人の大小
2005年1月9日
何も言うまい、まずはこれを見て頂きたい。
私が何を言いたいか判って頂けるであろうか?
物語は釣行前日の夜から始まる・・・
年末の急な寒波と大雪の記憶に新しい私は、天川への釣行を躊躇っていた。
実際、年末の帰郷が大雪の為に道路封鎖となり1日遅れるという災難を味わっていたからだ
しかし、釣りに行きたい衝動を抑えるのは難しく天候次第での釣行にしようと決心し、
天気予報に注目した。
1月9日の奈良県南部の天候は、比較的穏やかで曇り後晴れと言う事であった
私が喜んだのは言うまでも無いであろう。翌日の釣行を決心した私は、家族の了解を得て
準備を済まし眠る事になった。
翌朝になり空の様子は薄曇り、気温も低く一抹の不安を感じているところに
妻が、『 大丈夫? 天川やろ? 』
『 昼から晴れてくるそうやから心配いらんやろ! 』 と私。
その時、すっかり釣モードになってしまっている私の逸る気持ちを抑えられる物は何も無かった
それもこれも天気予報を信じていたからに他ならない。
言っておくが
私は心の広い人間である、言い方を変えれば人間として大きい方だ。
つまり大物である。
黒潮踊る壮大な太平洋に面した東紀の港町で育った私は、物心付いてからと言う物
壮大な海を見て育ったのだ、人間も自然と大きくなると言うものだ
しかし、あえて言わせてもらおう・・・
゛ どんだけ寒かった思てんねん!! どこが穏やかで晴れてくんねん!!
晴れ間なんかほんの2〜3回、しかもそれぞれ10分位しか続かんかったやないかい!!
お前んとこ(局)の天気予報なんか、もー 二度と見たらへんわ!! あほっ !! "
しつこい様だが誤解の無い様にもう一度言っておこう、私は太平洋を見て育った大きな人間である
それは確かだ。
これ以上言うと小さい奴だと思われそうだから、もう言うまい。
話を当日に戻そう。
いくら天気予報を信じていたからといっても向かう先は近畿の屋根である、年末の雪や夜の霜が
凍っている事に警戒して朝は遅く出る事にした、自宅を出発したのは午前9時で漁協組合に到着
したのが10時半過ぎ。いつもの様にサインをすると、なんと!3番目である事に驚かされる。
皆賢いんだな〜と思いつつ、いつものお兄さんに
『 ここから先チェーン要ります? 』 と聞く、『 要るかもしれないですよ 』 と言うあいまいな
返答であった為、判断に困ったが面倒くさいのでチェーン無しでトンネル出口までノロノロ運転
なんとか無事に到着すると、急いで準備に入る。止んでいた雪が準備中から降り出してくる
『 寒い〜〜〜 』 と半泣きになりながらも、相当厚着をしてきた為に余裕はある
早速、前回1匹目を釣り上げた淵に降りようとして唖然!
道路からの降り口が雪で滑り危険過ぎる状態に・・・・
滑り止めであるはずのウェーダーのフェルトが何とも心細い。
それでも何とか注意して淵まで降り、悴む手でルアーをセット最近購入したばかりのバッタの様な
形をしたペンシルからキャストを始める。カラーは赤/金で形が面白いから買ってみたのだが
全然反応が無い、ロッドを細かく上下させてアクションを付けているのだが無反応である。
当然の事かもしれないがこの気候である、水温が低く底に溜まっているのかなと思いまずは
黒/金ミノーSPにチェンジして中層を探ってみる事に、暫くキャストするがやはり反応が無い
指が悴みルアーをチェンジする事も嫌になっていた私は、ひたすら黒/金ミノーSPをキャスト
どれだけポイントも変えずに投げたかわからないが、やっと確かな重みがロッドにかかる
『 良しっ! 』 と一声掛け、鼻を啜りながらなんとか1匹目を取り上げる
(決して塩漬けではありません雪です)
凄く嬉しいのだが、私のテンションは低い・・・・
その後、反応が無いので場所を移動する事にして、どこから道路に登ろうかと思案しているところに
一人のフライマンが下流から現れ、私に話しかける
『 足元が危ないですよねー 降り方が中途半端だから余計に足元が滑って困りますねー 』との事、
私のテンションは低い 『 まったく危ないですね、寒くて寒くて 』 意味不明な返答をすると
私は道路に登り、上流へと移動する。又もや後で気付くのであるが、恐らくこのお方は
昨年の11月に天川での釣行中にすれ違っているnishide1号さんだったのではないかと思う、
私が3番目に漁協事務所でサインをしたのだが、2番目にサインをしていた方の住所
が三重県だった記憶があるのだ、名前までは見ていなかったのだが後で天川漁協ホームページ
のお客様釣果報告ページに、それらしき名前が有ったので ゛ ハッ ! " と思ったのである
