Dokusyo-nissi Bessitu 2011-03-17 φ(-_-) ■[diary]web archive [Belgian Institute for Space Aeronomy] "Nouvelle simulation du nuage de pollution radioactive au Japon" 福島原発の放射性物質が偏西風に乗りどのように飛散したかを示したシミュレーション です。 http://www.aeronomie.be/fr/actualite/presse.htm (via http://www.aeronomie.be/fr/actualite/nouvelles.htm) ジェット気流等の影響でしょうか、カムチャツカ半島やバハ・カリフォルニア半島にま でその一部が到達しているのがわかります。 また、24時間程度では汚染域の範囲は拡散せずに、カタマリのまま移動することが見て とれます。 今回、日本列島から離れて東に進んだのは、たまたま偏西風が日本の中央部を通り抜け ていたからでしょう。 http://www.cokbee.com/weather/imgout.cgi?xn/xn110313.gif ただし、次がどうなるかはわかりません ... (追記) ここで使用されている FLEXPART については、次の page を参照、 http://transport.nilu.no/flexpart 2011-03-20 φ(-_-) ■[diary]web archive [Evelyn Mervine] "8th Interview with my Dad, a Nuclear Engineer, about the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Disaster in Japan" (18th Mar) http://georneys.blogspot.com/2011/03/8th-interview-with-my-dad-nuclear.html Um, I wish I could give a really good answer. But, I'm just gonna have to give a general answer, because, um, you know I don't have the information as to how much radiation and radio activity has been released ... But, by no means, are we out of the woods, so, you know, we could have something, um, go wrong or get even worse and have more radiation and radio activity released to the environment, so, we don't have a complete-picture. たとえ開発にかかわった技術者であっても -- 逆にそうした技術者だからこそ -- 正確 な情報が与えられてなければ、責任をもって見通しを語ることはできない、ということ だろうか ... 2011-03-26 φ(-_-) ■[diary]web archive [GRS Report] "Information updates on Japanese Nuclear Power Plants" http://www.grs.de/en/news/information-updates-japanese-nuclear-power-plants (via http://www.grs.de/en) 現在、3月 25日付けの preliminary draft (暫定稿) が最新です (pdf file)。 (追記) この draft に含まれている figure (第1図 - 27 page) を見ると、いくつかの 事がわかります、少し見にくいですが ... グラフの縦軸が放射線量 (μSv/h)、横軸が時間の経過を表わしていて、特に目につく紫 色の spot は第一原発から西南西に 1km 離れた観測点でのデータになります。 今の時期、偏西風が常に上空を流れていて、原発から出た放射性物質の大部分は海上に 移動します (当然ですが、海上に観測点は設置されていません)。 そのことを考えると、3月 15日から 17日にかけての (少量とはいえ) 線量の増加は無視 できないと思います、続けて爆発が起きてますし (venting は放出、explosion は爆発 ですね)。 「危機的状況は一応、収まった」という説明の "危機的" とは、地震直後から 4日を経 過したこの時期のことを指していると考えてまちがいないでしょう。 GRS = Gesellschaft fur Anlagen- und Reaktorsicherheit 2011-04-08 φ(-_-) ■[diary]web archive [SIROCCO] "Fukushima Forecast Description" http://sirocco.omp.obs-mip.fr/outils/Symphonie/Produits/Japan/ SymphoniePreviJapanDescript.htm As the request of the international Atomic Energy Agency (IAEA, March 14, 2011), SIROCCO is delivering every day a real time 6-day forecast bulletin of the dispersion in seawater of radionuclides emitted by the Fukushima nuclear plant. ... The system is operational since March 24 and the bulletin is available on an "open-acess" basis since March 28. 本文にゴシックで強調してるように、公開された情報からは流出した放射性物質がどれ ほどだったかが不明のままです。そのため、第4図と第5図に示された 1年後のシュミレ ーションの結果では、総流出量に占める割合を色分けにして表示しています。 流出した放射性物質のほとんどは海水中に拡散しますが、そのうちの 0.5% から 3% は 1年後も潮流 tidal current によって運ばれています。また、tidal transport (第4図) で示されてるのは 1年後の海底に堆積した量ではないかと思います ... 2011-05-01 φ(-_-) ■[diary]Hukusima Nuclear Plant 昨日、やっと『科学』 5月号が手に入ったので、さっそく読んでみました。 [田中三彦] "福島第一原発の「耐震脆弱性」を注視する" 顔見知りの NHK の記者に、(地震当日の) 未公表データがなんとか手に入らないか と話したところ、何日かしてその記者から、3月 11日夜 7時半からのデータが手に 入ったという電話があった。 そんな中、NHK は 4月 8日 (の朝)、その "極秘" データをもとに、「1号機、震災 の夜に燃料露出直前」というニュースを関村直人東京大学教授のコメント付きで、 ラジオ、テレビで流した。 もっとも重要な問題は「なぜ露出直前になったか」だったが、そのことにいっさい 触れないそのニュースには大いにがっかりさせられた。 ぼくもちょうどそのニュースを見ていて、いやがる? 関村氏を研究室まで押しかけデー タを突きつけて解説を求めてたので、なんだかな~ ... もっと適任者がいるはずなのに ね、などと思ってぼんやり画面を眺めてました。 その後、アナウンサーが科学部の記者に説明を求めたとき、この記者はすごいことをし ゃべりだした。 「1号機は津波が発電所を襲って非常用ディーゼルが停止したため事故が起きたのではな さそうだ。このデータを見ると、短期間に格納容器内の圧力が上がっている。これは地 震そのものによって原子炉圧力容器が破損し水蒸気が格納容器の中に吹き出して、結果 として圧力が上昇したのでしょう」 地震当日は続けて大きな余震が数回起きている。厚さ 16cm もある圧力容器の壁にもし クラックが走ったとしたら、水蒸気が抜ける前に、余震による揺れと容器内部の高圧と によって瞬時に圧力容器は破壊されてしまう。 そんなことになったら、圧力容器の破片で格納容器はひとたまりも無く壊れてしまいま す。 自信たっぷりに説明してたので、ちょっとびっくりしました。おかげでいっぺんに目は 覚めたけど ... [後藤政志] "福島第一原発炉心溶融事故" (格納容器の) 圧力抑制室から蒸気やガスを抜く場合は、プール水で一定程度の放射 性ヨウ素など粒子状のものや水に溶けやすい放射性物質をかなりの程度、除くこと ができる (wet venting)。 しかし、希ガスなど水で除去できない放射性物質もある。 いずれにしろ、格納容器から "ベント" することは、放射性物質を (原子炉建屋の) 外部に放出することになる。 特に、圧力抑制室の耐圧ベント用の弁を操作することのできない場合には、格納容 器ドライウェルから直接ベントするが、この場合には格納容器内の放射性物質がそ のまま外部に放出されることになる (dry venting)。 実際に福島第一原子力発電所からはどれだけの放射性物質 (核種) が出ていったのだろ うか? ずっと以前の data だが、冷却材喪失事故により炉心がすべて溶融したと仮定し、おお よその割合をはじき出したものを見ると、建屋あるいは格納容器内に、希ガスは 100%、 ハロゲン類が 50%、固形物が 1% 放出されると出ていた。 福島の場合、1号機から 4号機まですべての建屋は爆発等により破壊されたため、希ガス とハロゲンはその多くは外部に放出された。 また固形物では、手動でのドライベント、水素爆発それに格納容器破損による汚染水へ の流出を加えなくてはならない。 それぞれの炉心は、推定によると、相当程度溶融しており、それを合計すれば、1つの原 子炉で炉心がすべて溶融した量にも匹敵する。 次に、放出された放射性物質 (核種) の種類を見てみよう。 希ガスにはクリプトン Kr-90 (Kr-85) と少量のキセノン Xe-131m とがあり、これは 100% 外部に出たものと考えていいだろう。その総量はおそらく京ベクレルというレベル に達しているのではないか。 ハロゲンはヨウ素 I-131。放出率は仮定より多きめの 90%に達する可能性もある。その 量は兆ベクレルあるいはそれ以上か。 固形物 (微量質状物質) としてはセシウム Cs-137、ストロンチウム Sr-89、Sr-90 など がある。重いため遠距離へは拡散しないと思われがちだが、いったん放出されると、数 ミクロン程度でも 10km 以上飛散することがわかっている。 また、汚染水の投棄が問題なのは、濃度の多少と関係なく、毒性の強い微量質状物質が 外部へ流出することにある。 これらはすべて核分裂生成物、つまり "死の灰" だ。 莫大な量のウラン燃料、その崩壊熱を取り去るにはどれほどの時間がかかるのか。その 間、核分裂生成物は外部に放出しつづける。 タンクに移した汚染水も長期間は保存できないので、すぐそばにその処理施設を設ける 必要がある。 こんなことを考えてると、気が遠くなってきました ... (追記) 微量質状物質 = particle だった、これが内部被曝では問題となる。 2011-05-13 φ(-_-) ■[diary]web archive [NHK 「かぶん」ブログ] "福島第一原子力発電所 1号炉" (5月 12日) http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/81766.html 昨日 9:00 PM の NHK ニュース終了直後、NHK 科学文化部スタッフが、ゲストの岡本孝 司氏に再度解説を求め、それを整理したものだと思います。 読んでみて 2つ疑問な点がでてきた。 1つは、被覆菅の溶融により (ほぼ全量の) 燃料ペレットが落下したとき、(圧力容器内 の) 制御棒や燃料集合体を固定している支持構造物も持ちこたえられず、同じように容 器の底に落ちたのではないか、ということ (<- 100トン近い高温の溶融物落下に原子炉 圧力容器が耐えられるのか?)。 2つ目は、原子炉停止直後の崩壊熱は今よりけたちがいにカロリー (熱量) が多いことを 考えれば、炉心の溶融は地震に襲われて (時を待たず) 早い時期に急速に進行していた のでは、という可能性です (<- 事故発生後 24時間以内で全炉心溶融が起こった?)。ど うなんだろう? (参考) 原子力安全・保安院地震障害情報第136報 (5月 12日) http://www2.jnes.go.jp/atom-db/jp/trouble/2010fy/jishin/136.pdf (pdf file) (追記) つけ足し (カッコ内)。 (さらに追記) 100トンは多いか (誰か、計算してもらえないかな ... )。 (追記その3) 燃料棒が 144本 x 400体、支持構造物を約 50トンとして概算するとやはり 100トン内外になりそうです (田中三彦さんの講演から)。 2011-06-13 φ(-_-) ■[diary]web archive [ニュースの深層] "崎山比早子さんインタビュー" (6月 9日) http://www.youtube.com/watch?v=AFFQoWhR9xg (part one) http://www.youtube.com/watch?v=yvmPypN0fUY (part two) http://www.youtube.com/watch?v=hIsI2qlmFFN (part three) http://www.youtube.com/watch?v=qNw2reI7QQE (part four) 発言内容が多岐にわたっているので、文字に起こしてみました。 (崎山さんはこれまで市民の立場からの科学者を標榜 (ひょうぼう) してきたと思い ますが、その立場から (見て) 今回の原発事故で一番問題になるのはどのあたりだ と思ってらっしゃいますか?) 原発事故が起きたことですか? (いえ ... ) 起きたあとで一番問題だと思うのは、起こした人たち、例えば文部科学省だとか経 済産業省だとか原子力保安院、それから安全委員会だとか原子力委員会だとか、そ ういう (事故の) 責任がある人たちが事故のあともずっとイニシアチブを取ってい て、食品の規制値を決めたり 20ミリシーベルトまでガマンしろといったり 100ミリ シーベルトまで上げてもガンの死亡率が 0.5パーセント上乗せするだのいってみた り、そういうこと自体 (が) こういう体制がすごくおかしいと思うんですよ。 だから (自分たちの) 責任を追求しないでずっと彼らがイニシアチブを取っている 、でみんなそれに対して疑問をもたないで「どうしたらいいだろう、どうしたらい いだろう」という感じで、だんだんハウツーの「どうしたら汚染したものを食べな い (ためには) どうしたらいいだろう」とそういうことばかりいって「どうしてこ うなったんだろう」と考えない -- 考えてる人ももちろんいらっしゃると思います けど -- 表面になかなか出てこないというのがすごくやっぱり一番おかしいとわた しは思いますね。 (まず崎山さんにお聞きしたいのは学校の使用制限で 20ミリシーベルトなのか (そ れとも) 1ミリシーベルトに抑える (のか) ということでヒトモンチャクありました ね) はい。 (校庭の被曝線量 20ミリシーベルトというのはどういうふうに考えたらいいです か?) どういうふうに考えるといったって ... (やはり危険だと考えるべきなのか) それはそうですよ、わたしたちがいつもいってるし。 