間違いだらけのノーベル平和賞 :2005.12.18
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フォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」12月号に、今回のタイトルと
した「間違いだらけのノーベル平和賞」という文章が掲載されている。1ページ
だけの短い記事だが、非常に重要な指摘が含まれているので、紹介したい。
なお、筆者アキバ・オール氏はベルリン生まれのユダヤ人だそうだ。

2005年のノーベル平和賞は、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務
局長に贈られた。受賞理由は「核の軍事利用を防ぎ、できる限り安全な方法で
平和理由されることに尽力した」となっている。
筆者はイスラエルとイラクへの対応の違いから、エルバラダイを批判している。
イスラエルの事実を最初に見ておく。
 @イスラエルは中東に最初に核兵器を持ち込んだ
 Aイスラエルは約40年間にわたってNPT(核拡散防止条約)への署名を拒否
 Bディモナ核施設にIAEAの査察が入ることを認めていない
この事実を踏まえて本気で中東の核兵器競争を止めようとするなら、イスラエル
に政治的圧力をかけ、NPTへの署名をさせIAEAの査察を受け入れさせなくては
いけない。これを拒否するなら、米国やIAEAはイラクと同じ措置をイスラエルに
対しても取らなくてはならない。
イスラエルの核に対して、エルバラダイは何をしたか。イスラエルがNPTへの署名
を拒んでいることに対し、何を発言したか。イスラエルの核の存在を世界に知らし
めたイスラエルのバヌヌ氏が18年間収監されたことについて何を述べたか。
IAEAはイスラエルに対し、イラクに適用した基準とまったく違った基準を適用して
きた。こんなことをいつまで続けるのか。
米国やIAEA、ノーベル賞委員会は、イスラエルが核兵器を所有し製造を続けてい
るからNPTへの署名やIAEAの査察を受け入れないことを十分承知している。それ
でもイスラエルの核政策に異を唱えることは頑としてしないのだ。
それでいて、エルバラダイはノーベル平和賞を受賞した。アインシュタインやラッセル
達ならこんな二重基準を非難しただろう。何とも不公平ではないか。

このような不公平が目立ちすぎている。世界中がこのことを知りながら不公平を改
めようとしていない。日本が公平な世界にするための主張をすることはできないの
だろうか。私は、それができないなら常任理事国入りを目指す意味はまったくないと
思う。