大和川水系の水質調査
自由研究
COD
 CODはChemical Oxygen Demandの略称で「化学的酸素要求量」と呼ばれています。また、BODはBiochemical Oxygen Demandの略称で「生物化学的酸素要求量」と呼ばれています。
 CODとは水の汚染度を調べる一つの汚濁指標で、検水中の有機物などを強力な酸化剤で酸化し、消費された酸素量を調べるものです。この方法はJIS規格で決まっていて、日本では酸化剤に過マンガン酸カリウムを用い、100℃で30分加熱します。ちなみに、アメリカ合衆国では酸化剤に重クロム酸を使っています。
 水中の有機物の量は水中の汚染と極めて深い関係にあり、汚染状況を端的に表します。通常、汚濁の度合いはBODを用いられるが、培養に5日もかかる上、技術的に難しいのでCODを用いることにします。CODでは、有機物の酸化分解を微生物の代わりに過マンガン酸カリウムを用いて化学的に行うものです。
 ただし、ここ数年の琵琶湖を例にとると流れ込む河川の汚濁物が減りBODが減少しているにもかかわらず、逆にCODは上昇を続けています。琵琶湖では富栄養化条例が制定された平成5年くらいからBODの減少に相反するCODの上昇が見られるようになりました。CODとBODはともに水中の全ての有機物を対象にしているわけではありません。このような場合、BODには反応せずCODにだけ反応する何らかの有機物が増加していると推測できます。現在、立命館大学草津キャンパスの琵琶湖水質調査委員会(琵琶湖の水質を調査・研究しているゼミ)や行政などが協力してその原因を調査していますが詳しいことは分かっていません。
また、COD法は化学物質の種類により酸化率が異なり、ほとんど酸化されない有機物もあることから、触媒を用いて燃焼させ、その時出てくる二酸化炭素量から有機物の汚濁を評価するTOC(Total Organic Carbon)を測定する方が好ましいとされています。
 このような事例が見受けられるものの、BODとCODの傾向はほぼ一致します。

<原理>
 CODの測定原理は簡単です。水の中に強力な酸化剤を入れると、水中の有機物などの汚れに結合して酸素を与えます。汚れが多いほど酸化剤が使われて減ります。そこで残った酸化剤の量を計れば、どのぐらい酸化剤が汚れにくっついたのかがわかります。この汚れによって使われた酸素の量がCODです。
 1.検水中の有機物を過マンガン酸カリウム水溶液(KMnO
)で酸化する。
 2.残った過マンガン酸イオンをシュウ酸(C
)で還元すると酸化された有機物に相当するシュウ酸イオンが残る。
 3.未反応のシュウ酸イオンを過マンガン酸カリウム水溶液(KMnO
)を用いて酸化還元滴定する。

注意
 検水に含まれている有機物の種類によっては酸化率が異なってくることがあります。
 COD測定における酸化率は酸化剤の濃度、酸濃度、被酸化物の濃度、反応時間によって影響を受けます。
 硫酸の添加は反応速度を増大させる効果があります。




 有機物 + 一定量の  → 余剰の  + 一定量の  → 余剰の  → 滴下した
       KMnO
  KMnO  C     KMnO

 一連の反応を分かりやすく模式的に示すと、上のようになります。
 これを化学反応式で示すと、2KMnO
+3HSO+2C→KSO+2MnSO+4CO+4HOとなります。


<COD測定方法>
 CODの測定方法は下記の手順で行います。
  1.ホールピペットで検水100mlを正確に計る。
  2.5%の硫酸10mlとホールピペットで計った0.02/5Mの過マンガン酸カリウム水溶液10mlを加えて10分間加熱する。
  3.ホールピペットで計った0.01Mシュウ酸を10ml加える。
  4.0.02/5Mの過マンガン酸カリウム水溶液で滴定する。

     ※Mは「モル」と読みます




<参考資料・参考文献>
  地球環境白書『最新 今「水」が危ない』 学研ムック「驚異の科学」シリーズ
  学研(2004.12)
  みつけよう!しぜんのふしぎ 小泉伸夫 ポプラ社(2004.6)
のこり
中和
中和
のこり
大和川水系の水質調査