それから国際的な合意事項でもあることなんですが放射線には安全量がないという ことを考えて、ゼロから線量に応じてリスクは直線的に上がるということを考える と、放射線は浴びないほうがいい、ゼロのほうがいいわけです。 20ミリシーベルトというのがでてきたのは、最初は原子力安全委員会がいったとい って、文科省が地方の学校、教育委員会にいった、と。でも後からフタを開けてみ たら原子力委員会はそんなことはいわなかった、と。非常にアイマイで、子どもの 健康という非常に重要なことに関して無責任にこういうことが決まっていく。 ということは非常に問題ですし、だいたい 20ミリシーベルトといったのは、地方の 学校にいったのは文科省なわけで、文科省というのは原子力政策を安全です、安心 ですと宣伝してきたし (学校で) 生徒にもそうして教えてきたわけですよね。 それで、それが明らかに失敗したわけで、まだ (事故は) 収束もしてないし、これ から事故がどうなっていくのか誰もわからないわけですよね。 そこにはものすごくたくさん使用済核燃料があるわけでしょ。冷やすしか方法がな いのに冷やす水がどんどん漏れていくというどうしようもない状態があるわけです よ。明らかに失敗じゃないですか。 それで、それがどうしようもなくて 20ミリシーベルトまでガマンしろというふうに 文科省がいうこと自体 (彼らに) いう資格なんかないわけですよ。 それはわたしはおかしい (と思う)。 (別の機関が基準を定めるべきだと?) まず最初に (子どもたちを) 避難させるということ。 自分たちの政策の失敗なんですから何を置いても子どもたちの命を守るということ を (文科省は) 政策として表に出すべきじゃないかと。 (崎山さんの考えではずばり何ミリシーベルト以下では使用してもいいと?) わたしは何ミリシーベルト以下だったら安全という線というのはなかなか引けない と思うんですよ。 もし避難するとしたら、やっぱり線量の高いところのほうが被曝するわけですから 、そういう所から優先的に避難していかないと (そこに) いればいるだけリスクは 、子どもとか大人もそうですけど、身体に積もっていくわけですから、長くいれば いるだけね。 (われわれは何もなくても放射線を浴びているわけですよね、それは換算すると 1年 で何ミリシーベルトに?) 世界平均は (自然放射線量が) 2.4ミリシーベルトといわれていて、日本はちょっと 低くて 1.2ミリシーベルトといわれていますよね。それは外部被曝だけじゃなくて 、食物のなかにカリウムとかありますよね、カリウムの放射線もありますから内部 被曝もあるわけです。 そういうものは生活していく上に絶対避けられない、誰でもね。生きてる、地球上 に生きてれば。それはやむを得ない被曝としてわたしたちは受け入れて生活してい るわけです。 それよりも上にプラスされる人工的な放射線というのはなるべく低く、低ければ低 いほどいい、(つまり) そういうコンセンサスです。 (文科省は (20ミリシーベルトという) 基準は変えないけれど、1ミリシーベルト以 下にするんだという方針にしたんですけれども、それに関しては 1ミリシーベルト と考えてよろしいんでしょうか?) 一般の公衆の被曝線量というのが、事故がないときに 1ミリシーベルトと一応決ま っていましたよね。 本当はないほうがいいんですけれど、原子力を使っている社会だと、1ミリシーベル ト以下 (の数値) をめざすというのはなかなかむずかしいという、原子力産業とか (はっきりいえば) 核産業ですよね、そういうものが (日本に) あるかぎりわたした ちはガマンさせられているということになるんじゃないかと思いますけど。 (福島の汚染地図を見せられ) チェルノブイリ事故があって 30キロ圏内は強制移動させられましたよね。未だに人 は住んでいませんから。 セシウムが半分になるのは 30年ですよね。だいたいここらへんの汚染はセシウム 137 だと思うんですけど、やはり (汚染のひどいところに人は) 住めないんじゃな いですか。 30年経ったって半分にしかならないんですから。 除染、除染ってみなさんおっしゃいますけど、校庭とかなにかですごく局所的に土 を取るとかそういうぐらいはできるかと思いますけど、山全体とか広い範囲では (困難ですし)、そこの土をちょっと取ったところで、汚れた葉っぱなどが (飛んで) きたりしたら永久にきれいにはなりませんから、限度があると思うんですよ、そう やって土を取ってきれいにするといってもね。 だからやっぱり健康のことを考えたら、避難ということがわたしは妥当だと思うん ですけどね。 (どこから完全に避難したらいいんですか?) (汚染の度合は) 細かく計測してみないと分からないところがあるんですよね。 わたしも一概にここからここまで (避難せよ) ということはいえない。移住という ことになると、家族だとか社会だとかそういういろんな問題がでてきますから。 ただ、健康に良くないですよということだけはわたしたちはいえますけど。 お年寄りなんかは、もし今の被爆が原因で将来ガンになるといっても、例えば 30年 とか 40年とか、今 60才だとしたら 40年後は 100才ですから、そういうことを考え て -- 個人の年令とかお仕事とか -- いろんな条件があると思うんですけど、やっ ぱり子どもや妊婦さんとかちっさい子とか若い人はなるべく離れたほうがわたしは いいと思います。 (風評被害に対して、個々人がどう解決したらいいと思いますか?) 風評被害という言葉はわたしはすごくおかしい面が多いと思うんですよ。 本当に (食物が) 汚れていてそれを買わないんだったらそれは風評被害じゃない。 本当は汚れていないのに買わないっていうのが、それが風評被害だと思うんですよ 。 本当の意味の風評被害を防ぐためには、やっぱり政府がきちっと測って線量という か汚染度を数字として示したほうがいいと思う。それで消費者の人はそれを見て買 う買わないというのは自分で決めるという感じで。 だから徹底的に (汚染度を) 測って -- もちろん線量の高いものは市場に出さない というのが前提ですよ。 暫定基準というのは決まってて、それもおかしいんですけど、これも原子力安全委 員会が決めてるんですよね (注)。ふつう食物とかなんとかの基準というのは厚生労 働省が決めるんですけど、放射能に限ってはなぜか原子力安全委員会が決めてる。 (注) 原子力安全委員会・飲食物摂取制限に関する指標 (2010) (汚染していなくても (測定すると) 数値は少し出てしまうわけですよね、自然被爆 というレベルでいうと) いいえ、例えばセシウムなんかは汚染されてなければ (数値は) 出ないでしょう。 汚れてなかったら福島県産だってなんだっていいはずで、どこで取れても汚れてな ければいいわけでしょ。なにも福島だけに限った問題ではないし、これからどうな るかわからない、(日本国内の) どこが汚れるかわからないですからね。 (子どもの場合は (放射線を) 浴びて DNA が破壊されやすいということはあるんで すか?) (大人と) 同じようにキズは受けると思うんですよ。ただまちがえて直す機会が多い だろうと、というのは、子どものほうが細胞分裂が盛んですから。 それで、キズがついたのを直すのは一応細胞分裂、DNA 合成を止めてそれを直して 、また DNA 合成することになるわけです。 いつもいつも DNA 合成がすごい盛んな細胞だと、それがうまくいかないんだろうと 思うんですけど、子どものほうが (そうした) 感受性が高いということがあるわけ です、(つまり) まちがえて直すということです。 それとあと、子どもは将来が長いから、子どもは (細胞に) キズがつきやすいとい うことと同時に、早々とキズがついちゃうと、余命が長いから後の時間でガンにな る確率も高くなるということです。 (ポイントは、放射線そのものが蓄積されるのではなくて、DNA にキズがついてそれ をまちがって直してしまうものがどんどんどんどん蓄積されることによってガンの リスクが高まると ...) そうです。 (多くの人は放射線そのものがあたかも蓄積されるかのように受けとってると思われ るところがあるんですよ。その典型的なあらわれが、福島県だとか茨城県の北部の ほうの人たちが避難してくるというと、差別がけっこうあるんですよね、ニュース にもなってるんですけど。これはまったくの誤解だということですよね。) それは全然誤解ですね。 ということは、(放射線被曝を) 伝染病みたいに思ってるんですか? ちょっとあり得 ないですよ、そんなこと! それに、差別っていう感覚は非常におかしくて、もう事故は終わったと思ってるん ですかね。例えばまわりの差別する側の人が、自分が明日もしかしたらその人にな るかもわからないんですよ。 だって事故はまだ終わってないんですから。日本全体にいくかもしれないし、地球 規模の汚染になるかもしれないし、この汚染というものを、原発事故というものを 自分の問題として考えるということじゃないとおかしいですよね。もしか福島にこ れ以上のことが起こったらどうするんですか? 誰もわからないわけですから。 福島だけじゃなくて、今日本は原発がいっぱいあるわけですよね、止めても (原発 には) 使用済燃料はあるわけです。浜松は一応止まりましたけど、使用済燃料は依 然としてある。で、使用済燃料が危険だということは今度の 4号炉でわかったわけ です、そこは動いていなかったのに。 日本で原発から 100キロメートル以上離れている地点というのはそんなにないでし ょう、北海道の端っこ (ぐらい) ですよね。 (どこに住んでたって) みんな犠牲者になる可能性があるわけです。 これからいつまた地震が起こるかわからない、こういう所に (みんなが) いるわけ ですよね。 自分の問題としてこれ以上もう原発事故が起きないように、他の原発もどんどん止 めていって -- 福島がこうですから、いくら止めたって安心できませんけど -- 少 なくとも動いているときよりは危険性は少ないですから、どんどん止めるというよ うな連帯の意識ですよね。 福島の人たちはすごい犠牲者なんですから ... 自分たちもいつ犠牲者になるかわか らない、だからみんな連帯して、生きるためにやっぱり運動していくというか、そ ういうふうな思考形式にならないとちょっと (日本の) 未来はないんじゃないかと いう感じが (わたしは) しますけどね。 (ここ日本列島に住んでる人間にとっては全員当事者なんだという、) そうなんです、全員当事者なんですよ。 (だったら) 差別なんかしているヒマはな い、と。 疲れました ... oLr 2011-07-23 φ(-_-) ■[diary]web archive [河田昌東] "国学院大学講演会の質疑から" (6月 5日) 河田さん、めちゃくちゃ早口です ... oLr [バイオディーゼル] バイオディーゼルに関しては、ナタネを栽培してバイオディーゼルにするというこ とをわれわれはやってますけども、ウクライナにおいては通常の経営とほぼコスト 的に見合う原価で作れることがわかりました。 ただ日本では、どうしても日本のルールではお金がかかるわけですので、コスト的 にむずかしい面があるんじゃないかと思います。 ですから、汚染地域で特別な企業としてやるしかないんじゃないかなと思います。 [バイオガス] バイオガスに関しては日本であまり例がないんですけれども、日本の例をいろいろ 調べたんですが、なぜか ... なんといったらいいんだろう ... 装置を作るのはお 金がかからないんですけれども、運転するために、経費というんですか、非常に高 くついてる例がよくあります。 これは何かシステムに問題があるんじゃないか。そこを解決できれば、現状の問題 -- さまざまな生き物のカスはなんでも使えるわけですから -- メリットのほうが大 きいと (思います)。 [移行係数] 初めの移行係数なんですけれども、麦の移行係数をわたしは知らなかったんですが -- ご存じない方のために説明しますと、土壌 1kg のなかのセシウムを例えば 1000 ベクレルとしますね。 収穫した麦ですね、1kg のなかに 1000ベクレルあれば、割り算するわけですけども 、移行係数を 1 という、0.1 であれば 1割が移行した、そういう計算なんです。 麦が 1 というのは非常に高いように思いますが、本当かな? と思いますね。麦がど れほどカリウム濃度が高いか、あるいは吸収しやすいかというのは、ちょっとわか らないんですけれども。 (63年の環境研のデータの中身を見ますと、ちょうど測定をしたときに、いわゆる開 花期とセシウムが降下した時期と合わさってると) そうですね、それは移行係数として勘定するのはマチガイです、はい。 葉っぱとか茎に付いたものが表面吸収する、これは根から吸収するよりはるかに効 率的に吸収するわけです。 これは非常に一時的なもので、その時だけです、その時期、植わってたものであれ ば。ですからそれを移行係数として計算するのは (おかしい)。 汚染はおそらく起こるかもしれないけれども、移行係数として今後もそのレベルで 汚染していくと考えるのはマチガイです。それよりはおそらく (米などと同じく) 10分の1かそれより少ないとわたしは思う。 ただその表面吸収されて結果的に汚染が高いというのが明らかに予測される場合に どうするか。これは非常に悩ましい問題ですね。もちろん食べられないかもしれな い。これは分析してみるしかありません、実際に。 [大豆] それから大豆の場合ですけれども、われわれは実はウクライナで大豆を植えようと 思ったんです。 おっしゃるように、カリウム濃度が菜の花の場合より大豆のほうが多かった。だけ れども現地の気候でですね、大豆は合わないということがわかって、ナタネにした わけです。 [アマランサスとルピナス] ついでですけれども、実はナタネが一番いいわけじゃない。 セシウムを吸収するにあたって、例えばアマランサスという穀類がありますけれど も、今、学会で 300種類の植物について移行係数が調べられている。それを見ると アマランサスがトップなんです。 全部バイオガスにするんであれば、あるいはアマランサスですから -- デンプンが ありますから -- バイオアルコールをつくるというふうにすればいいかもしれませ ん。 ただ、われわれはバイオディーゼルをつくるというふうに考えたので、一番よくは ないけれども、3番目か 4番目だけども、ナタネを栽培、採用したわけです。 あとは油を取る目的でなくてよければ、ルピナスという植物がある。北海道なんか では花として植えられる非常にきれいな植物です。実はルピナスも非常によく吸収 するということがわかってます。 だから、実はウクライナのわれわれが行くジトメル州 (Zhytomyr) の今、農業大学 をやってる方がいますが、この 2月に話をしたんです。 今の州知事さんですね、実は農学博士だったんですけれども、ルピナスを使って土 壌浄化をする研究をしてたんです、当初。ただ最後の処理がどうしてもどうしたら いいかわからなくて、それっきりになってるとおっしゃった。 それで、じゃそれならわれわれのバイオガス装置を使えばいいじゃないかというと 「そうだよね」と非常に喜んでいただけたというケースがあります。ですからバイ オガスなんかに使うんであれば、汚染しても植えるといいと思う、ある程度の実験 を兼ねてやる必要があると思います。 (もちろん) 大豆なら、油も利用できるわけです。 (映像) http://www.ustream.tv/recorded/15177356 (via http://rokumondou.seesaa.net/article/214865930.html) 2011-08-17 φ(-_-) ■[diary]web archive 原発はなぜ危険か―元設計技師の証言 (岩波新書) [田中三彦] "原子炉圧力容器と脆性破壊" (1988年) ダイヤモンド社の雑誌 "BOX" の主催によるシンポジウムから、 ぼくは今日、徹底的にたった一つのことにこだわるつもりで来ている。 