Nosferatu

新作ではなく、1922年ドイツ映画のリバイバルですが、ここに書きます。
モントリオール映画祭の中心的な会場でもあるインペリアル劇場で見ました。この映画はサイレントムービーで、上映当時どうようライヴでサウンドを入れる形で上映されました。実際には、全てを生音で演奏するのではなく、ある部分はシンセで音を作っていたようです。
内容はドラキュラです。有名なベラ・ルゴシのものより9年早く、ドラキュラ映画として世界最初のものです。小説にかなり手を入れており、ドラキュラ伯爵のイギリスでの暗躍の部分は、かなりあっさりししています。ドラキュラ映画でつきものの、影を使った描写はこの映画で早くも効果的に使われています。また、棺桶からドラキュラが直立のまま立ち上がるシーンもありました。金曜夜9時からの上映にもかかわらず、満員となった観客の笑いをさそったシーンもありましたが、全般にホラー映画としてまとまっていると思います。何より、映像に合わせたチェロの生音、生の声でさまざまな擬音を出したスタッフに感心します。共鳴するハウリングのような音を出した男性と、低い音で恐怖を表した若い女性には感服いたしました。
1922年に作られただけあって、衣装や風習がよく表されていると思います。ガス燈に火をともすシーンや、警官がドラムを叩きながら、通りの中央でバンパイアに対する警告文を読み上げるシーンなどが描かれています。生演奏ならではの価値があると思いますが、サウンドトラックの決定版を作ったビデオも欲しいなあと思います。
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