年の湯気と湿気によって黒ずんでいる。
風呂は1.5mx4mくらいだろうか、ここも3種類の異なるタイプのタイルが敷き詰められている。昔はさぞかし綺麗だったろうと思われる湯舟の底のタイルの文様は、温泉成分のためか、清掃のためか定かではないが擦り切れていたり変色している。
こんな風に入浴中はずっとタイルのことばかり観察していたくらい、味わい深い総タイル張りの浴室・風呂だった。
加温・循環されている温泉は、透明な石膏泉でさらさらした感触だった。
観葉植物のポトスの間から温泉が落とされている。窓からは松本平、北アルプスが木々の合間から見える。
タイルのために温泉に色が付いているように見える。
シャワーの無い洗い場。ケロリン桶がこの浴室にマッチする。
浴槽の底のタイル。5種類のタイルがぎっしり張られた浴室・浴槽ははじめて見た。タイルフェチ(こんな人いる?)の人はさぞかし嬉しくなるだろう。
崖の湯温泉は高ボッチ山(1665m)の山腹、標高1000mにあり、眼下に松本平、前方に北アルプスを眺望する小さな温泉地。群上閣は、飛騨の合掌造りなどと並ぶ本棟造りの宿で湯治場の雰囲気を残す。