それは -- 昨日、ぼくはちょっと準備にいそがしくて見てなかったのですけど、NHK でもやってたらしいんですが -- 脆性破壊について、その一つだけ、ぼくはこのこ とだけをずっといい続けたいと思う。 脆性破壊というのは、あまりご存知ない方が多いと思うので、これはぼくはずっと テーマにしたいので、よく理解していただきたいのですね。 Vessel (圧力容器) が突然の大破壊をするパターンです。 これは (先ほど) 笑った方はなかなか想像できないかもしれませんけど、1940年の 頃にはこれで突然船が沈んでます、大量の人が死んでます。それから、これは化学 プラントやボイラーでも起こっている現実的な事故です。 これが原子炉圧力容器というところで起こらないかということが一つのポイントに なるはずです。 それは今日すぐ起こるかどうかわからないけども、あとでご説明しますように、被 曝するのは人間ばかりじゃないんです。材料が被曝するんです。 こうやって今、36機が動いている。それは当然核燃料を覆ってますから、材料がど んどん被曝していく。 それで被曝した結果どうなるかというと、ずいぶん脆く (もろく) なる。それで、 脆くなると大崩壊が起こる可能性がある。 さっき英文のレポートがでてきたのは、その指摘をしてるんです。 ご説明しますと脆性破壊というのは、脆い (もろい) 破壊で、日常見られるものと しては、ガラスの破壊なんかはその典型的なものです。特徴は破断面にまったく伸 びがないんです。 その反対の概念というのは延性破壊というものでして、伸びがあります。これはぼ くらは日常的にだいたい鉄なんかをひん曲げて壊してますけど、ああいう伸びがあ ります。 それで、脆性破壊と延性破壊とは明確に区別する温度があるわけじゃないですけど 、この二つの関係は、温度が低くなると (脆性破壊が) 起こりやすくなる、そうい うものです。 じゃあ、鉄鋼みたいな金属材料ですね、これが脆性破壊するのはどういうときかと いうと、それはいくつかの条件が全部揃うと起こる可能性がある。 それは信じられない小さな力で瞬間的に脆性破壊を起こす可能性がある、こういう のを低応力破壊といってます。 どんな条件が起こったときに脆性破壊が起こるかというと、まず一つは材料の使用 温度がある特定の温度 -- これのことは NDT (無延性遷移温度) という専門用語が あるんですが -- その NDT であると理解していただきたいと思います。材料をある 特定の温度より下で使ってると、これは起こる可能性がある。 それから、欠陥が存在していることが必要です。欠陥というのは溶接の欠陥でもい いですしなんでもいいが、とにかく欠陥があると。 それから材料に力が作用してないとなかなか壊れにくいです。 なお、材料の板厚が厚い、厚ければ厚いほどこれは脆性破壊が起こりやすい条件に 入ってきます。 それで、このいくつかの条件が原子炉圧力容器で満たされて 'ない' のかについて 比較してみると、まず材料の NDT 温度より下で使われるとまずいですから、材料の NDT 温度は最初は 40度F (5.5度C) に設定されてますけれども、それに安全を見込 んで 60度F -- 経験上の見込みですが -- 一応 60度F 以上に (60度F プラス?) し て運転するようにしている。これはぼくの判断ですとやってるからマル○です。 二番目は、素材や溶接部、鉄や溶接部にそういう欠陥がないか。これに関しては作 ってる人はないという。それに対して現実はどうか。これは人間、完全じゃありま せんからなんともいえない。ここはクェスチョン ? です。 三番目ですね、材料にある程度、力が作用する。これは 70気圧とか 120気圧とかか かってくるから当然、作用していなければおかしいです。だからこれは脆性破壊の 条件からいうとバツ×です。 それから厚さは非常に厚いです。 BWR だと 150mm 近く、PWR だともっと厚いです 。そういう厚いものは脆性破壊を起こしやすい。これはまれに見る厚さですから脆 性破壊には不利です。 で、原発というのは (このうち) 唯一、なにに依存しているのかというと、NDT 60 度F に依存しているわけです。 簡単にいいますと (グラフでは) ヨコに温度、タテに脆さを測る吸収力エネルギー というものですが、最初の素材がこんなものです、原発は高いところのエネルギー 、脆くないところで使われています。 ところがずっと中性子の被曝をしていきますと、これが横へずれてきます。それか ら、棚も、USE (上部棚) エネルギーも低くなります。 カルメラ -- 砂糖をスプーンにとってつくるボロボロのおやつですが -- あれがイ メージとしては近い、結晶構造がスカスカになっていく、そういうふうにシフトす る。 これが使用中にどれぐらいシフトしているのかということに関して ... これはアメリカの Section Eleven といって、使用中検査のときどういうふうに評 価していくか、クラックなんかが見つかったときどう評価するか書いてある。日本 でもこれは反映されているはずですが、そこには書いてあるんですが、「評価しき れない」、1960年代からアメリカでは材料テストを行ない、いろんなことをやって きたのに、未だに "In Cource of Preparation"、まだ提示できないんです。 それで、どれぐらいずれるかというのはいろんな説がありますけども、あとでもし 必要でしたらお見せ致しますが、150度C ぐらいずれる場合もある。それには異論が あるかもしれませんが、温度によっても違うし、出力、中性子のエネルギーとか密 度、そういうものによって変わってきますからなんともいえませんけれども、非常 に危ないずれをするということだけはわかってます。 Vessel (圧力容器) ですけど、その起こす可能性のあるところは (一つは) 図に黒 々と描いている溶接部です。きちんと計算したわけじゃないですが、溶接の継目を 全部合わせると 120m から 200m あります、一機です。 36機かけると数km あるというんです。その数km の中にぼくらが見過ごしてる欠陥 が一つ (以上) 存在する可能性があり得るということです。これは一機の問題では なくて、全体で考えないといけない。 これは (圧力容器の) 構造なんですが、たくさんノズルがついています。こういう ところに欠陥が発生する可能性をもっています。溶接部だけじゃなくて、こういう ノズルのところから欠陥が発生する可能性がある。 それについて先ほどの Section Eleven にこんな図がでてますが、こういうふうに ノズルのコーナーのところに欠陥が入らないかどうか検査しなさいと、これは最近 の図です。 そのような条件がととのってる中で、やむをえずある種過酷な (例えば) 急冷みた いなことで、それによって熱衝撃を受け、欠陥の近くに大きな力が発生しまして、 そのため欠陥が急激に拡大して事故が起きる。先ほど広瀬さんが見せましたのはそ のレポートです。 それはアメリカの原子力規制委員会 (NRC)がスポンサーになって、オークリッジ国 立研究所というところが出したもので、原発反対運動の人がつくったものではない んです。 あるいは、起動または停止時、比較的普通の運転のときですね、さっきいいました ように、温度がずれてくる中で欠陥が存在してると、普通の起動停止の状態の中で 大規模な事故が起きる、これはあるということで、このことに関してはだれも否定 できないのです。 (映像) http://www.youtube.com/watch?v=gqqKp4ifVgI http://www.youtube.com/watch?v=5KVwQkk0zT8 (参考) 8月 19日、原子力資料情報室で井野博満さんの照射脆化に関する Ustream 中継 が予定されています。 http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1173 (追記) ちょっと訂正。 2011-09-19 φ(-_-) ■[diary]web archive [山崎久隆] "福島第一原子力発電所事故と津波" (8月 8日) 町田市で行なわれた講演から。ちょっと長いです ... (地形の) 構造で見てわかるんですが、この辺みんな崖地なんですね。 崖地だと何が起きるかというと、やってきた津波はタービン建屋にドスンとぶつか って抜けていきますが、行き先はありませんのでこの辺に溜まります。周りからい うとこの敷地がクボミになってるもんですから、ここに海水が溜まりやすいんです ね。 さらにこの前面海底は 5m、沖合いは 10m ぐらいあります。海からみるとこの部分 は浅いし、浅い海底にぶつかって津波の波高は上がります。 上がったままぶつかると津波はこの内陸で阻止されます。敷地の幅は 300m から 400m、行き場を失った水は溜まり続けます。 津波というのは普通、波と違って後から後から押し寄せるものです。 10数分ぐらい にわたって押し波が続きますので、周辺の水位は最大 14m から 15m まで上がりま した。 そのくらいの高い波がこの辺を覆ってしまったために、タービン建屋の中に入って いる非常用ディーゼル発電機とそれから電源盤、すべて水没して使い物にならなく なりました。 それが原子炉が溶けてしまったもう一つの原因、電源喪失ですね。 確かにその通りなんですけども、ここの防潮堤は 5.5m ある、ものの役にたたなか った高さだった。だけではなくてこちら側、5、6号機のほうにある防潮堤は 10m あ るんですが、こちらも実は閉じられた防潮堤ではありませんので阻止するような構 造にはなっておりません ... この船着き場の高さは 4m、この原子炉は 4mしかささえられない構造になっていま した。 なので、確か東電は最初、この原発の津波対策は 5.7m と発表してましたね。今、 IAEA への報告書を読んでそれがはっきりしました。 設計時点でこの原発は 3.1m の高さで設計しています。この船着き場が 4m ありま すから、それより 1m 弱高いわけですので 3m の津波ならここを越えることはあり ません。防潮堤も 5.5m ありますので、3.1m なら十分耐えられます。 3.1m の津波でも耐えられるという設計が、ある日突然 5.7m にかってに書き換えら れます。 阪神淡路の大震災が 95年にありました。その後、日本の原発は大丈夫なの? とみん な思うようになりました。 その当時の耐震設計の審査指針というのがありました。つまりこの基準にしたがっ て原発は建設してください、と国が定めた指針、それがどうも現実にそぐわないの ではないか、特に揺れの大きさが耐震指針が設定している揺れよりはるかに大きな ものが襲ってくるのではないかということがいわれました。 その審査の会の中に実は原発に非常に批判的で原発震災という言葉を生んだ石橋克 彦さん、当時神戸大学の教授がいました。彼も含めて何人かが原発の耐震設計は非 常に危ないということをいいまして、それで設計指針の書き換えが行なわれたんで すね。 ところが実際に津波対策は、地震対策を見直したんだから、それに付随する津波に ついても十分対策をとるように、それが耐震設計指針の最終決定です。津波はほと んど無視されたんです。 地震のほうは少し考え方を変えまして、それまでの想定地震動よりも非常に大きな ものを想定しなさい、と。それでも安全であることをすでに建ててしまった福島第 一のような原発、これは旧耐震設計指針よりもさらに前だったんですね。 旧耐震設計指針はそもそも 80年代にできて、実はこの原発を建てたのは 70年代、 設計は 67年に行なわれて建設が始まったのが 69年。 70年代に運転開始をしてます から、旧耐震指針よりもさらに古いので、もっと基準のない時代につくられたので すね。 その基準のない時代につくった原発を止めてしまえばよかったんですが、止めたく ないもんだからどうしたか? 2006年の段階で今の最新の設計指針にてらして安全かどうか審査しなさい。これを 誰が審査するの? 電力会社が審査しなさい。笑ってはいけないんだけど、笑うしか ない。電力会社が自ら審査して報告書を保安院に提出し、それを国の審議会がチェ ックして、それでゴーサインを出すというこんなバカバカしいことをやってたんで す。 福島第一はその途中でした。ただし 3号機だけはプルサーマルをやってるもんです から、中間報告書を先に出しているんですが、まあ推して知るべしという、安全で すというただそれだけの報告書ですね。いろいろ書いてありますけど今さら読む価 値はありません。 そういうバックチェックをやったときに、なぜか津波の対策が 5.7m OK になったん です。なぜそうなったのか? 今、調べてます。誰が? 東電が。笑い話ですが、ほん とそういう世界ですね。 なぜ 5.7m OK にしたのか? 土木学会原子力部会というのがありまして、原子力部会 がこの構造でも耐えられますよ、と。そのためにはこの中に海水ポンプがあるんで すけどちょっと低すぎるのでかさ上げしてね。どれだけ? 20cm。それで 20cm かさ 上げしただけで 5.7m 耐えられることになってしまったんです。 いまだに理由は不明です。 さらにこのタービン建屋の中に非常用電源が入ってますよね。こういったもろもろ が波が押し寄せてくれば水没したら終わり。みんな誰でも想像することですから東 電だって知ってます。 私も交渉のとき何度もいいました、津波が襲ってきて水没したら非常用電源ダメで すよね。 はい、その通りです。でも 5.7m 以上の津波は来ないです、ダイジョウブです。し かもこの敷地の標高はこちら側は 10m あります。 つまり 10m を越える津波がやって来るなんて、まして起こりうるわけがない。来な いものに対して対策する必要なんかないでしょう、これが東京電力の考え方だし、 未だにすべての原発はその考え方のままです。 対策をとってるかのようなフリをしてるところはいっぱいありますが、全部そんな のウソです。 非常用電源の代わりに電源車を繋いでるところがありますけども、電源車というの は要は非常用のバッテリーと同じであんなものは数時間も運転を継続したら焼け付 いてしまうんですね。電源車をずっと運転し続けて 1日も 2日も持つと思ってたと したらそれはムチャクチャです。冷却不能になってヒートアップして終わりです。 そういうシロモノが電源車なんですが、そういうものを何台か繋いで OK にしてる のが玄海原発とかそういったところなんですね。 他に何も対策がしてありません。もちろんできないからです、簡単には。 津波対策しろといったってそりゃムチャでしょう。そういうのが現状です。なので 、東京電力の津波対策はまったく存在しないに等しかった。 それを称して、非常に巨大な津波が襲ってきたからアウトだったというのは、それ は言い訳、すり替えの論理というのですね。ここを襲った津波が仮りに 6m であっ てもダメだったんですよ。 6m って巨大な津波ですか? そもそも 13m の津波だったっていうことも、この地形が 13m にしただけなんです 。ほんとうにこの原子炉の前面海面に来た津波の高さは何m だったのか? 今、調査 中です。 私たちも調査中です。実際 10m はなかったというふうに考えています。写真という 証拠が残っています。 10m の防潮堤を乗り越えてくる波の写真が残ってました。そ の波は白波をたてています。 津波がこの堤防をはるかに越える高さ、13m であったとしたら白波はたちません、 水没して終わりです。完全に見えなくなって消えてしまいます。 それは、気仙沼の防潮堤とかあるいは田老の防潮堤とか、そういった映像がたくさ ん出てますが、10m の防潮堤に対して 13m の波が襲ってくると防潮堤は水没し跡形 もなく破壊されます。津波というのはそれだけのエネルギーがあります。 この防潮堤が生き残ってるということは、ぶつかった波は乗り上げてきましたが、 この防潮堤を崩壊させるほどの高さはなかったという証拠です。 13m にした理由はなにか? この辺の建物について痕跡を測るわけですね。 13m あっ た、15m あったとやるわけです。 