実際nishide1号さんのホームページを見てそうだと断定できたのだが・・( この釣行の後始めて
nishide1号さんのホームページを見て11月と、この日の事に気付いたのである )
釣行記に戻ろう。
当日は、道路では無く渓流を流れ沿いに移動するのは危険であった、
何故なら普段は何でも無い岩場が雪で凍っており大きな岩だと滑落する危険
があったからである。よって当日の移動は殆ど道路を使っての移動であった。
別の良さげなポイント( 正確に言うと降り易いポイント ) を見つけた私は道路から降りることにした。
このポイントは2002年の釣行で始めての爆釣を経験したポイントであったのだが、
2年の歳月の間にポイントの景色は微妙に変わっていた。淵が狭くなり、流れの位置さえ2年前とは
変わっていた。しかも水が少ない、当然この日の天川全体にいえる事だが水が少なかった事は
事実である。雪は降ってはいるが、気温が低い為とけないのである。
結果的にこのポイントでは一つも釣り上げる事はできずに( 当りも無かった ) 道路に戻り
更に上流へと移動する事に、途中の大きな淵で又もや別のフライマンと会話をして又々
驚かされる事に・・この方の自宅が我が家の近くなのである!世の中狭い物である。
釣果の方はと尋ねると、本日の釣果はあまり良くないらしい魚が底に溜まってしまい
しかも活性はと言うと、どん底であるからフライでは相当難しいと言う事であった。
しかし、よく天川に来られているらしく色んな事を御教授頂いた。
この場でお礼を言わして頂くことにしよう。
『 ありがとう御座いました 』
この大きな淵でも一切反応が無く、しかも雪がだんだん吹雪いてくる始末・・・
『 ほんま天気予報ええ加減にせえよ・・・ 』 と、又もや愚痴をこぼす私であったが
一旦車に帰り、食事を兼ねた休憩を取る事にする。
食事の後、道路をひたすら徒歩で上流に上がり前回かなり反応の良かった淵に入る事にする。
ウェーダーにて流れに入り( 気合を入れて )ルアーを金スプーンに変えニジマスの集団の前
にキャスト、ゆっくり巻いてくる・・・来た!!やっと来た!!やっとの思いで手に入れた2匹目である
( 緑がかったニジマスちゃん、サイズは26cm位かな? )
少し雪が止んだかと思って油断すると、直ぐ吹雪の様な雪がたちまち降りだし、
たまには晴れ間も出るのだが長続きしない為、一向に水温が上がらず大苦戦
中でも、濡れたティップトップが糸もろとも凍ってしまうのには一番苦労した。
巻いている途中で急に重くなっていくのである、その度に水に浸けてとかすのであるが
直ぐ又凍る為、釣りにくいといったら釣りにくい。
そんな中頑張ってスプーンをキャストしていると、フォールの瞬間又もや気持ちの良い当りが!
( スプーンへの反応は良かった、底に居るからか?)
これ又慎重に取り上げ、その後このポイントではスピナーで1匹スプーンで1匹釣り上げて
ポイントを移動する事に。
最後のポイントとして選んだのは管理釣り場一番上流の大きな淵だった。
ロッドティップが凍るとトラブルも自然と多くなる、この日何度かトラブルが有りラインをカット
した為、このポイントでトラブルが起きた時に予想外の事態にトラブルでのラインのカットで
ラインが後3m程しかリールに残ってないのである!!
釣行前にラインのチェックを忘れていた私がいけないのだが、今までの釣行でそこまで
減っているとは思って無かったのだ。うかつだった・・・・
3mなど投げても釣れる訳は無く、万事休すと思いながらも岩場からキャスト!
直ぐにラインは全て飛び出し、足元に落ちる・・・そしてスプーンは空しく深い淵の底に沈んでいく・・
その時、私にはスプーンの周りに集まり踊るように泳ぐニジマスの姿が見えたのである。
しかもフッキングしていないが微かな当りが数回・・・
『 ん?ひょっとすると・・・ 』 ある事に閃いた私は、垂らし釣を始めてみたのである
岩場から底までの切り立った壁越しにスプーンを垂らして上下に大きく揺らし、スプーンをなるべく
長い間フォールさせる事が出来る様に気を使いながら頑張って見ると、何度か当りが・・・
中々合わせが難しく苦戦していたのだが、゛ ガツ " と言う最高に嬉しい当りが!!
ハッキリ言ってこの最後のニジマスちゃんが私にとっては一番最高であった、
今日はもう終わりだなと思っていたところでもう1匹、しかもあんな釣り方で釣れるとは
思ってもみなかったからである。
( 当日最後の貴重な釣果でした )
そして、時計を見ると調度午後4時頃であり納竿する事に・・・
当日は寒い寒い一日ではありましたが、最終的には6匹釣り上げる事ができて
結局は満足な1日で終わり、良かったのだが
もう雪の中の釣行は御免である・・・