「歴史学入門」


英語の原文はみていないが、チャイルドの翻訳のなかではいちばん著者の文意が伝わっていると思われる。

おそらく訳者のひとりである安田たきゑの能力に与っているのではないか。

チャイルドの主張は直截であり、次の二つに要約される。

(1) 考古学は - 文字以前の社会では無論だが - 歴史学そのものであり、補助科学ではない。

(2) たとえその当時に書かれたものであっても、文書についてはよほど注意しなければならない。

上の二つのことがらは確かにアイマイにすべきことではない。

現在、歴史の書籍は数え切れないほどあるが、この点についてのしっかりした論旨をもつものは少ない。

逆にいえば、読む側でそれらの内容を組み立て直すことが必要だろう。 この場合必ずしも「専門的な知識」が最重要とはかぎらない。

その他気付かされた点を引用してみる。

(著者 ゴードン チャイルド 訳者 安田たきゑ ねずまさし 発行 新評論社 1955年刊)


2003年 10-11月

読書日誌