そこで襲ってきた津波は 15m にいつのまにか化けてしまうわけですが、津波という のは押し寄せてきたときの海面上の高さを津波波高といいます。 ぶつかって乗り上げてきた時、それは津波の浸水高といい、さらに斜面を駆け上が っていった最大到達点、これを遡上高といいます。この 3つの概念を使い分けなけ れば、津波のほんとうの姿は見えてきません、これは常識です。 なぜならば、ゆっくりとした津波であればたとえ 10m であっても、この辺を水没さ せるだけで何も破壊しないで終わってしまうということも理論的にはあり得るから です。ところが、6m 程度の津波でも進行エネルギーが非常に高ければ、遡上高で 20m ぐらい上がってこの辺をメチャクチャにしていくこともあり得るんです。 津波の高さだけではなくその浸水高、それから遡上高が何m であったのか、それら を分析しないかぎり津波防災はできない。 原発に関していうならば、ほんとうにどれぐらいの津波が襲ってきたのか、それが 想定をどれだけ越えていたのか、その越えたのが誰の責任なのか? 東電の責任とい うことはまず間違いないんだけどどの程度の重さなのか、ということを追求すると きに非常に重要になります。 なぜならば原子力の災害に対して賠償する法律、それを原子力損害賠償法というの があるんですけども、その 3条には「異常な災害」 -- 隕石が落下するようなレベ ルを考えてください -- それは確かにリクツの上では起こり得るけども、そんなも のに対策しろといわれたら何もつくれない -- つくらないほうがいいんですが。 そうはいっても保険の世界ではそうもいかない、あるんだから保険を掛ける。その 異常な天然災害とは何かというと、具体的には何も書いていない。 そこでどういうふうに考えるかというと、2つの考え方がある。 1つは隕石の落下の ように想定し得ない、想定不可能なそういう災害。もう 1つは過去の歴史上なかっ たような巨大な災害、この 2つを免責にします。 この原発の被災したものが過去の歴史上存在しないくらいに巨大な災害であったの かどうかということは非常に問題になるんですね、そこで。 そのことに関して私たちは、過去に何度も襲ってきたタイプの津波がまた襲ってき ただけであると考えています。 たまたまここは崖地でないので、原発にしてしまったので原発震災になりましたけ ども、原発がなければ周辺、南相馬から茨城県の北茨城とかあるいは常陸中にかけ てのエリアは 4m から 6m の津波に襲われていますけども、過去にそれだけの津波 災害がなかったわけではありません。 千年に一度ということは 1000年前にあったということですよね。ということは歴史 上存在しなかった津波ではあり得ない。 この辺の津波というのは 3回起きてるということが歴史上記録されている。そのう ちの 1つが貞観地震であり、この研究がされていました。 なのでいいかえるならば、貞観地震と同じ津波に耐えられなかったならば、それは 完全な瑕疵である、つまり失敗だということになる。 この地震が、津波が貞観の津波を越えるか越えないか、それは東電にとって今は争 点になっていませんけれど、今後東電存続を許すかどうかというとき最大の争点に なり得る論点なので、ちょっと詳しく説明しました。 http://www.youtube.com/watch?v=60u37TNoaVE (追記) ちょっと訂正。 2011-12-23 φ(-_-) ■[diary]web archive [APAST] "設立記念イベント" 渡辺敦雄さんによる APAST の趣旨説明のところを文字に起こしてみました ... 事務局長の渡辺敦雄です。よろしくお願いします。 お手元に資料がございますけれども -- カラーで印刷されたものです -- 説明を進 めていきたいと思います。 まず「APAST とは ?」ということですけども、設立趣旨は今、後藤さんがお話しま したように「現代科学の事故の本質の認識」ということをちょっと話をしていきた いと思います。 それから、われわれの共有の問題意識として「はたして情報が正しく市民に伝わっ てなかったんじゃないか ?」ということ、正しい情報がどういうふうになったか、 ということですね。 それから、われわれが APAST としてどのような「モデル」を考えてみなさんに支援 していただこうかということ、みなさんといっしょにやっていこうということの APAST の目指す社会システムということを説明したいと思います。 ... まず現代科学技術の問題ですが、「事故の本質と認識」ということですね。私たち はまず、こういう認識をもたないといけないと思います。現代科学認識に関しては 「人間はあやまちを犯すものだ」ということ、必ず犯す。それから「自然災害は必 ず来るんだ」ということですね。三番目に「組織というものは必ず効率を重んじて る」ですね。よく安全第一という言葉がありますが、私は学生にいつも言ってるの は「安全第一があるということは (では) 第二、第三は何なのか ?」という話をし ています。ところで第二が品質であり、第三が生産、つまり効率であるということ になるわけですけども、実は効率第一なんですね、今の世の中は。こういうふうに なってるという認識があります。それから「機械は必ず故障する」。これもあたり まえのことで、必ず故障します。そういったことを現代の「事故の本質の認識」と いうことでとらえています。 それから「伝えられなかった正しい情報」ということですが -- お手元の資料にち ょっと書いてますが -- 今回、国の行政それから企業、学者、報道というものがけ っこう一体となって情報を提供しようとしたのですが、これが本当に、情報の提供 が一方的であったように私は思うんです。ワンサイデッド、一方的であると。いわ ゆるバイラテラルという言葉がある、双方向性という意味ですけど、この双方向性 の、あるいは共有するという意識があまりなかった。いまだにそうだと思います。 それから、当然のことですけど「ただちに影響はない」というような言葉に象徴さ れるように -- これは 20年後にはわかりませんよと言ってるわけなんだけど -- 若 干、普通の市民にとってバイアスがかかる、つまり少し誤解を与える要素をもって る、というようなことが考えられます。それから情報も遅い。飯舘村の人たちがよ く言うんですけど「今ごろになってここが (汚染が) 濃いと言われても困るよ」と いうような話がよくあります。そういうことはインターネット等、市民のレベルで はけっこう早めから情報が発信されてたはずなんですが、残念ながらそういうふう になっておりません。 そういう状況のもとに、われわれ「APAST モデル」としては、今までのような状況 ではなくて、皆が手をつなぐ、つまり -- ウェブという言葉があります。ウェブと いうのはクモの巣ということですけど -- クモの巣のようにどこを切っても必ずど こかとつながってる、こういうのが本当の連携だと思うんです。やはり市民を真ん 中にして皆が手をつなぎあう、議会、地域、国際社会、行政、産業界、学者 (が)。 そしてこういうものをわれわれはイメージする、そこに APAST の役割があるんじゃ ないかというふうに考えてます。当然、報道も私たちは本来こういうふうな立場で -- 報道は情報を共有する立場にいますので。そういうかたちでわれわれ APAST と しての「社会モデル」 -- クラウドとか柔らかい連携とかいう言葉がありますが、 ちょっとむずかしいですけど -- こういったかたちで、最後に「市民の決定システ ム」がここにあるんではないかというふうに考えています。 私たちはものを考えるときに常に「全体から」つまり作るものが地球にどんな影響 を与えているかという観点でものを考えていきたいと思います。次に「地域から」 、地域にとってどのように有効か -- 地産地消という言葉がありますけども -- そ れが地域に有効であろうかということです。それから、これがもっとも大事だと思 うんですが「50年後の世界に立ってみて」。つまり、逆にいうと 50年後に大人にな る -- 例えば、私はこの 3月に孫が生まれましたけど -- その子たちが 50年後に「 おじいちゃんたち何やってたの ?」というふうに、どう思うかということ、それを 常に自分のクライテリア、基準として考えていかなければいけないと思ってます。 「適正なエネルギー社会」ということを標榜(ひょうぼう)しています、APAST は。 「安心であり、長く使用でき、地産地消であり、持続可能であって地球環境汚染や 廃棄後の行方が明確であること」。そして最後に「コストパフォーマンス」、やは り安くないといけません。そういう意味で、こういった「命を脅かすことのない安 心社会」を形成する、ここに掲げた 6つの -- 6つ以上あるかもしれませんけど -- 6つの基準で「適正なエネルギー社会」をわれわれは構築していく義務があると思い ます、市民として。 2012-01-25 φ(-_-) ■[diary]web archive [第7回ストレステスト安全性評価意見聴取会] 原子力安全・保安院の page に当日の video があります (中断後分)。見ると、まるで お通夜のようでしたね。 http://www.nisa.meti.go.jp/stresstest/stresstest.html 一部の政策にたずさわる保安院上層部が (おそらく意見聴取会を進行する幹部にも知ら せず) 開始直前に、評価終了のプレスリリースを発表したのが混乱の要因でしょう。 あいかわらず岡本氏が司会をしてましたが、第6回の意見聴取会で後藤さんが岡本氏の更 迭 (こうてつ) を求めたのは、もちろん技術評価の問題からです。 たとえば、格納容器などでは、研究として圧力にどこまで耐えられるかという破壊 試験を行ないます。 実際にどこまで圧力を加えれば破壊されるかを知るためには、実際に破壊してみな ければいけません。 この破壊試験は (以前は) 日本では行なわれていませんでした。 私は必要だと主張していたのですが、役所も電力会社も破壊する実験自体を嫌うの です。 彼らが好むのは、「設計数値の 1.5倍まで圧力をかけたが壊れず、安全性が確認さ れた」という結果です。 ... しかし過酷事故が起きたときには、設計数値を (確実に) 越えていくわけです。 したがって、どの段階で格納容器が壊れるのかを (絶対) 確認しなければいけない 。 後藤政志 (『世界』 11年 7月号) ストレステスト自体、コンピュータによる解析にすぎないのだから、数値を (地震動を 連続させるとかして) 実際に壊れるまで入力すればいいだけなのに、岡本氏は電力会社 に対し、それすら要求しなかった。 もちろん、それをクリアしたとしても、多くの別の技術評価の問題は残っていますが ... (追記) 文面を少し追加。 2012-02-02 φ(-_-) ■[diary]memorandum [土壌中の放射性セシウムのふるまいについて] 外界に放出された放射性セシウムの挙動については、地質学の初歩的な知識が必要とな る。 原子レベルで見ると、セシウムの最外殻 (原子核から一番外側にあるエネルギー準位の 殻) に含まれる電子は 1個しかない。 単独で安定した原子はすべて最外殻に 8個の電子をもち、また他の原子と結合して化合 物をつくることがない。今回の事故の例でいえば、キセノンやクリプトンという希ガス がそうだ。 もともと原子の電荷は 0、すなわち中性だが、セシウムは最外殻に 1個の原子をもつの で、イオン結合、つまり別の最外殻に 7個の電子をもつ原子に電子を渡して安定化しよ うとする。 雨や雪によって表土に落ちたセシウムは、イオン化 (+1 の電荷をもつこと) し、土壌中 のイオンと結合してさまざまな化合物に変化をする。 イオン結合によってできた化合物はもとの化学的性質を失い、あるものは土壌中の水分 に溶け込み、そうでないものは土壌成分の表面に吸着する。 雨は水以外に二酸化炭素を含むのでわずかに酸性であり、土壌成分と結合した化合物を 再びイオン化させる。 その結果、一部のセシウムイオンは土壌中の水分へと移り、これをくり返すことで、少 しずつ地下深くに移動していく。 これでいいと思うけど ... (まちがってたら、指摘してください) (追記) セシウムの電子殻 http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/2f/ Electron_shell_055_Caesium.svg/558px-Electron_shell_055_Caesium.svg.png (画像フ ァイル) 2012-02-10 φ(-_-) ■[diary]web archive [農家の婿のブログ] "伊達市農業委員会 ? クソッタレ委員会の間違いだろう ?" (2月 9 日) http://ameblo.jp/noukanomuko/entry-11159499233.html そりゃね、作らない人だって出てきますよ。当然でしょ。 そりゃ不安でしょうよ。安全かどうかの段階でも不安だったし、売れるかどうかも 不安だったし 土ぼこりを吸う等、作る側としての健康面も不安だった。 稲作の作付制限は 5000ベクレル (5000Bq/kg) ですが、これはあくまで米への移行係数 から逆算して定めた数値です。 実際に土壌汚染で使われる平方メートル当りのベクレル数に換算すると、33万ベクレル (330kBq/m2) という高い数値であることがわかります。 米を作っていいかどうか以前に、そんなところで長時間農作業をすれば、農業従事者は 確実に被曝してしまう。 文部科学省に放射線モニタリング情報という page があります。 http://radioactivity.mext.go.jp/ja/ monitoring_around_FukushimaNPP_MEXT_DOE_airborne_monitoring/ 12月分が最新の報告です。その pdf ファイルに添付された汚染地図を見れば、33万ベク レルという数値が含まれる範囲 (300k - 600kBq/m2) が福島県の中通りを含む高汚染地 帯であることがわかると思います。 伊達市は福島市の東に位置しますが、すべての地域で 10万ベクレル (100kBq/m2) を越 えています。また放射性雲 (プルーム) の通過した場所では、ホットスポットより広い 数ヘクタールに及ぶホットエリアの存在も考えないといけない。 事故後 1年近くたった現在、セシウム134 による減衰を考慮にいれても、今後今の数値 が目に見えて減ることはないでしょう。 あまりまとまってませんが、気のついたことだけを ... (追記) 農林水産省「稲の作付に関する考え方」 (11年 4月 8日) http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/sien/pdf/110422-03.pdf (pdf file) (via http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/sien/110422.html) 2012-02-23 φ(-_-) ■[diary]web archive [後藤政志] "原発に完全に安全なシステムはない" (2月 19日) embed(http://www.youtube.com/v/zgZT-RjNfZE) D (video - 2 hr 10 min) (http://gotomasashi.blogspot.com/2012/02/blog-post_20.html) (参考) 渡辺敦雄「原子力発電所の安全設計の設計指針には共通故障モードは含まれてい ない (単一故障モードのみ)」 どのくらいこのシステムが違うかということを、わかりやすくお金で説明するとこ うなる。 火力発電所の例でいうとこのボイラー系が約400億円ぐらい。もちろんこれは場所に よっても違いますし大きさによっても違うんだが、だいたいのイメージでとらえて 、100万キロワットの火力発電所と原子力発電所ということで、火力発電所のボイラ ーまわりで 400億円、タービンのほうもだいたい同じくらいで 400億円ぐらいです ね、合計 800億円。 