関の刃物の強み
刃物班
関の刃物の強み
 関はドイツのゾーリンゲンと並ぶ世界的な刃物の産地にまで知名度が高くなっている。関で製作された刃物は、世界的に支持されている。特に、ナイフは芸術性・実用性ともに兼ね備え、世界中のコレクターが支持している。
 これほどの生産高と高い支持を得る背景には、顧客を引き付ける確かな品質と魅力があるからである。関の刃物の原点は、刀鍛冶という伝統に始まる。
 戦国時代に最盛期を迎えた刀鍛冶の文化が今日の関の刃物の競争力の基礎になっている。関の刃物製品の特徴は、切れ味がよく、刃毀れがしにくく、芯が強いことである。ここには、刀鍛冶の長い伝統の中で磨かれてきた匠の秘伝の技と知識が確実に現代まで継承されてきたものがノウハウとして活きているからである。鋼を鍛える技、鋭い切れ味を生む技などがそれである。
強い鋼のひとつに合金というものがあるが、関で生産される刃物は、錆びる事のない、純粋な鉄を材料にした鋼で造られている。錆び止めの金属として表面にステンレスを巻くことはあるが、芯はこの鋼でできている。錆びない鋼は強靭な金属原子の結合と酸素や炭素など、余分な不純物が含まれていないからこそ実現できるものである。古来の日本刀は純鉄製である。この技が今の関の刃物製品に活かされているのである。現在主流の特殊鋼と呼ばれる鋼の純度は95%以上である。つまり、材料の質の良さでは他の追従を許さないのである。




提言
 今日、関で造られる刃物は世界から高く評価されている。それは関ブランドを名乗れるくらいに成長していることからも伺える。世界的な競争の中、関ブランドが着実に浸透しているのは、ひとえに高い技術と品質が合ってのものである。それを可能にしているのが、刃物の街、関として昔から培ってきた刀鍛冶のノウハウである。関の街には、今でも刀鍛冶の伝統が着実に受け継がれている。もし、時代の流れの中で、この伝統が受け継がれなくなっていたら、今の関の刃物産業は無かったであろう。
 こうした高い技術とノウハウがあっても、世界には有名な刃物の産地が多くある。そうしたところと競争するには、品質の維持も大切であるが、製品の売り込みも重要である。関ブランドは非常に高い刃物製品である。それを世界に向けて、今以上にアピールしていくべきである。