Dokusyo-nissi Bessitu 2011-12-27 φ(-_-) ■[diary]movie [東京原発] "榎本教授ゼミナール" (その 1) 年末特別企画 ... かな? 製作 2002年公開 2004年 監督・脚本山川元 配役: 都知事役所広司 副知事段田安則 産業労働局長平田満 政策報道局長内山涼成 都市計画局長菅原大吉 財務局長岸辺一徳 環境局長吉田日出子 榎本教授綾田俊樹 原子力安全委員益岡徹 副知事: ちょっと待ってください。この件は専門家を交えてもう少し議論すべきです。 副知事: 私がお呼びした専門家です。 原子力安全委員: 原発の安全性について一言申し上げます。原発は絶対安全です。 大事故につながる危険性は、確率にしますと、分子を 1 とするその分母は天文学的数字 になります。 すなわち危険性はかぎりなく 0 だということになります。以上。 では私はこれで失礼致します。 政策報道局長: 天文学的数字っていくつぐらいなんですかね? 財務局長: 具体的にできないから天文学的なんだろ。 環境局長: よくわからないからゴマカシてんじゃないの? 榎本教授: その通りです。 副知事: こちらは東大の榎本教授です。 物理学が専門で、原発にはお詳しいので、私がおいで願いました。 榎本教授: どうも。 副知事: 教授、まず原発の安全面のほうからお話ししてもらえますか? 榎本教授: 安全面というか危険面というか、皆さんがまず第一に懸念されるのは、やは り地震ということになりますかね。 財務局長: 関東大震災の 3倍の地震にも耐えるんでしょ? 榎本教授: 私たちの住む一般建築の耐震性は 200ガルですが、その建築基準は今から 70 年以上も前に起きた関東大震災のときにはじきだされたものです。 それも、震源から 50キロも離れた東京都心の被害状況から推定された 300 から 400ガ ルという数字をもとにしております。 都市計画局長: え? 関東大震災って東京が震源じゃなかったんですか? 環境局長: じゃあ、震源はどこだったんですか? 榎本教授: 相模湾内と考えられておりますが横浜、川崎あたりでは最大で 900ガル以上 あったといわれております。 環境局長: あの、先ほどからそのガルというのは何なんですか? 榎本教授: 地震のゆれの加速度の単位ですが、ちょっとこれを見てください。 静岡の浜岡原発だけは東海地震の震源域の真ん中にあるので、一般建築基準の 3倍の 600ガルの耐震性になっておりますが、他の原発は平均すると 400ガル程度です。 環境局長: でも、関東大震災は 900ガルもあったんでしょ? どうなってんのこれ? 政策報道局長: この 800 の上の赤いライン、これは何なんですか? 榎本教授: あっ、それは記憶に新しい兵庫県南部沖地震の数値です。最大で 820ガル以 上あったと記録されております。 政策報道局長: ということは 3倍どころか、大地震が原発を襲ったら ... 環境局長: ということは、ゴマカシてるわけ? 榎本教授: というよりウソです。 財務局長: ちょっと待ってくれよ。いくらなんでもそんなイイカゲンなこと、国がやる わけないじゃないか! 副知事: そうですかね? 阪神高速道や海砂を使った新幹線のトンネルは、この国がいだいていた安全神話ととも に、くずれ落ちたんじゃないですか? ライ予防法の隔離政策や血液製剤や肉骨粉がどうです? 今まで国民は何度となく国にダマサレてきたじゃないですか。 政策報道局長: まさか原子炉が海砂でできてるなんてこと、ないですよね? 副知事: これだけの地震大国で今まで地震による原発事故が起こらなかったことのほう が奇跡ですよ。 財務局長: 奇跡が何十年も続くわけないじゃないか。 環境局長: だからいつ起きてもおかしくないっていってるの! 財務局長: じゃあ、関東大震災の 3倍の地震なんて来たことあんのかよ! 環境局長: 3倍じゃなくても 1倍でもダメなの! 都市計画局長: もっと現実的に考えましょうよ。 ガルだの何だのいったって、原発止めれば停電しちゃうんですよ。 榎本教授: 停電はしません。 一同: ええっ? (続く) 2011-12-28 φ(-_-) ■[diary]movie [東京原発] "榎本教授ゼミナール" (その 2) 続きです ... 都市計画局長: だって、もう日本の電力の 3分の1は原子力でまかなってるって、テレビ でバンバン宣伝してるじゃないですか? 榎本教授: 確かにうまい宣伝です。 環境局長: うまい宣伝? 榎本教授: 原子力発電というのは、出力を変えると非常に危険性が高いので、電気の供 給を調整できません。 ですから、需要があろうがなかろうが、毎日朝から夜中までアホみたいにフル稼働をせ ざるを得ないということを、まず知っておいてください。 