では原子力はどのくらいであるか。 (ボイラー系で) 3000億円ぐらい、約 10倍。こ ちらも約 2倍くらいでタービン系は約 1000億円ぐらい。両方合わせて約 4000億あ るいは 5000億円ぐらいといわれている。 そして -- ここがポイントなんですが -- 原子炉の中で、こういった地震なんかが あった場合、止めて炉心の中に水を入れる装置、これを緊急炉心冷却系というので すが、今回これが動かなかったんで問題になったんです。 わたしが 1971年に東芝に入ったときにセンパイからこういわれました。 「渡辺、緊急炉心冷却系が動くような事態になったら、おまえ、終わりだと思えよ 。もう原子力終わりだよ」 今回、動くはずのものが動かなかった。だけど、これが動くという事態は原子力発 電所の設計者としては挫折である、つまり失敗してるわけです、運転に。でもそう いう設計をするんだということで、(その) 基本設計を想像してもらいます。 で、この緊急炉心冷却系がさっきの 3000億円の中でどのくらいか。 2500億円ぐら いです。つまり一生に一度も使ってはならないような装置に膨大なお金がかかる。 正直にいってそのぐらいがんばってやってます、原子力の設計者は。 しかし今回は (工学的な共通故障モードがその安全設計には含まれてなかったが故 に) 動かなかった ... (11年 5月 23日講演会) 2012-02-25 φ(-_-) ■[diary]web archive [Yu.I. Bandazhevsky] "Radioactive Caesium and Heart" (2001) http://www.progettohumus.it/include/chernobyl/dintorni/banda/Banda02En.pdf (pdf file - 56 pages) conclusion を訳してみました。 (追記) 訳ともとの英文は結語前半の部分です。 最後に この本を仕上げる最中 (さなか) わたしは、人体に取り込まれるときの放射性物質 の有害な影響に関する情報を、判断できる人誰もに注意をうながす必要について、 しばしば考えていた。不幸にも社会において、この問題への見方はよくて無関心だ 。そのことが人の生命において高い犠牲を払っている理由だ。知識の暗い闇は悲劇 に転じる。その責任の大部分は医学の研究者にある。彼らはより早くデータを手に 入れて、人々に伝えようと努めないばかりか、放射性同位元素を人体が取り入れた とき現れる変化を学ぶことさえしない。 わたしはこの小さな本がこの問題についての情報不足を補えて (おぎなえて) ない ことはわかっている。にもかかわらず関心をもってもらい、この問題が論じられる ことを期待している。そしてそれは非常に有益なものだろう。 手に入れたデータを用いることでいくらかでも結論を得ることは可能になる。 放射性同位元素、特に放射性セシウムはわれわれの環境にしのびこみ、なんの防御 測定もなければ、主として食品材料と水から人々の身体に侵入し、器官と組織に取 り込まれる。人間の生命にとってもっとも危険なのは成長期にある人体の心臓の筋 肉に取り込まれた放射性セシウムだ。 心筋細胞へのその侵入は組織と代謝との変質をもたらし、エネルギー欠損からこれ らの組織の損傷をみちびき、いくらかの症例では死に至る。心臓の筋肉への直接の 損傷とともに、その運動を調整する多数の器官と組織に障害を示す複雑な変化が現 れる。心筋細胞は放射性セシウムにより損傷を受けるだけでなく、その形成、移転 、結合、波及および破壊 (図版23) の過程でなんらかの侵害を受けるときには自然 な代謝によっても損傷する。 病理変化が現れる程度は、人体および心臓の筋肉にある放射性セシウムの量に直接 依存する。放射性同位元素の 30Bq/kg 以上の長期にわたる取り込みは、重篤 (じゅ うとく) な結果を招くためまったく好ましいことではない。 (ユーリ・バンダジェフスキー) conclusion While hammering away this book, I was constantly thinking about the necessary to bring to the notice of any civilized person the information about harmful influence of radioactive substances when they incorporated by the organisum. Unfortunately in society there is, at best, indifferent attitude to that problem. That is why we pay a very high price, which is human's life. Intellectual dark turns about the tragedy. To a great extent the blame rests with medical scientists. They don't only try to inform population, using earlier obtained data, but don't even study alterations, appearing in the organism when radioisotopes incorporate. I understand that this small book couldn't supply the lack of information about that problem. Nevertheless I hope it will cause interest and the problem will be discussed. And it will be very useful. Using obtained data it is possible to make some conclusions. Radioisotopes and, first of all, radioactive caesium lie in our environment and without any protective measurements, they penetrate in people's organism mainly with food stuffs and water and incorporated in organs and tissues. The most dangerous for human life is radioactive caesium incorporated in cardiac muscle of growing organism. Its penetration in myocardium cells causes structual and metabolic alternations, leading the energetic deficit and to the impairment of their functions and in some cases to death. At once appears the complex of modifications, evidencing about direct injure of cardiac muscle as well as about disturfance of numerous organs and systems, regulating its activity. Cardiomyocytes are damaged not only with radioactive caesium, but also with natural metabolites when there are any violations in the process of their forming, transporting, bonding, exertion and destruction (fig 23). Degree of expression of pathologic alternations is in direct dependence from the amount of radioactive caesium in the organism and cardiac muscle. Prolonged incorporation of radioisotope in the organism more than 30Bq/kg is very undesirable, because could lead to the serious consequences. 2012-02-27 φ(-_-) ■[diary]web archive [河田昌東] "子どもたちを被曝から守る暮らし方" (2月 16日) http://www.ustream.tv/recorded/20362195 (video - 60 min 14 sec) http://www.ustream.tv/recorded/20363792 (video - 40 min 40 sec) 河田さんの発言から少しだけ pick up してみました。 微細土壌粒子除去 空から放射能が降ってきて土壌にくっついたということは、例えば土を球と考える と、表面に (放射性物質が) くっついているわけですね。だから球の直径と表面積 の関係を考えれば、細かい粒子ほどうんと濃度が高い。これは実際、われわれが須 賀川という所で実験をやっていますけれども、非常にきれいな (相関) 関係があり ます。 ということは田んぼであれば、水を張ってかきまぜて、上に浮く沈まないドロがあ ります。あれを除去すればかなり汚染は減る。 それを冬の間に何回もやって、きれいにしようと。 そのかわり除去したものは川に流せば、また汚染がひろがるわけですから、それで 何らかの、沈殿させるとか、吸着するとか、そういう方法は必要になります。 腐葉土化によるアンモニウム・イオンの発生 それからもう一つ (コメが汚染された) 大きな原因だと私が思っているのは、水の 中のアンモニア濃度です。これは夏の間に汚染した落葉が腐葉土化します、腐って きますね。 そこからセシウムが出てくることもあるのですが、同時に腐ったときアンモニアが 発生するんです。 このアンモニウム・イオンというのは、土壌にくっついたセシウムをもう一度水に 溶かす働きがあることがわかっています。 放射性セシウムと人体への影響 チェルノブイリで経験しましたこととして、ガン・白血病はたしかに起こります。 しかしそれは全体の一割以下にすぎません。 もっともたくさん起こるのは、心臓病とか脳血管病、糖尿病あるいは免疫力低下と いったような、一言でいえば成人病なわけです。 (そして) セシウムは心臓をまっ先にアタックするということもわかっています。 ----------------------- ガン・白血病だけを問題にすると、その部分が抜けてしまうんですね。ほんとうに 対策にならないと思うんです。 どうしてもわれわれは特定の原因と特定の病気を結びつけたい。水俣病は有機水銀 、イタイイタイ病はカドミウム、PCB とか。 ですからそう思いたいんですけど、実は放射能に関してはそれは成り立たない。放 射能は身体全般の老化につながる。 むかしから放射能の影響は加齢だといわれてるんです。年を重ねる、速く。 自然放射線による被曝が 1mSv/year とすると、ちょっと抽象的というか大ざっぱに いえば、5mSv なら 5年はやく年をとるという感じなわけです。加齢なんです。 Cs137 生物学的半減期 (ICRP) 1歳児 13日 5歳児 30日 10歳以上 90 ~ 100日 Cs137 蓄積速度 (ICRP) 幼児 30Bq 子ども 53Bq 青年 117Bq 成人 143Bq (140Bq?) 平衡時の 蓄積量 (ICRP) (1日 10Bq を 摂取) 乳幼児 (体重 10kg) 10Bq x 30 x 1/10 = 30Bq/kg 大人 (体重 50kg) 10Bq x 140 x 1/50 = 28Bq/kg 内部被曝のリスクの 2つの考え方 政府とか行政機関あるいはお医者さんが発表するとき、実際には WBC でベクレルを 測定するんですね。発表するときは全部シーベルトに換算して発表します。 その換算式、これは Cs137 ですけど、実はベクレル数としては非常に大きくても、 シーベルトに換算するとまったく問題にならないレベルになってしまう。 例えば 1mSv。今後、食品の基準を 5分の1 以下にして (年間被曝量を) 1mSv にす るといってますけど、実は 1mSv は 76900Bq に相当します、身体全体です。 これが ICRP あるいは政府が公式に発表するときの根拠です。 それに対して、ベラルーシのバンダジェフスキーという研究者は、体重 1kg 当たり 50Bq を超えると危険だという論文をいくつも書いています。 50Bq 以上になれば危険だということは、体重 50kg とすれば 1mSv でみれば 76900Bq ですから、kg 当たりにすると 1538Bq にもなってしまう。 これは非常に大きな考え方のギャップです。どちらをとればいいのかというのは、 はっきりいえばよくわからない。 安全側をとるとしたら、バンダジェフスキーの説をとるのがいいかと思います。 ICRP の蓄積カーブから計算して、毎日 10Bq ずつ食べつづけると、平衡状態ではだ いたい 30Bq ぐらいになります、おとなも子どもも。かろうじてバンダジェフスキ ーの (危険とする) 50Bq 以下にはなるということです。 2012-03-06 φ(-_-) ■[diary]miscellanies [Yury Bandazhevsky] "In response to the information of UNSCEAR" (2010) アルファ線はヘリウムの原子核、ベータ線は高速の電子線で、どちらも大きな電離能力 をもってます。ガンマ線はというと、 物理的には、ガンマ線や X線は電磁波の光と同じ仲間です。 いろんな専門家が出てきてこの間のことをコメントしていますが、光との違いが問 題であれば、放射線の専門家というより本当は生物学、医学の専門家に聴くのがよ いと思います。 (瀬川嘉之 -- 高木学校) ということなので、またまた少しだけ訳してみました。 われわれの意見では、この現象を解釈するには、遺伝子作用の適応化を含む、人や 動物の適応化作用の存在を理解することにある。 これについて、細胞の遺伝子器官の活動に作用 (刺激) する組織の機能を抑え込む 環境的要因が、多数の病気発生を増加させる誘因 (発生要因) となるだろう。 ほんのわずかな Cs-137 であっても適応化する組織、とりわけ免疫系組織の作用を 抑え込むことができる。 しかし、細胞膜の抗体全領域の変換形式による遺伝情報の実現作用を歪める (ゆが める) 遺伝子の欠損は、細胞の機能を壊し (こわし) 変異させる。 このことが、ガンや心臓血管病および奇形化を含んだ、特定の病理的過程が現れる 下地をつくりだしている。 (ユーリ・バンダジェフスキー) In our view, the explanation of the phenomenon lies in understanding the existence of regulatory processes in humans and animals, including, regulation of gene activity. In this regard, environmental factors that inhibit the function of systems the regulate (stimulate) the activity of the cells genetic apparatus, will become inducers (generators) that increase the occurance of many diseases. In relating small amounts of Cs-137 is capable of inhibiting the activity of regulatory systems, and above all, the immune system. However, in the presence of genetic defects, distorted processes of realization of genetic information in the form of changes in the antigenic landscape on cell membrances, lead to disrupted cell functioning and differentiation. This creates the basis for the emergence of specific pathological processes including cancer, cardiovascular diseases and malformations. (追記) ここでは電離放射線による次世代への影響を病理学の見地から解説しています。 つまり DNA を直接、損傷するカーシノジェン Carcinogenicity = ガン誘発原として作 用するだけでなく、(エックス線も含め) 放射線は遺伝子の働きを妨害するテラトジェン Teratogen = 催奇形性物質としても、細胞に作用するということですね。 2012-03-10 φ(-_-) ■[diary]miscellanies [原発震災] 福島第一原子力発電所の事故から 1年になる。当時の朝日新聞の夕刊を見ると、2011年 3月 12日から 16日までの一面見出しは、号外に準じていて、黒地に白抜きの文字になっ ている。 どんな報道がされていたのか、書き留めておこう。 3月 12日 (土) [福島原発、放射能を放出] 東京電力は 12日朝、東日本大震災で被害を受けた福島第一原子力発電所 (福島県大 熊町) で、放射性物質を含む空気を大気中に放出するため、弁を開けた。 ... 福島第二原発 (同県楢葉町、富岡町) でも、原子炉の容器内の圧力を制御できない ため、1 ~ 4号機のすべてで放出の準備に入った。 東電によると、福島第一原発での放出作業は、原子炉格納容器の圧力が上がりすぎ たためだ。同日午前 4時すぎの会見で、想定している設計圧力 400キロパスカルに 対し、計測数値は 2.1倍の 840キロパスカルに上がっていた。 ... 放出に伴う被曝量について、東電は「発電所構内のうち線量が最も大きい場所で、 放出開始から終了までの間に 64ミリシーベルトと試算している。 3月 13日 (日) [3号機も冷却不全] 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所 3号機で 13日朝、大量 の放射能漏れを防ぐため、1号機に続き、原子炉の格納容器から微量の放射性物質を 含む蒸気を放出する弁が開けられた。 ... 1号機の建屋では 12日午後 3時半過ぎ、原子炉から漏れ出した水素が原因とみられ る爆発もあった。保安院によれば建屋は壊れたが、周辺の放射線量などから、原子 炉の格納容器は壊れておらず、ただちに大量の放射性物質が外部に漏れるようなこ とはないという。 3月 14日 (月) [3号機水素爆発] 東日本大震災で被害を受けた東京電力の福島第一原子力発電所 (福島県大熊町) の 3号機で 14日午前 11時ごろ、大きな爆発が起きた。経済産業省原子力安全・保安院 によると水素爆発が起きたことを確認した。保安院は、原子炉格納容器が損傷した 可能性は低いとみている。 3月 15日 (火) [圧力抑制室損傷か] 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所 (福島県大熊町、双葉 町) の 2号機で 15日午前 6時 14分ごろ、爆発音があった。経済産業省原子力安全 ・保安院に東京電力が報告した。格納容器につながる圧力抑制室 (サプレッション プール) が損傷した可能性があり、濃度の高い放射性物質が外部に漏れ出したおそ れがある。 ... 定期検査のため、運転停止中の福島第一原発 4号機で午前 6時ごろ、大きな音が発 生した。東京電力が確認したところ、原子炉建屋の 5階屋根付近に損傷がみられた 。 この日の二面には、安斎育郎さんの談話が小さく載っています。 今回の事態で、福島原発付近での放射線量が 1時間あたり約1200マイクロシーベル トだったとき、約100キロ離れた女川原発付近での観測値は 21マイクロシーベルト だった。約120キロ離れていても、60分の1にしかなっていないことを考えると、放 射性物質は同心円状に広がっているのではなく、細い雲状に流れている可能性が強 い。 この場合、単に遠くに逃げるというのは無駄が多い。 放射性物質の量・風向・風速によって、危険エリアがどのように広がるか予測する ことができる。 この予測される通り道を避けるという現実的な退避計画に基づいた指示が必要だ。 3月 16日 (水) [3号機から白煙] 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原発 3号機 (福島県大熊町) で 16日 午前 8時半ごろ、白煙が上がっているのが確認された。核燃料を貯蔵するプールが 沸騰している可能性がある。 同日朝には、原発付近では高い放射能が観測されたが、2号機の原子炉格納容器の損 傷による可能性があるという。 原発の正門近くでは午前 10時 40分ごろ、毎時 1万マイクロシーベルト (10ミリシ ーベルト) の高い放射線が計測された。 ... 一方、東電によると、同原発 4号機では 16日午前 5時 45分ごろ、建屋から炎が上 がっているのが確認された。 現場は、15日に火災が発生した場所と同じ 4号機の建屋にある再循環ポンプ付近。 東京電力は 15日、建物の外から見た限りでは煙が出ていなかったため自然に鎮火し たと発表していたが、建屋内で燃え続けていた可能性もある。 東電福島事務所によると、原発の正門では 16日午前 8時現在、毎時 628マイクロシ ーベルト、福島市では 16日午前 8時現在、毎時 20マイクロシーベルトの放射線が 観測された。 次の日から、見出しの文字は元に戻り、朝日新聞を含む多くのマスメディアは、政府と 東京電力の発表をいかに正確に伝えるか、それのみに腐心していくことになる ... 2012-03-23 φ(-_-) ■[diary]web archive [崎山比早子] "放射線の生物影響" (2月 18日) 宇都宮で開かれた講演会の質疑から、 セシウムの排泄 (はいせつ) 経路によってガンが違うんじゃないかと、これは確か で、セシウムというのはだいたい 80% ぐらいは尿から排泄されますね、後が便から 排泄されるんですけど。 まだ日本では詳しく研究されていませんけれども、ベラルーシのゴメル大学にいた バンダジェフスキーさんという方がいらっしゃるんですけれど、病理医もしてられ る。 その方が何千人というベラルーシで亡くなった方を病理解剖してらして、ガンにな る前にいろいろな病気で亡くなるんです。 たとえば 80% ぐらいが尿から出ると、膀胱 (ぼうこう) だけじゃなく腎臓 (じんぞ う) ですよね、まず腎臓から排出されて膀胱までいって。 この間、児玉先生が国会で証言されてまして、チェルノブイリ膀胱炎が多いという ふうにおっしゃってましたけれど、膀胱のガンになるということをですね。 ガンになるということは確かに多くはなるんですけれども、一義的には心臓血管系 の病気だとか、内分泌 (ないぶんぴつ) 系の疾患 (しっかん) ですね、すい臓とか 甲状腺とかありますから、自己免疫 (じこめんえき) 疾患というかたちになって、 そういうことのほうがむしろ子どもにとっては深刻な問題だと。 ICRP の 100mSv/year の評価なんですけれども、ICRP が先ほどお示ししました直線 モデルをだしたのは、広島・長崎の被曝者 60年、9万人ちかくを追跡調査した結果 に、1/2 を掛けてる。その 1/2 を掛けたことが正しいかどうかわからないのに、原 子力安全委員会は 100mSv だと、0.5% ガン死率だからそれは変動の範囲だと。 変動の範囲になるからいいんだということは、むしろしきい値があるということよ りも、もっと悪いと私は思ってます。同等に悪いんですけれど。 1000人に 5人ぐらいガン死が増えても、疫学 (えきがく) 調査でひっかかってこな いんだから、それは問題ないだろう、そういういい方だと思う。それは倫理的に崩 壊していると思うんです。 1000人に 1人であろうが 1000人に 5人であろうが、あきらかにガン死が起きるとい うことを認めながら、それを疫学調査でひっかかってこないからというようないい 方というのは、これはもうほんとうに論外ではないかと思います。 (映像) http://www.youtube.com/watch?v=PGrHbqzJSVI http://www.youtube.com/watch?v=mM2SqsyEA9I (後半部分) 2012-03-24 φ(-_-) ■[diary]web archive [Peace Philosophy Centre] "農地土壌の放射性物質分布図 -- 岩手から静岡まで" (3月 24日) http://peacephilosophy.blogspot.com/2012/03/blog-post_24.html 放射線業務従事者の規定によれば、Cs-137 の空気中濃度の制限値は 5 x 10^-3 μCi/m^3 です。(注) 5 x 10^-3 = 5 x 1/1000 1 Ci (キュリー) は、370 x 10000^2 Bq で、1 μCi (マイクロキュリー) は 370 x 10^2 Bq。 μCi を Bq (ベクレル) に換算すると、 (5 x 1/1000) x (370 x 100) = 5 x 370 x 1/10 = 185 (Bq/m^3) この数値は m^3 (立方メートル) あたりの空気中の濃度なので、土壌中の濃度とは直接 比較できないけど、非常に小さい。農作業時の被曝を考えると、休耕にしないといけな い地域はそうとう広範囲にわたるようです。 まさか防御服に身をつつんでタイマー片手に田畑に入るわけにもいかないですし ... (訂正) はてな記法 (TeX) がうまく使えない ... oLr (注) 市川定夫『新公害原論』 (1988) (追記) CNIC の資料では、現在は 3 x 10^-3 Bq/m^3 と、よりきびしく制限されていま す。 http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/13.html 2012-04-07 φ(-_-) ■[diary]web archive [Rosalie Bertell] "Fukushima Nuclear Catastrophe" (Mar 24, 2011) http://www.rense.com/general93/fuk.htm まだ紹介されてなかったようだし、訳してみました。 そんなに情報をもたなくても、ここまで考えることはできるんですね。 親愛な友へ、そしてこの地球という住み家で互いによりそい居住する人々に、 すべての人に必要とされるようなすばらしい回答は、私はさし出すことができませ ん。それでも、CNN や NHK あるいは他のネットワークによって与えられた、「専門 家」による公式報告はどう聞くのかについて、ほんのわずかな忠告と、つけ加えて 、何が食べれて何が食べれないかの忠告をいくつか、私はさし出すことはできます 。 初めに、直接の危険がともない、かつ患者に恩恵がある放射能の医学への用途と、 同じような放射能を大人口に無作為に配分するのでは、非常に大きい違いがありま す。後者の場合、その危険は拡大し、恩恵のほうは、ある社会全体の利益に応じて 役立てられます。そのため、個人の損害は、一つの国の軍事的、経済的な利益のた め、たぶん犠牲となるのです。一般の人々にはけっして十分に理解されない、ある いは合理性をたもつ市民社会では説明できず同意されない、こうした交換を、いか にしてまたどうしてわたしたちが実行しなければならないのでしょう。 また、核の大災害からの放射能を帯びた残骸による体内汚染と、被曝に承諾と制限 をあなたたちが求めることができ、無意識に起こりうるどんな問題にも注意する、 専門家の管理下にある外部からの医療装置による直接被曝とは、重要な違いがあり ます。医療で内部放射性トレーサーの使われるとき、それは (生理的および物理的) 半減期は短く、核の大災害で見出されるプルトニウム、ウラン、トリウムあるいは その他の残骸とは同種のものではありません。 にもかかわらず、両者の被曝ともに重大であり、その危険に対して相応の承諾を求 めることができます。不幸なことに、大災害ではその前者の承諾が欠けているので す ! 全体として十分な健康と基本となる栄養をとる人々は、それが可能であれば、食物 、空気あるいは水が汚染されたとき、汚染されていない食物を選び、身体に正常に 取り込むことで、よりよい食事をするでしょう。もし放射性降下物によって、また は汚染された水によって、汚染が疑われるのでしたら、サラダ類を食べるのは避け てください。そして野菜や果物は、表面のどんな汚染も取り除くため、つねに注意 深く洗うようにしてください。 カリウム・ヨード剤は医学的管理なしには扱ってはいけません。ヨウ素 131 は短い 半減期をもち、原子炉の爆発で投下されるのでなければ、おそらくそれほど遠くま で行くことはないでしょう。もし放射性ヨウ素が牛乳にあるとすれば、非常に危険 なガンマ線放射体のコバルト 60 もあります。無機のコバルトは牛の乳房にある有 機のビタミン B-12 に取り入れられ、ミルクから体内に取り込まれたとき、非常に より危険なものとなります。休養は十分とるようにしてください。そうすれば、身 体はどんな損傷であれ、効率よく回復を引き受けることができます。あなたはより 良質な水を手に入れ、水分を保持するようしてください。 初期の放射性降下物のおもな放射能はアルファ線で、紙でさえぎることができると いうのは本当です。けれども、その同じ放射能が体内に投げ込まれたとき、細胞の 損傷は等価の X線量の約20倍になります。 私は手元に食物を置いておきたいし、その高い品質に感謝しています。そのとき私 は、どんな有害な汚染物質をもつものでも、それから私を守ることを求めます。こ れが現代の食事の前の祈りであり、こうした状況のもとでは的外れでないと考えて います。 私はあなたがたが正しくそして特に、わたしたちの世界のなかで、ヒロシマとナガ サキの生存者、そしてその他すべての放射能による被害者/生存者、この巨大な脅威 に恐怖し、そこではかつてのように誰もが再び苦しまないことを望んでいる、その 彼らへの祈りを心にいだくよう望んでいます ! 平和を ! Rosalie Bertell (追記) ちょっと訂正。 2012-04-11 φ(-_-) ■[diary]web archive [渡辺敦雄] "浜岡原発の技術的課題" (4月 7日) シンポジウム "東海地震と浜岡原発" から。紙上講演会 (長いです) ... 原子力施設と書いてありますね。原子力施設のテクノロジーとの違いということを まず認識していただきたいんです。 原子力というのは、例えばガンの放射線治療のように非常にわたしたちの役にたつ 、ありがたい技術でもあるわけです、一方では。 しかし、原子力技術というのをわたしたちはまず認識したほうがいい、原子力施設 の。