「前夜」in関西 《反植民地主義》セミナー参加 :2005.1.23
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昨年10月に季刊「前夜」が創刊された。「前夜」の第1ページには次のように書かれている。
「破局前夜が新生前夜となる、
戦争前夜が解放前夜となる、
その希な望みを、私たちは棄てない。」
「前夜」はNPOによって発行されており、活動の中心は季刊誌発行とセミナー実施だそうだ。
今回参加した講演はその活動の一環である。
【日時】 1月22日(土)19:00〜21:50
【場所】 高槻市総合市民交流センター5階視聴覚室
【講師】 徐京植(ソ・キョンシク)氏 (作家/前夜編集委員)
【参加者数】 80人くらい?
最初に編集長の岡本有佳氏があいさつをした。上に書いた活動方針を説明されたあと、
創刊号は8千部売れ予想を上まわる部数だが、第2号以降が重要だと述べられた。私が
「前夜」創刊号と第2号を入手したのは1週間前で、まだわずかしか目を通していないが、内
容が豊富で非常に充実しているように感じている。それが8千部で予想を上回るレベルだと
いうことに出版を継続していくことの厳しさを知った。
次に、徐京植(ソ・キョンシク)氏が、「虐殺とアート」というテーマで話をされた。(徐氏は在日
朝鮮人で京都生まれ、京都育ち)
・本題に入る前に、「前夜」を始めるに当たって自分自身が乗り越えなくてはいけなかった
ことを2つ挙げた。一つは自分が在日朝鮮人だということ。今まで朝鮮人としての課題が
第一であり、日本社会のことは日本人が行動すべきだと考えていた。2つめは物書きと
して自分自身で作品を出したいという願望が強いこと。しかし、そういうことを言っていられ
ない状況になったため、「前夜」を始めた。
「前夜」はどこかにある抵抗点を守るというより、抵抗拠点を作り出すことに重きを置いて
いる。
・仲間の高橋哲哉が90年代中ごろから戦い続けている姿を見て、もし彼がいなければどう
なっていただろうと考えることがある。これは彼を絶対視する意味ではなく、このような人
がひとりいることで、望みを見ることができるという意味においてである。
・ユダヤ人の音楽家アルノルト・シェーンベルグと画家のカンディンスキーの往復書簡「出会
い」(みすず書房)が出版されている。第1次大戦後に反ユダヤ主義が強まってきた時に
シェーンベルグは危機感を強めるが、カンディンスキーはそんな勢力が権力を握ることは
あるはずがないと言い切る。シェーンベルグは最後に「誰も見ない薄暗い路地の小さな
告示板に自分の良心を掲げていたところで何になるのか。」という言葉を送る。
(その後、2人とも亡命することになった。)
今回集まった方々と、このシェーンベルグの言葉を共有したい。
本題の「虐殺とアート」については、「前夜」の紹介として記載予定。