「ただ、女の姿でいる間は、守らせろ。」
「断わる。」ゾロの言い分も聞かず、サンジは一方的にそれを拒否した。
「女の形でも、俺の扱いをかえるな。」サンジはそう言い放った。
「殴るなら、拳で殴れ。抱きたかったら今までどおりやれ.」
捲くし立て始めたサンジをゾロは制した.
「なにが言いたいんだ.」
「俺を今までどおり、俺として扱えッつってんだ。」
「それから、そんなボケたような顔で人の顔を見るな。」
ゾロは笑いがこみ上げてきた.
こんな我侭で 高飛車な男が 「ノジコ」の本性だと
知ったら 一体 この生き物に惚れた 彼らはどんな顔をするだろう.
二人は、さんざん 言い合いをしたが、外の嵐が酷くなり、
その日はゴーイングメリー号に帰ることが出来ず、その小屋で夜を明かす事になった.
小屋ごと吹っ飛びそうな風が吹いているのに、真っ黒な小屋に二人は
横になって 眠ろうとしていた.
女を抱いたことくらい、ゾロにはある.
何時、元に戻るかわからないから、一度くらい 抱いておいてもいいな、
という気になってきていた。
サンジが眠ったか、起きているのか わかりかねて 独り言のように
「抱きたかったら、好きなようにやっていいんだったよな.」と
ゾロは呟いた。
「おお。」
眠たげな声ながら、サンジは短く返事をする。
とは言うものの、サンジはゾロが絶対に この体には手を出してこないことを
見抜いていた.
(そんな根性がある訳ねえ)と思っている。
それにしても、体がだるい.
能力者というのは、海だけでなく、水にまで嫌われるのか。
服は勿論だが、
湿気が多いせいで長い髪もなかなか乾かない。
ゾロの手が背後から額に押し当てられた。
「熱があるじゃねえか.」
「寝たら下がるだろ。」
その言葉が「ノジコ」と呼ばれた幻の女の最後の言葉だった。
ゾロが目を覚ますと、夜は明けていたが相変らずの強い風と雨が外の景色を荒していた。
何気なく、サンジの方を向くと、うつ伏せになって寝ている.
「ん?」
まず、うなじが目に飛び込んできた.
その後、大きな白い手が。
「お。」
ゾロはサンジを起さないように仰向けにしてみた。
シャツを持ち上げていた膨らみが消えている.
(・・・元に戻ってるじゃねえか.)
ほっとするような、残念なような 不思議な気持のまま ゾロは
サンジを揺り起こした。
ここ数日の日課になっているのか、目が覚めるなり
サンジは 自分の股間に手を伸ばす。
「おお♪」
声も、髪の長さも 体つきも 輪郭も 全てサンジになっていた。
こうなると、ゾロも遠慮などしない。
「ヤらせろ。」言い方はこれ以上ないほど ストレートで乱暴だが、
ゾロの声音は、サンジが顔を紅潮させるほど 穏やかで甘い。
そっと体を沿わせて逃がさないように 腕の中に閉じこめる。
「他に言い方知らねえのか!!」
照れ隠しにこちらも乱暴に言い返すが、本気で嫌がっている訳ではない。
ゾロは、唇をサンジの耳に落とした。
女性化していた時には サンジのその体が繊細なガラス細工でできているような気がして、
触れられなかった。
(このあたりから 性描写を含ませるため、裏仕様にします.)
(別の原稿を用意しますので、そちらをご覧下さい.)
「まだ、ちゃんと元に戻ってねえな.」
行為が済んだ後、ゾロは、サンジの体を清めながらそう言った.
「へ?」
胸も平らだし、男のシンボルも確かにある.
サンジは、ゾロの言葉に首を傾げた。
「・・・・穴がもう一つあったぞ。」
今、サンジの体は雌雄同体、半陰陽の体である。
このことは、ゾロしか知らないのだが、この状態はまだ 「能力者」のままだと言える。
「・・・このまま、固定化するなんてことねえだろうな。」
サンジはふと、不安に駆られた。
「別にそれでもいいじゃねえか。形は男なんだし。」
暢気な事を言うゾロを サンジはきつい目つきで睨みつけた.
その日の夕方になって、嵐がようやく収まり、二人はゴーイングメリー号に
戻った。
二人が無事に戻った事を 船長以下乗組員全員が喜んだ。
「ログが貯まるまで まだ 数時間かかるけど、とりあえずこの島を
早く離れましょう.」とナミが言い出した。
「なんで?」とルフィが その理由をナミに尋ねる。
「厄介な事になりそうだからよ.」
二人を探していると、人々の腕に黒い腕章がはめられているのを
ナミは見てきたのだという。
「ノジコが死んだって大騒ぎになってるのよ.」
「貰ったもの、返すの嫌だもん.」
ゾロとサンジは顔を見合わせた.
「もし、ノジコがサンジ君だってばれたら 恥かしいだけじゃ済まないわよ.」
ナミが色々理由を並べ立てるが、結局 コンテストの賞金や
貢物を返すのが ただ、ただ、嫌なだけなのだ。
「わかった、じゃあ、出航しよう!!」
理屈では 航海士には敵わない。船長の決断で、事の騒ぎの発端であるにも関わらず、
「ノジコ伝説」だけを残して、ゴーイングメリー号は 再び
波間にその船首を向けた。
半陰陽の体のまま、サンジは何食わぬ顔でいつもの 日常に戻る。
ゾロは、その不思議な体をいつもと同じに 十分に愛でる。
まだ 未発達のその部分には触れないが、徐々に熟してくる果実のように
肌を重ねるに従って そこも潤い始めていた。
数日後には、とうとう ゾロはそこへ踏み込んでしまう.
一度 ゾロを受け入れてしまったサンジのそこは
いつもの感触とは全く違っていて、禁断の薬のようにゾロを狂わせてしまった。
その所為で 大変な事が自分の身に降りかかるとは サンジは全く
想像もしていなかった。
女性に備わった神秘の力.
それが発動したのは、その国を愛して命をかけて戦った王女のいる
砂漠の国に立ち寄った時だった。
(おわり)