その原発に対して火力や水力は、発電能力の約 2割から 4割しか稼働しておりません。 たっぷり余力があるわけです。 結論を申しますと、日本中の原発を廃止しても、電気の消費量がピークになる真夏の数 日間だけ、冷房の温度を少しだけガマンすれば、他の発電だけで十分にまかなえます。 環境局長: 私たちは原発がなくなったら停電になるって、暗に脅かされていたわけね。 政策報道局長: でも、将来石油はなくなるんでしょ? 火力発電は、 財務局長: そうだよ、それそれ。石油はなくなるんだよ! 榎本教授: 石油はあと 40年、ウランは 70年とかいわれとりますが、使えばなくなるの はいっしょなわけで、エネルギー資源の将来性ということでいえば、どちらもそう安心 できる量とはいえませんね。 都市計画局長: そういえば、オイルショックのときに石油はあと 30年でなくなるって騒 いでましたよね。 政策報道局長: もう 30年たってるけど。 都市計画局長: なくなるどころか、増えてますよ。 環境局長: 私、ウランは 1000年以上ダイジョウブだって聞いてますけど? 榎本教授: それはあくまで高速増殖炉計画が実現すればの話です。 財務局長: ああ、モンジャね。 都市計画局長: もんじゅ、じゃないですか? 榎本教授: 原発で使える燃えるウランはウラン全体の 0.7% にしかすぎません。それで 、残り 99% のウランを高速増殖炉でプルトニウムに変えて増殖できれば、60倍に利用価 値が増やせるといってるだけです。 副知事: そのもんじゅは火災事故の後、運転してませんよね? 榎本教授: 世界中の増殖炉計画も危険すぎて廃止されとりますが、日本だけはなぜかま だあきらめきれないようです。 榎本教授: ちょっと考えれば矛盾に気がつきます。 石油は電気以外にもクルマを動かしたり繊維やプラスチックなどさまざまなものを生み だし、あらゆる所で使われております。 政策報道局長: そうか、当然原発の中でも使ってますよね。 環境局長: 電気だけあっても、それを使えるものがなくなるわけね。 榎本教授: そうです。原子力は石油と違い、電力以外には何も生みだしませんから。 生みだすのは死の灰だけです。 環境局長: 死の灰? 榎本教授: はい、今世界中で頭を悩ましてるのが、その使用済核燃料などの放射性廃棄 物の処理問題です。 なかでもプルトニウムは自然界には存在しない危険きわまりないやつで、わずか 1グラ ムのプルトニウムが一般人の年間被爆許容量 18億人分にあたります。 それに、プルトニウムは核分裂を起こしやすく、核兵器に利用しやすいんで、テロにも 狙われやすくなります。 そのプルトニウムは MOX といわれるプルトニウム燃料となって、フランスやイギリスか ら返還されてきます。 政策報道局長: それってたしか高いカネ払って再処理してもらったものですよね? 財務局長: 処理されてるなら問題ないじゃないか。 榎本教授: いえ、再処理といっても別に放射能がなくなったわけではありません。 都市計画局長: えっ? じゃあ再処理っていうのは? 榎本教授: 使用済核燃料の中からウランとプルトニウムだけを取り出す作業のことで、 その後に残るさらに高レベルな放射性廃物とともに、これから日本に返還されてくる計 画になっとります。 環境局長: ええっ、高いカネ払って、ゴミまで送り返されるの? 榎本教授: 25年も前に結んだ契約です。 榎本教授: その結果、ここでさらに重大な問題が発生するんです。 環境局長: ええっ、まだあるの? 榎本教授: 大金を払って取り出したそのプルトニウムですが、高速増殖炉が止まってる んで使い道がないんですよ。 副知事: そうか、核の拡散につながるのか! 政策報道局長: なんです? 副知事: だから、プルトニウムは核兵器の材料ですから、それを消化しないと核拡散に つながるんでマズイんですよ。 榎本教授: 現に、日本はそんなにプルトニウムを貯えて核武装でもする気なのかと、外 国のメディアから皮肉られております。 副知事: だから、プルサーマルに切り替えたわけか。 都市計画局長: プルサーマルって、例の核燃料サイクル事業ってやつでしょ? 資源をリ サイクルさせるっていう。 榎本教授: わかりやすくいうと、ウラン用につくられた現在の原子炉で、プルトニウム を核分裂させて発電する計画です。 環境局長: いい方によって、ずいぶんイメージが違うのね。 榎本教授: 燃料のリサイクルの名目で福井や福島などの原発でやろうとしとりますが、 できてしまったプルトニウムをしかたなしに燃やそうとしてるとしか考えられません。 財務局長: まあ、資源が乏しい日本なんだから、エネルギーを安定供給するにはいい方 法じゃないの。 