雪消三角草

エピローグ その2


「ああ、オレも見た」
「幽助も?」
蔵馬は幽助に電話していた。
「あいつが町中を歩いていたからその時見たんだ。声かけてやろうと思ったけど驚いてそれどころじゃなかった」
「オレも驚きましたよ…。一体何があったんでしょう?」
「って聞いたらよ、『さあな』って言うだけで、何も言わねーで去って行きやがった」
少し間を置いてからまた幽助がしゃべった。
「あのさ、やっぱり雪菜にも報告した方がいいよな」
「でももう知っていたみたいですよ」
「え!?」
幽助は少し驚いたが、すぐに納得したように
「まあ……そうでもおかしくはねえよな。あのコは飛影の…妹なんだから」
と言った。
「電話で言ったのか?」
「ええ。教えたら、『はい、そうですね』って…。言ってすぐに切られてしまいました」
「はあ〜〜。よくわかんねーわオレは」
幽助は何か考えていたようだった。
「蔵馬はなんで知ったんだ?」
「幽助と同じですよ。道中でばったり会って、うるさく質問攻めにしたら、『他人のことをとやかく言う暇があるなら 自分のことでも考えておけ』と言われました」
「飛影らしいな。どーやら、何を言っても、何があったかなんて飛影は絶対言わないだろうな」
「でしょうね。でも」
すると蔵馬は悟ったかのようにつぶやいた。
「聞く必要がないんじゃないですか?」
「え?」
「いえ。じゃあちょっと失礼しますね。会社のことがあるのででは」
すると、あっさり蔵馬は電話を切った。
「え?ちょっとまてよコラ!」
と切れた電話に言っても、電話は答えないし無駄なことであった。
「蔵馬……、これが、『聞いても答えない』ってことだってェのか!?」
電話は何も答えなかった。
幽助はため息をつくと、受話器を置いて腕をのばし、それから一目散に、日の光の差す外に飛び出していった。






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