考察
大和川水系の水質調査
測定結果の比較・考察
1.パックテストを利用したアンモニア、亜硝酸、硝酸、リン酸の4項目については前処理が必要なものがあったが、それ
  ほど難しい手順を要するものではなかったので、調査結果にはそれほどばらつきが見られない。
2.CODの値に関して、滴下や純水(蒸留水)の測定の段階でばらつきがあるのか、それがCODの値を算出する際に
  誤差として現れている。正確なCODを求める場合、COD比色計を用いるか機械計測が望ましい。
3.f値は計測結果に左右されるので、各班の結果に若干のばらつきがみられる。
4.気温・水温の測定に関しては、全体を通して誤差はみられない。
5.透視度は視力の良い人と悪い人の間で大きな誤差が見られる。
  正確な透視度を計る場合、試薬による濁度の算出か機械測定が望ましい。
6.大和川水系のCODは、公式な機関(河川局や環境省など)が公表しているCODの値が15ppm以上のものがある。
  実際には極めて高い値を予想していたが、実際にはずっと低かったことに驚いた。
7.初回測定分の奈良大下および西大寺のCOD測定結果は、慣れていないせいか、時間がかかった。
  その上、大きなばらつきが見られた。
8.柳生地方にある笠置町を流れる淀川水系(木津川水系)の白砂川のCOD測定値は、大きなばらつきは見られない。
9.笠置地域は簡易水道で上水をまかなっている地域である。
  その仕組みは河川水を取り込み、ろ過と塩素殺菌のみを行うというものである。
  簡易水道はその性質上、CODの値が1ppmを超えると難しくなるといわれている。
  今後のCODの推移によっては簡易水道から通常の上水道に切り替えざるを得なくなる可能性がある。
10.浄化センター前(大和川)のCODの値がほかと比べて低い。
  これは採水した検水に浄化センターから流れ出た有機物を分解する微生物や放水路周辺で繁殖していた藻類微生物が、
  低温での保管中に繁殖したと推測される。
  他に測定実験を行う過程での誤差が積み重なった結果であるとも考えられる。
11.大和川水系では、全地点を通してアンモニア、亜硝酸、硝酸、リン酸の4項目に大きな差は見られない。
12.淀川水系(木津川水系)の白砂川では、アンモニア、亜硝酸、硝酸、リン酸の値は低く、特に富栄養化につながる原因
  物質である、亜硝酸、硝酸、リン酸は大和川水系より低い。
13.CODの分析は、ばらつきや誤差をなくすという点から見ると、もう少し熟練する必要がある。
14.藤井寺(大和川)のCODの値が他と比べてやや高い。
  これは単に測定実験を行う過程での誤差が積み重なった結果であると考えられる。
15.白砂川で採水した検水のpH値が正しいとすると、この川は酸性雨など環境の悪化にさらされていると考えられる。



備考
旧奈良県添上郡月ヶ瀬村は市町村合併で奈良県奈良市に編入されました。これに伴い、柳生地方でも上水道が完全に整備されました。現在、簡易水道は姿を消し、奈良市水道局が上水道で水道水を柳生地方に送水しています。
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