榎本教授: ですが、ウラン発電に比べ、危険性が非常に高い上、何倍ものコストがかか るので、 財務局長: 消化しなきゃならんのだから、しかたないじゃないか。 榎本教授: 残念ながら運転後にも、使用済核燃料の中にプルトニウムは発生するので、 その絶対量は減らないんですよ。 副知事: (東海村臨界事故で) それだけ重大な被害をもたらしたのは、たった 1ミリグラ ムのウランだと聞いていますが? 榎本教授: はい、ウラン燃料というのは核分裂させると、その放射能は 1億倍ぐらいに 増大するんです。 環境局長: 1億倍! 副知事: 使用済核燃料といってるのは、その核分裂させた後のウランですね? 榎本教授: そうです。ですから死の灰などと呼ばれるわけです。 すでに全国の原発のプールはその死の灰で満杯に近い状態なので、六ヶ所村の再処理施 設に運んでおります。 副知事: でも、あそこまだ運転してないですよね? 榎本教授: ええ。 2005年からの予定ですが、運転を開始しても、その処理能力は年間 800トンしかないんで、毎年 1000トンずつ増え続ける死の灰の処理は、とうてい追いつ きません。 それに、再処理によって生まれる、さらに高レベルな廃棄物を圧縮容器に詰め、最終処 分と称して、何万年も先の未来まで地層に埋めようとしています。 副知事: 地下水などに影響はないんですか? 榎本教授: 1万年たっても消えない強烈な放射性物質を埋めて、影響がないわけがありま せん。 環境局長: じゃあどうすんのよ? またどっか運ぶの? 財務局長: そんなものはロケットに積んで、宇宙へドーンと打ち上げればいいじゃない の! 都市開発局長: それ、いい考えですよ! 政策報道局長: でも、打ち上げはあの宇宙開発事業団がやるんでしょ? 財務局長、都市開発局長: ... 榎本教授: 他の国でもその最終処分のために、それこそ天文学的なカネと頭脳をつぎこ んでますが、完璧な方法はなく、世界中が先送りにしたままです。 環境局長: 原子爆弾を落とされたこの国が、どうして今だに原子力を推進しているのか 、理解できないわね。 副知事: こんな狭い国に 50機以上も原発があるなんて信じがたいですよ。 政策報道局長: そんなにあるんですか? 副知事: 2010年までにあと 10機はつくるみたいですよ。 環境局長: えっそんなに? 副知事: 確かにエネルギー政策は重要です。しかし、そのために何万年も先の未来まで 核のゴミを残すことになるんですよ。 それをわかってやってるのが理解できない。 環境局長: ほんとね。 財務局長: 利権だよ。原発 1機に数千億もかかるんだろ? 原子力産業にどれだけの企業 がぶらさがってると思ってんだよ。 わかってるくせに。 都市計画局長: でも、CM でもやってるじゃないですか。 日本の原発の安全対策は何重にもなってて、訓練も毎日万全にやってるし。女性の案内 でね、所内も見学できるんですよ。 財務局長: そうなんだよ。ロシアじゃないんだから。 産業労働局長: 「日本の原子力に関する情報公開はロシアにも劣る」 財務局長: なんなんだよ? それ。 産業労働局長: いえ、ちょっと思い出したんですが。 1999年のデンバー国際会議でアメリカの自然資源防衛協議会 NRDC が、日本を批判した 言葉です。 財務局長: なにもクジラ食ってるからって、そこまでいうことないだろ! 環境局長: クジラ関係ないの。 政策報道局長: ロシアといえば、あのチェルノブイリの事故の後、周辺の人たちはどう なっているんですかね? 財務局長: 教授に聞いてみよう。 榎本教授: それは 2000年の 4月にロシアが発表したもんです。 環境局長: 何て書いてあんの? 財務局長: 「原発事故の処理にあたった作業員 86万人のうち、5万5千人以上がこれまで に死亡し、残る生存者も 87% が発病している」 榎本教授: ウクライナだけで 20万人以上が犠牲になっているという情報もあります。い ずれにしろ、正確な数字は永久に明らかになることはないでしょう。 これは事故で放射能に汚染された地域を示した地図です。 強制的に避難命令が出された地域は、チェルノブイリから北に 300キロ離れた地点にま で達しました。 これを、チェルノブイリ原発よりも大きな規模をもつ静岡の浜岡原発を中心に描いたも のがこれです。 映画はこの後、東京原発誘致の是非を問う採決へと進むのですが、直前のシーン、今だ ったらきっと、早川さんのマップ、 「フクシマとチェルノブイリの比較」 http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-450.html がフリップとして採用されるでしょうね。 (追記) マップが一時的に見れないようです。