明日、出航する、と言われた。
ゾロとサンジは 一日早く、入り江の奥に隠したゴーイングメリー号に帰ってきた。
賞金首を狩って、金は稼いだ。
後は、食料品と備品の買い出しをすればいい。
「買い出しのメモを忘れ来た」とサンジが言い出し、
仕方なく、出航前日に二人は 誰もいない船に戻ってきた。
この島のログは50時間。
宿に泊まる時間などなく、二人は 海千山千の狂暴な男達を相手にしていて、
陸の上の柔らかな寝台の上で営む行為をする暇がなかった。
「待たせたな。」
格納庫とキッチンを幾度か往復してサンジは買い出し用のメモを新しく
作り直してきた。
ゾロは、まだ、日が高く、燦燦と照らす太陽の光を跳ね返す金髪に
見惚れながら、
甘く、血液の温度が上がり、その流れが早くなって我慢できなくなった。
いつも、薄暗いところでしか見たことのない、白い肌。
この太陽の下では 一体どんな色なのだろう。
「買い出し、別に急がねえだろ。」
ゾロの声に誘いが篭る。
サンジはすぐに その熱の篭った眼差しと意味深な口調にゾロの欲するところを
察してニヤリと笑った。
「なんだ、てめえも我慢できなかったのかよ?」
「実は俺も 物足りなかった。」
その答えにゾロは満足して、同じように笑う。
サンジは当たり前のように男部屋の方へと歩き出す、その背中を
ゾロは追いすがって後から抱き締めた。
「おい?」そのゾロの行動にサンジは警戒したような声を出した。
けれど、ゾロはそれには何も答えず、
首筋に唇を這わせ、すぐに利き手でサンジの中心を服の上から愛撫し始める。
「バカ野郎、何 飢えてんだよっ・・・・。」
どうしようもなく、空腹な時には 待たされて豪華な食事を食べるよりも、
粗末でも、すぐに食べさせてもらった食べ物の方が美味に感じることもある。
サンジの叱責する言葉に耳も貸さず、ゾロはあっという間にサンジの
着衣を全て剥いだ。
抗う暇さえ、与えずに。
着衣を剥ぎながら、ゾロはサンジを甲板の板の上に押し倒す。
ゾロはサンジを組み敷き、荒荒しいながらも、いつもどおりの順序で
サンジを昂ぶらせて行くが、
口から切れ切れに吐かれる罵詈雑言は中々止まらない。
色気違いだの。
変態だの。
強姦魔だの。
「うるせえ、いい加減、黙れ。」
ゾロの愛撫の最中、歯を食いしばって喘ぎを止めていたサンジが
一回目に精を吐き出した時、ゾロはそのまま、サンジの細い首の裏にがっちりと
腕を回し、腹にサンジを乗せたまま、仰向けになった。
濡れた指で、受け入れて欲しい個所を解すとサンジはなんとか 逃げようと体を捻る。
が、ゾロが首を固定しているので そうすればするほど、
淫靡な腰の動きになり、ゾロの猛りきった男性自身に濡れて敏感になった
サンジが触れてしまう。
が、動かずにいると 後をゾロの指が思うままに嬲る。
「好きに動けよ。」とゾロは サンジを煽るようにせせら笑った。
勘弁してくれ、と言えない変わりにサンジは 震えと吐息が止まらない唇で
ゾロの唇や頬に 柔らかに触れる。
そんな仕草をされると 優しく、満たしてやりたいと思う気持ちが
猛烈な勢いでゾロの心の中に膨れ上がる。
太陽の下でみる、サンジの髪も、肌も、まぶしいほどで
想像以上に美しかった。
すげえ、イイ、お前。
男に向かって、キレイだ、などと言えないし、ゾロの頭の中にも
そんな言葉は浮かばない。けれど、キレイだ、と感じた感覚は
そのまま、簡素な言葉になってゾロの唇から溢れ出した。
熱に浮かされたようなゾロの声がサンジの耳に届き、
どうしようもない気恥ずかしさで ますます サンジの体を火照らせる。
ゾロの指が深く、ゆっくりと挿し込まれ、中で蠢き始めると
既に放った後で 萎んだ自分に血液と熱が注ぎこまれるのを感じて
声を上げるのを堪えられなくなって来た。
こんな声を聞かせるのも、ゾロだからだ。
こんな姿を見せるのも、ゾロだけだ。
そして、こんなに体と心の奥深くにまで 立ち入ることを望むのも、
世界でたった一人だけだ、と
体の奥でゾロも、ゾロの熱をも受け止めて、
一気に 降下する昂ぶった意識の中で 確かにサンジは思った。
(終り)