大和川水系の水質調査
自由研究のコーナー
pH
 水のpHは溶存する遊離炭酸と炭酸塩の濃度で決まり、下水や工業排水などの混入による水質変化の指標となります。pHが高くなる、つまり酸性が強くなると水生生物の生態系に重大な影響が出てきます。地上に降り注ぐ雨(降水)は空気中の二酸化炭素が溶け込むため弱酸性を示します。
 水溶液の酸性、アルカリ性の程度は、その水溶液中の水素イオン〔H+〕と水酸化物イオン〔OH-〕の量により定まり、水素イオン濃度〔H+〕が高いほど酸性を示し、水酸化物イオン濃度〔OH-〕が高いほどアルカリ性を示します。
 pH7が中性になり、pH値が7より小さいときは酸性、7より大きいときはアルカリ性になります。

pH値
    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
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 酸性 ←←←←←←←←←←←←←←中性→→→→→→→→→→→→→→ アルカリ性
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 pH(水素イオン濃度)はpH試験紙を用いることで簡単に測定できます。
 pH試験紙の指示薬の上に検水を1滴たらし、しばらくすると結果が色の変化で現れるので、標準変色表と見比べるだけです。
ただし、pH試験紙を用いた測定では、いくつかの要因により誤差を生じる場合があります。そのひとつに緩衝能(緩衝性)があげられます。検液に酸またはアルカリが加えられたときに生じる、検液自身のpH変化を抑えようとする性質を緩衝能(緩衝性)といいます。試験紙は濾紙に指示薬を含浸したもので、濾紙および指示薬は一種の酸もしくはアルカリの性質を持っています。検液の緩衝能が微弱の場合、試験紙に浸み込んだ検液のpH値が濾紙や指示薬自身の持っている酸もしくはアルカリの性質によって変動するため、本来測定したい検液のpH値と差を生じます。この様な緩衝能の弱い液〔例:蒸留水、水道水、雨水、強酸・強アルカリの希薄水溶液(1×10-2mol/l以下)など〕のpHを測定する場合は通常、pHメーターまたはpH比色測定器を使用します。また、場合によっては蛋白誤差やアルカロイド誤差を生じることがあります。一部の蛋白質やアルカロイドはpH指示薬に対し吸着性があります。pH指示薬は蛋白質やアルカロイドの吸着により、発色が異なります。場合によってはpHが0.3以上も変化することがあります。検水の温度が35℃を超えると試薬が溶け出るので測定できなくなります。また、酸化・還元剤が多量に含まれる場合も試薬と反応してしまうため測定できません。
pH試験紙のサンプル写真 <東洋濾紙株式会社の製品カタログより>
<参考資料>
2004年度製品カタログ アドバンテック東洋株式会社(2004)
2004年度製品情報カタログ 東洋濾紙株式会社(2004)
大和川水系の水質調査