発電所とイメージしてもかまいません。 事故の規模がメチャクチャ異なる、大きい。どういう意味かというと、電力会社の ほうで責任がとれない、一つある事故が起きると。いまの東京電力さんがそうです ね。 次に放射能、すなわち使用済燃料の処理方法が未確立である、これですね。核変換 といいまして、煮ても焼いてもクスリを入れても、放射能というのは基本的に絶対 になくなりません。なくなる方法はたった一つ、時間だけです。 これが半減期といわれて、例えばセシウム 137 は毒性が半分に減るのは 30年、60 年後にやっと 4分の1、90年たってもせいぜい 8分の1。 みなさんが今、もし放射能に汚染されているとしたら、現在の状況ではセシウム 137 が主流ですので、100年間たっても現在の状況がやっと 8分の1 ぐらいにしかな らないんだということを、まず認識してください。これはとっても大事なことです 。 それから浜岡の 3号機にはプルトニウム・サーマルリアクタ、略してプルサーマル という燃料が使われる予定だと。 このプルトニウムですが、実は半減期が 2万4000年、そうすると 10万年たってもせ いぜい 16分の1、これたいへんなことです。 プルトニウムというのは重くて、容易にわれわれの身体には入りにくいものです、 これは事実です。しかしひとたび入ったら、10万年間で 16分の1 にしかならない。 人間の生命から考えたら、もうほとんど減らないと思っていい。 それから原子力施設は、もしかしたら他の方法があるかもしれない。これはわたし の言葉ではありません、小出さんがよくいいます「たかが電気じゃないか、なんで 原子力を使うの ?」、こういうことなんですね。 例えば放射線治療、あるいは遺伝子の改良に放射線を使う、これからも行われると 思います。こういうものは放射線以外に方法がないんです。 ガンの放射線治療は放射線以外に方法はありません。例えば脳腫瘍でガンマ照射と いうのがありますけど、これは他に方法がないんです、代替法がありません。 ですから、これはある意味では、その人の判断でやむをえないと思ってもいいと思 うんですが、他にもし代替法があるこういう施設であれば、わたしはちゃんと比較 をして、みなさんが一人一人で考えるべきだと思います。 福島の原子力発電所の事故では、今までの原子力の原子炉設計哲学がすべて破綻し ています。 わたし自身、勉強して青雲の志をいだいて原子力発電所の設計に入りました。しか し、そういったときの設計思想が今回、すべて破られています。 一つは深層防護、まず事故を防止するということ、これはもちろんできなかったで すね。それから事故の拡大防止、破綻防止。事故が拡大して発電所がまいったなと いうことを防止しようと、これもダメでした。 そして 3番目の、深層防護というのは 5段階ありますけど、5段階目は政治的な問題 なので、3段階目までが機械なんですが、環境への影響防止、これもついに破れたん ですね。 もう一つ、よく前からいわれる多重防護、5重の壁、これは全部破られたんです、し かも同時に。 それから確率論的安全評価、とてもむずかしい概念ですが、簡単にいうと、事故と いうのは、例えばみなさんの家庭で冷蔵庫が 2つあるとします。 2つの冷蔵庫が同 時に壊れることはないという考え方です。 1個壊れても 1個はもつ。やがて壊れる かもしれませんけど、同時に同じような理由で壊れることはないというのが、単一 故障基準です。これが原子力発電所で採用されていました。 しかし今回、何が起こったかというと、同時に同じ原因であらゆる機械が壊れてし まった、これが共通原因故障です。 例えば、浜岡 1号機の運転停止訴訟のときには、裁判官は何といったかというと「 共通原因故障はあり得ない」、こういったんですね。しかし今回は起こりました。 浜岡原子力発電所の、これがわたしの今日のテーマですけど、特殊性について。 まず 2つあります。 1つは、今でもわたしの名前のある図面を中部電力さんが使用 していると思いますが、構造上の問題。 MARK I という原子炉格納容器がある。これはですね、LOCA 冷却材喪失事故、今回 起こりましたけど福島で、こういった事故に PCV 原子炉格納容器のうち、抑制プー ルが破壊される可能性が高いということです。 これは構造的に非常に問題を含んでいます。浜岡の原子力発電所の 5号機は MARK III という型で、これは改良型の 3番目という意味ですが、かなり改善されていま す。 それからみなさんお気づきの地震ですね。 MARK I 型、MARK II は今回関係ないのでとりあえずとばします、MARK III 型。こ ういう形で原子炉格納容器は発展してきました。 現在は MARK I が 1号機から 4号機まで、そして MARK III が 5号機です。 みなさんお気づきだと思いますが (MARK I は) 非常に複雑ですね、形が。安定して いないとはいいません。 しかし、複雑だということは、シンプルイズベストという言葉がありまして、機械 設計では非常に複雑なものは危険があるというふうにいわれてます。 これを見るとわかりますが水が (原子炉の) 下にない。これが MARK I 型の格納容 器の非常に大きな特徴でして、水がないことをもってこの格納容器を採用したとい っても過言ではありません。今回、燃料がもれてここに来た。 (MARK III で) もしこういうかたちでもれたらどうなるか。これは水素爆発どころ の騒ぎではないです。チェルノブイリのような水蒸気爆発、水と反応する爆発が起 きます。それが MARK III の、浜岡 5号機の一番ぼくらは心配です。 そして (MARK I ではプールとの継目) このような部分がやられるというのが、わた したちが一番心配している。もしひとたび蒸気が出てしまうと、非常に複雑な部分 がやられるということが 1号機から 4号機の問題だということを認識してください 。 地震の話ですが、政府の報告書から抜粋したものですが、去年の 6月頃にでたもの です。地震はプレートの境界で起こるというのはすでにご承知だと思うんですが、 このプレートの大きくくいこんでいるところが御前崎です。 そして津波の問題ですが、これは福島の太平洋沖地震で起きた津波の高さを示して いる。これをよく見ていただくと わかるんですが、20m から 40m のところがもの すごく多いということですね。平均では 18m ぐらいだといわれていましたけれども 、けっしてそういうわけではない、局部的には高いところがある。 地震に関して結論的に申します。浜岡で考慮すること。これは地震学者でないわた しの話を聞いても、みなさん信用しないと思いますので、纐纈一起先生、東大の教 授ですけども 7月末に政府の委員を辞任しています。 そのときの会見のようす、後に本も出してますが、「立地を問わず」つまり浜岡な ら浜岡という場所を問わないで「過去最大の揺れと津波を、同じ重みをもって、安 全性を考慮するように改めるべき」、基準地震動つまり震動の大きさは、世界最大 のものを使えと。 結論をいうと、マグニチュードはだいたい 9.5、今 9.1 を想定していますが 9.5、 地震の隆起は中部電力さんは 1m を想定してますが 7m、そして津波の高さは現在 15m を想定してますが 40m を想定しなさいということを、彼はいってるわけです。 最後になりますが、耐震設計という言葉を聞いたことがありますか ? 中部電力さん は耐震設計ではもつといっています、これは事実です。 おそらくわたしの経験では、基準設計地震動 1000ガルという加速度でやっています 。 そしてちなみに直下型の場合は、柏崎の場合は 2100ガルということで約2.1倍です ね。耐震設計をやる場合にはけっこうできるんですね、設計というのは。 ところが直下型の場合、地盤の沈下というのがあります。こうなったらどうか、中 部電力さんは 1m といっています。 さっきぼくは 7m といいましたが、7m くずれたら、地盤がなくなったら、どういう 世界が展開するのか。 これは耐震設計じゃないです。耐震設計という概念からはずれて、こういう設計は 誰もしていません、原子力発電所では。していないということを知っておいてくだ さい。 津波の高さですが、いうまでもないことですね。すでにある特定のシュミレーショ ンでも、御前崎に 21m の津波が来るというから、すでに想定の 15m そのものが前 提条件として成り立たなくなっている。そして纐纈先生の理論でいうと、40m の津 波が来るということなんですね。 海水ポンプ系もすべて問題があるということ、引き潮ということで水がなくなって しまう。 多くの方はご存知だと思うんですが、井戸の水、呼び水というのがあります。わた しもやりましたけど、必ず呼び水を入れる。いったん空気を吸い込むと水は上がっ てきません。 同じようなことが引き潮で起きるんですね。福島では 300m ぐらい沖に潮が引いて しまったんです。 (しかし) 中部電力さんの場合は注水口が 600m ぐらい先にあり ますから、起きにくい。 さっき 9000本というお話がありましたが、使用済燃料はたいへんな量があります。 浜岡原子力発電所の使用済燃料の保管は、最終的には乾式が必要だということをわ たしは考えています。丘の上に建てればいいと思います。ひとことでいうと扇風機 で冷やす、こんな感じで、 もっとも欧米では基本的には空冷が主流になっています。なぜ日本では採用されな いのか ? 敷地が非常に広く必要なんですね。日本のように敷地の限られたところで は、効率がよくない。 最後にひとことですね、わたしは危機管理というのは、そもそも一番恐ろしいこと を想定するということだと思います。 市民の方が一番恐ろしいことを想定するということは、自分では SPEEDI を計算す ることはできませんよね、何億とかかるわけですから。 ですから、早く中部電力さんとそれから静岡県、県庁に、市民の方が早く自分のと ころがもし浜岡が福島のようなことになったら、どういうふうに汚染されるのかと いうことを、早くみなさんが知るように、やはり運動を盛り上げていくことが大事 なんです。 そうすれば自分で計算できるんですよ、これは 1日後にはヤバいぞと思ったら。そ ういうふうに最悪の事態を自分で想定できるように、みなさんが運動を盛り上げて もらいたい。わたしも市民の一人として動きますので、ぜひいっしょにがんばって いきたいと思います。 (映像) http://www.ustream.tv/recorded/21650804 (video - 1 hr 22 min) http://www.ustream.tv/recorded/21652288 (video - 1 hr 10 min) (追記) 地震学者の纐纈さん、NHK の MEGAQUAKE II にもでてましたね。 http://kirokuya.hamazo.tv/e3550598.html 2012-04-16 φ(-_-) ■[diary]web archive [Rosalie Bertell] "No Immediate Danger" (1991) http://www.ratical.org/radiation/inetSeries/NID.html タイトルを意訳するとただちに影響はありませんかな ? はじめのところを少し訳してみます。 放射能 -- ただちに危険はない ? Rosalie Bertell 死と税金 -- こればかりは避けることができない。税金は変えられるかもしれない 、しかしわたしたちはすべて、いつかは死と向きあう。個人として死を引き受ける のは、その体験が過去と未来、両方につながるため、まだしもやわらげられる。そ の一方、種の絶滅は、歴史、文化、科学、生物学的再生そして思い出の、比較的 (文明の段階では) 迅速な、慎重に引き起こされる終末を意味する。それは究極の、 生命というたまものへの人類からの拒絶であり、描写するには新しい言葉、「オム ニサイド (総体としての虐殺)」が求められる行為だ。オムニサイドを理解するのは むずかしい、だが、そのための予備調査を認め、それが起きるのを防止することは 可能だと思う。 このことは、わたしたち一人一人が、みずからに「核への無知」を告げることを求 められる。何年か前、わたしはある市民グループから、私が住む町、New York の Buffalo 近くに建設予定の原子力発電所の公聴会へ来るよう誘われた。わたし自身 の研究には、一般的な X線の危険が伴うことは避けられない。わたしは原子力発電 所とはまったく関係がなかった。私は、事故が起きなくても、これらは全体として 含まれるものと考えていた。 わたしはこのお手盛りの公開ミーティングで、即席の教育を受けた。彼らは、原子 力発電所からの 5人の人物の氏名、役職それから発表内容が載っている 1枚のプロ グラムを、わたしに手渡し、その空いたところには「市民による委員会」という注 記があった。また、Niagara 郡議会が議員の要請で決議した質問書をわたしは渡さ れた。公益性のある会社の人物は、2週間にわたる質問を受け付けた。わたしたち「 市民」は観客席にすわり、5人の人物は舞台に着席した。彼らはそれぞれ、きっちり 15分間をとって、すべての放射能が、遠隔操作の装置で、全員が幸せそうに見える 労働者によって扱われる、限りなく -- きれいな環境の -- 映像を上映した。日常 的に公衆と労働者が受ける低線量の放射能は、まったくほんのわずかな医療用の X 線 -- その影響を私は 9年間学んだ -- のようなものだと彼らは語った。あなたた ちが医師によって医療用の X線を受けても、何の害もないと、彼らは受け取ってい た。こうした広報活動のやり方にわたしはまごついた。 わたしはまた、この発電所が Gerver baby food で使われる農作物を栽培している 農場が隣にあることを質問した。これには発電所の人物が驚いた (彼らは近くの農 場は調べてなかった。彼らが調べたのは Ontalio 湖のすべてが彼らの発電所のため の良好な冷却水だということだ)。その晩、わたしは少々雄弁に語り、わたしたち市 民グループの 3人は、聴衆からの反響を受け、発電所の 5人の人物はそうならなか った。次の日、Niagara 郡議会は、わたしが信じるところでは U.S. の原子力で最 初の一時停止を決議した。それは 1973年頃にさかのぼる。 その後、わたしは新聞での中傷キャンペーン、それにわたしが勤務するガン研究所 で報復や検閲を経験した。わたしのおとぎ話のような罪のない話を考えても、この 反発にわたしは驚いた。核産業が、人々を日常的に電離放射能にさらしていること が、法によって許容されている、それがわたしにとって新発見だった。こうした「 許容レベル」がどこで始められたか、ふり返って確かめることを、わたしは始めた 。 英語はニガテなのに ... oLr (追記) ちょっと訂正。 2012-04-17 φ(-_-) ■[diary]web archive [Rosalie Bertell] "No Immediate Danger" 続きです、 それは、最初の原爆を製造した、マンハッタン・プロジェクトに従事した英国、 U.S.A、カナダの物理学者たちによって、1950年に始まった。第二次世界大戦の後、 早くも 1946年には、彼らは太平洋で原爆を爆発させ始めた。彼らは、放射能の落下 は世界をわずかに半周するだけだろうという意見をもっていた -- だがそれは 2回 半回ることがわかった。それぞれの国がバラバラに放射能防護規則をもち、そのう ちのいくらかは破棄されるおそれがあった。実際、英国、カナダ、U.S.A は 3つの 異なった組み合わせの項目をもっていた。それで 1946年から 1950年の間に、彼ら の信じる 1つの妥協案をもちだした物理学者たちは、それを爆弾で実験することを 認めた。そして彼らは、その他の国からも認められる、国際的な勧告団体としてみ ずからを確立させようとした。彼らは、それが公衆の健康を保護することにならな いと、はっきり明確に述べたのだとしても、それに気づくのはずっと後だった。一 方で、彼らは原爆の製造やその実験に必要なすべての活動を引き受けていった。 多くの国がこの規程を承認し、これらの項目に従えばすべてが安全だと考えた。国 は何も考えてなかった。例えば放射能の許容レベルの一般公衆の項目では、骨への 検査制限は年間 500ミリレムであり、骨の検査で 1年に胸部レントゲンを 100回受 けるのに等しかった。原子力産業の労働者にいたっては 10倍だった。 1960年代の末に、医学界と生物学会からこうした現実への抗議が始まったとき、そ の答えは「そのとおり、われわれは実際、注意を払わなかった。現実には、この活 動の経済的・社会的利益によって与えられた、ALARA -- 合理的に達成できる範囲で より低く -- により運営されている」だった。その操作方式はリスク・ベネフィッ ト案とよばれた。危険は生命と健康 -- ガンによる死亡と奇形児の出産。利益の側 は蓄財と政治力を得ることだ。悪い話だが、わたしたちにこうした交換をもちかけ たのは、利益を求める側と同じ人々だということだ (わずか数十年後、国際放射線 防護委員会 ICRP は、迫られて 1990年 11月、労働者と公衆の被曝量限度 -- 前者 は 100ミリレムで、まだ高すぎるが、いくらか前進したのは喜ばしい -- を満場一 致で決議した)。 チェルノブイリ事故のような「出来事」のあったときは -- 地方にある産業からの 放射能汚染は、累積すればチェルノブイリより上回ることもあり得る -- これらの 非現実的な標準にあわせて、それぞれが個別に判定される。事故になったとき、最 低限におさえる方法はなく、そのため事故への特別規定によって、それを引き受け るよう定められる。 現在わたしたちは、放射性物質に打ち勝てる状況にはなく、そこではガンによる死 亡、奇形児そして流産を引き受けることになる。奇妙なことだが「利益」とは、医 学的利益でも電気でもない -- それは原子爆弾である。この一揃いの規則は、3つの 産業 -- エネルギー、医療そして軍事 -- のすべてで適用され、それが最低の線に おさえられるとき、その対費用利益率は、ロンドン、パリあるいはニューヨークを 10メガトン級の爆風から防護する、そのことに基づいて、計算されている。その最 終判断は「国家機密」に対し何が必要なのか、ということになっていく。 2012-04-20 φ(-_-) ■[diary]web archive [Rosalie Bertell] "No Immediate Danger" 続きです、 今、原子力の支持者たちは、再び原子炉を推し進める国際的なキャンペーンを、同 時に温室効果への一つの「解決策」として、開始している。以前と同じく、広報活 動を OPEC の石油危機や酸性雨発見のときのように計画している。こうした主張は とても選択的であり疑問の残るものだ。そのプロパガンタのわずかばかりの真実が 、原子炉は二酸化炭素やあるいは、メタン、亜酸化窒素そしてフロンガス (CFCs) のようなガスを放出しないことだ。だが、原子炉は核燃料サイクルのなかのたった 一つの小さな部品でしかない。それを支える大きなネットワーク、あるいは採掘、 粉砕、成型加工、濃縮、廃棄物処理、廃炉、そしてこうした処置をつなぐ輸送網が なければ、それは機能できない。核によるエネルギーの生産が「きれい」だという 主張は、食間に食べ物を詰め込んでダイエットするようなものだ。 工業化した国々での選択肢とは何だろうか ? 異なる 120 のエネルギー効率改善策 を使ったドイツ連邦共和国の一つの事例研究では、末端で使われるエネルギーが 70 パーセント縮小しても、生活水準は国により維持できることを証明した。 U.S. の M.I.T. エネルギー研究所の 1983年の研究では、年間 1パーセント、エネルギー消 費を改善することで社会的緊張をともなわずに、2050年には 50パーセント、二酸化 炭素を削減できるとの結論を得た。 核技術の促進は、偽りの期待を引き起こして、エネルギーをより効率化するため使 われる金を強奪し、そして二酸化炭素の放出を放射能核種の放出と置き換える。賢 明な顧客であれば、ある汚染を別のそれと置き換えなどしないし、より効率的なエ ネルギーの使い方で、むしろ両者をともに取り除くだろう。 これは絶対に必要だ、なぜならわたしたちは今、未知の領域にあるのだし、そこで は工業化された国々を守る軍事戦略が、それらの国々の環境と遺伝子のプールを破 壊するばかりか、放射性物質が空気、水、食物を循環することで生物圏をも破壊し つつある -- 核による事故や戦争があってもなくてもだ。 軽程度の突然変異は、ほんのかすかでもその本質から遺伝子のプールを損なう。こ れについて語られたり計測されたりすることはないが、しかし起きているのだ。あ なたたちが何をするかで、次の世代がその両親よりも、危険な物質にずっと少なく 身体的に対処できるかが決められる。もしあなたたちが一度に二つのこと -- 次世 代へのゆるやかな損傷 (遺伝子損傷) と、環境への危険物の増加 -- をおこなえば 、二世代か三世代後であなたたちはお終いだ。人々はより少なく対処することもで きるし、ずっと多く対処することもできる。わたしたちはまた、はっきりとは、そ して以前の世代と同じように考えることのできない、脳の生理的な損傷についても 話し合おう。爆弾の地上実験にともなって、標準的な試験で計測された一般の知能 指数に減少が見られたのだ。被爆は突然変異 (人体にとって 99パーセントが有害 だ) にもっとも有効であり、種の生き残りの点からみてもっとも恐ろしいものだ。 放射能には別の特性もある。染色体が損傷を受けるとき、それが直す機会をもつ前 に、二度損傷を受けると、おかしな問題を引き起こす。それは放射能に特有だと考 えられ (多くの放射能をもたない化学物質では、4 から 6時間という期限内で、こ うした二重損傷は起きない)、染色体に損傷を受けて発育した子どもには明らかに欠 損の分布が見られるだろう。 かつて放射能に従事したことなどなかった、放射性化学物質 -- それは人体への毒 性が低いものから高いものまで分布している -- について考慮し始めている化学者 たちを、わたしは激励したい。その一方で、放射性生物学者たちは、ダイオキシン やその他の有毒な化学物質について、しばしば何も知っていない。これらの分野の 間には、対話が必要だ。なぜなら全人類の生命が脅威のもとにあるからだ。危険の みなもとは全て深刻だが、核の汚染こそがリストの頂点にあると、わたしは見なし ている。 (訂正) 訳がまるごと一段落分抜けてました ... oLr 2012-04-22 φ(-_-) ■[diary]web archive [Rosalie Bertell] "No Immediate Danger" 続きです、 今、わたしたちの進路は -- 核戦争あるいは技術的大災害によってすばやくか、も しくはゆっくりと、毒物による種の死滅へと向かっている。ふつうは拒否すること で、あるいは怒りと失望から、あるいは十分とはいえないが折り合いをつけようと する交換とかで、死に反発するように人々は反発すると、わたしは思う。一つの種 として、わたしたちは堕落したのだとか、集団自殺が行われるだろうとは、わたし は考えていない。わたしは、わたしたちがそうするのに十分愚かであり、それはや りかねないと思うが、それを行う必要は何もないのだ。 この人類の末期症状の正体を暴露することは、必ず、個人、家族、町や国、そして 地球を、暴力を伴って巻き込むことになる。いくつかの暴力、例えば父親による子 殺しの権利は廃止されていても、別の暴力のかたちは、例えば拷問、投獄、戦場に 送ることで子どもたちを殺すこと、それに当然、女性に対する暴力の流行のように 、未だに「社会的に有効」だと思われている。 わたしたちが、もし一つの集まりとして、この局面で立ち上がることができれば、 内外から、国の権力構造に影響を及ぼす、さまざまな社会的、政治的集団の周到な 合意を打ち立てることになる。彼らがその考え方や行動をより国際的にすることが できるなら、こうした集まりは地球村のための草の根組織をつくりだすだろう。ア イデアを持ち出し、合意の決定と作成を促しそして計画の公平な実行とその集いの 運動の持続を考えるという、社会的な役割につくことの必要性を女性が持つのは、 それほど不自然な、彼女たちの本能に反したものにはならない。 ある専門分野では、女性は社会のなかで出産と死に立ち会ってきた、そして今、わ たしたちはこうした関係を、種の死滅への道のり -- あるいは、こうした死滅を防 ごうとする人類の務めを導きだす、新しい方法の誕生に向けて変えていった。種の 生存に欠くことができないのは、その考え方、決定や作成、そして集まりで実行に 移すとき、女性とフェミニストによる見通しが含まれることだ。 それは男性にとっては、おおむね他の人間以上に腕力を示さないことと、国や仕事 場それに家族での争いや暴力を含んだ、男らしさという価値の軽視を意味する。男 たちはいつも、彼らが戦いにおもむくのは女性と子どもたちのためだといってるが 、それは見せかけだけで、男たちが祖国を守るという考えで、戦争のためなら女性 や子どもたちを痛めつけ殺したいのだ。わたしたちは慣習、言葉、生活様式、食料 を守ることを望む、それがナショナリズムのきれいな側面だ。だが、そこには軍の 存続をとなえわたしたちに同意しない人々を殺す必要が、どうしてわたしたちにあ るのかという道理はない。 わたしたちは数多くの草の根組織という場を得ている。わたしたちは全世界に通信 手段をもち、移動手段をもち、病気を直す方法を知っていて、地球の人口のために 必要な 1.5倍の食糧をもっている。わたしたちが断念させようと話し合うのは、国 内であっても海外であっても、その人々に別の人々を殺すよう強いるそうした国の 権利だ。これはとても単純な事柄だ。もしこれから、そうしようとするなら、わた したちは多様性ということを、顧慮するだけでなく喜んでそうしようとする、この 地球村に基づいて組織することから始めなくてはならない。なぜなら、多くの変化 していく状況を処理する能力と、世界の一部があり余っていて、別のところが必要 としているときに、分かち合える能力とによって生き残れることになるから。 わたしたちの単式農法は自滅のかたちを変えたものであり、わたしたちの生き残り を分かつものが多様性なのだから。 (初出 Ms. Magazine 91年 9/10月号) つ、疲れた o . ..Lr (追記) すこしだけ文意が通るよう訂正。 2012-05-07 φ(-_-) ■[diary]web archive [OurPlanet-TV] "テレビは被曝リスクをどう伝えたか?" (4月 14日) http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1347 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1346 全部見終わるにはけっこう時間が ... (これでも番組の一部です)。 後半での広河隆一さんの発言から、 (被曝リスクの報道について語る) その前に、スリーマイルなんか典型的ですけど、 事故が起こってすぐにその地域の保健局長が女性、特に妊婦と子どもを逃すんです 。 そのことで、彼は怒りを買うんです。つまり原子力を守らなければいけないと思っ てる人たちに、国と原子力産業によって怒りを買い、彼は更迭 (こうてつ) される んです。 それで保健局長が更迭されて、新しく保健局長になった人間がやったことというの は、その辺りはガンの発生率も全米といっしょだという、そういうことを発表して いく。 住民はおかしく思う、なぜそんなことになるのかわからないと。 だけどよく調べたら、人口の水増しが行なわれていた。つまり、5マイル圏のガンの 発生率を調べるのに、人口だけ 15マイルまで広げてしまう。そうすると全米と同じ になってしまう。 (今に至っても) テレビで同じことがいわれていて、スリーマイルでもガンの発生は ないんだと。 (国が) 事故の起こった後にやったことは、この事故の意味を単純化してみると結局 、人々を人質にして原子力産業を守った、その一端できちっと役割を果たしたのが 報道だった、メディアだったと。 そのために裏付けとしてダイジョウブだ、安全だということだけをいう人間が導入 されていった。だからぼくは犯罪というのが、表でキャスターたちがしゃべってい るその場所じゃなくて、背後にあると。 だれが選んだのかという、あれだけ全局が合わせてああいう人間たちを選んでいく という、そのことに対して、これじゃダメなんだというジャーナリズムはどこにも なかった。 国とか原子力産業の広報のチャンネルでしかなくなってしまった、それが現在も続 いているわけでしょう。人々はまだ今でも人質になってるじやないですか。 ... だけど人々を外に逃がそうとは誰もいわない、逃してしまったら、そこは危険だと いうことを認めてしまうから。 いったん出した安全宣言で原子力産業をなんとか守らなければいけない。特に今は 世界中の原子力産業の危機だ、守るのは人々の命ではなく産業なんだと。それが徹 底して行なわれてるわけです。 そして昨年 3月 16日記者会見での、枝野官房長官の発言「ただちに影響はありません」 の全文がこれ。このとき測定された放射線量の数値は 0.33mSv/h つまり 330μSv/h で す。 本日測定され、発表された数値についてはただちに人体に影響を及ぼす数値ではな いというのが、概略的なご報告でございます。ただちに人体に影響を及ぼす数値で はないというのが、現在の概略的な数値の状況でございます。 建物の中にいてください、あるいは 20km より内側については (それより) 外に出 てくださいという状況の指示をいたしてはおりますが、現時点では、ここで観測さ れている数値は、そこの地域で外で活動したからただちに危険であるという数値で はございません。 そのことはぜひ多くの皆さんにご理解をいただければというふうに思っております 。 新聞と比べても TV は当初から突出していますね。 2012-05-09 φ(-_-) ■[diary]web archive [池田信夫 blog] "放射能についての基本的な事実" (3月 8日) http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51777920.html はじめの子供に放射線障害が遺伝することはありえないという主張からすでにまちがっ てるので反論します。 放射線によって母親の DNA が損傷したとしても、それは個体変異なので子供には遺 伝しない。 妊婦が被曝した場合のリスクも、統計的には通常と同じだ。 広島・長崎の被曝二世にも、遺伝的な障害の増加はみられない。 あきらかに放射線による身体的障害 = 遺伝学的障害と、生殖細胞が傷つくことで起こる 遺伝的障害とが混同されてます。遺伝的障害で問題となるのが生殖細胞の突然変異 Gene Mutation です。 そのうち劣性突然変異 Recessive Mutation では劣性遺伝子が 2つ揃う可能性は次々世 代、つまり 3世代後からです。 また伴性突然変異 Sex-linked Mutation の場合も次世代で影響が現れる可能性のあるの は男性のみです。 実際にはこうした遺伝性障害が明らかとなるには 10 から 13世代の経過が必要なので 300年ほど後でしょうが (それはそれでたいへんな問題ですが)。広島や長崎の被曝二世 の人たちに遺伝的影響が見れなくても当然なのです。 妊婦の被曝についてはガンマ線やベータ線と同じ強さと考えられるエックス線による被 曝が制限されている事実を指摘すれば十分でしょう。 参考に ... Cs-137 の半減期は 10回経つと 1/2 の 10乗つまり約1/1000 に減りますが 、それが 300年です。これから起きる今回の原発事故による遺伝的影響を考えると、300 年後には -- このままだと -- あまりうれしくない未来が待ってることになりますね。