軍縮 :2006.5.20
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[軍縮問題入門(新版):黒沢満 より]

1.核兵器削減
 
@対弾道ミサイル(ABM)条約・・米ソ間の条約。1972年署名、発効。2002年失効
  ・防御を制限して両国とも第2撃に対して脆弱にすることにより、第1撃の核攻撃の
   動機を減少させるという発想
  ・2001年ブッシュ大統領がABM条約からの脱退を発表。2002年に失効した。
   米国がミサイル防衛を進めるため。・・・米国は第1撃を使えることに繋がる
 
ASALTT暫定協定(米ソ)・・1972年署名、発効.。5年間のみ有効
  ・ICBMとSLBMの現状凍結
    ICBM 米国1054 ソ連1618に制限
    SLBM 米国710 ソ連950に制限
      *ICBM:大陸間弾道ミサイル(5500km以上の射程距離
      *SLBM:潜水艦発射弾道ミサイル(600km以上の射程距離)
 
BSALTU条約(米ソ)・・1979年署名、ソ連のアフガン侵攻により批准されず
  ・ICBM発射基、SLBM発射基、重爆撃機、空対地弾道ミサイルを2400に制限
  ・戦略兵器を包括的に規制の対象にし、両国に平等の規制を適用している。
   しかし、現状より高いところに上限が設定されており、増強を認めている。
  ・署名はされたが、ソ連のアフガン侵攻により批准されず、正式に発効されるこ
   とはなかった。また、Aの暫定協定も5年の有効期間の後、1977年に失効した。
 
C中距離核戦力(INF)条約・・1987年署名。翌年発効。完全に履行され
  ・中距離核の射程距離は1000〜5500kmであり、西欧とソ連の戦域での核戦力
   を意味する。
  ・1981年に交渉が開始されたが、主張が大きく異なり交渉は中断。
   ゴルバチョフの登場によりソ連の戦略思考が変化し、実質的交渉になる。
  ・地上発射の中距離ミサイル(1000〜5500キロ)と準中距離ミサイル(500〜1000キロ)が
   対象となり、ミサイルと発射基、支援構造物を廃止。
   実際に廃止されるミサイルは、米国866、ソ連1752
  ・この条約は完全に履行され、条約発効から3年で全てのミサイルシステムが廃棄
   された。検証手段として現地査察も導入
 
DSTARTT(戦略兵器削減条約)・・1991年署名、1994年発効
  ・戦略運搬手段(ICBM、SLBM、重爆撃機)を7年間で1600に削減
    署名時の保有数は、米国2246、ソ連2500
  ・弾頭数を6000に削減・・米国43%削減、ソ連36%削減
  ・1991年に署名。ソ連崩壊により戦略核保有が、ロシア以外にウクライナ、カザフス
   タン、ベラルーシにも存在。このため、旧ソ連4国と米国での条約が1992年に署名。
   1994年に発効。
 
ESTARTU・・1993年署名、しかし発効せず
  ・2003年までに弾頭数を3000〜3500に削減
  ・1997年の首脳会談で、STARTUが批准されたら弾道数を2000〜2500に削減する
   STARTV交渉を開始することを合意
  ・1996年米国批准、2000年ロシア批准(関連文書の米国の批准を発効の条件とした)
   ブッシュ政権がSTARTプロセスを放棄したため、STARTUは発効しなかった。
 
FSORT(戦略攻撃力削減条約)・・2002年署名、発効
  ・2012年までに実戦配備の戦略核弾頭を1700〜2200に削減
   削減方法、削減された核弾頭の扱い、ICBM等運搬手段の規定はなし
  ・STARTTが効力を持ち続けることを確認。ただし2009年に失効の可能性有り。

2.核兵器の不拡散

 
@核不拡散条約(NPT)・・1968年署名、1970年発効
  ・条約の基本的な大前提は、核兵器国と非核兵器国の区分
   核兵器国は1967年1月1日以前に核兵器を製造し爆発させた国と規定している。
   米国、ロシア、英国、フランス、中国が該当し、その他は非核兵器国
  ・核兵器国は核兵器を移譲しない。非核兵器国は核兵器を受領しない。
  ・非核兵器国は、核兵器を製造しない。
   非核兵器国は原子力の平和利用に関して、IAEA(国際原子力機関)の保障措置を
   受けなくてはならない。
  ・核軍縮は義務化されていない。核軍縮の誠実な交渉の義務を規定。
  ・核兵器国は非核兵器国に対し核兵器を使用してはならないとする「消極的安全保障」
   を与えるべきとの主張は当初からあり、米国、英国、ロシア、フランスが条件付き政治
   的宣言として、中国が無条件の政治的宣言として消極的安全保障を与えている。
  ・条約採択時に、核攻撃の犠牲となった非核兵器国には国連を通じた援助を与えると
   いう「積極的安全保障」が与えられている。

 A再検討会議(1995年)
  ・無期限延長を決定 
    条約発効から25年後に会議を開催し有効期限を決定することになっていた。
 B再検討会議(2000年) ・・・将来とるべき措置について合意
  ・
5核兵器国との交渉で、「核兵器を廃絶するという明確な約束」を引き出した。
  ・中心的な役割を果たしたのは新アジェンダ連合(ブラジル、エジプト、アイルランド、
   メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ、スウエーデン)

 C再検討会議(2005年) ・・・失敗
  ・米国が以前の再検討会議での合意を効果を持たないと主張。

3.核実験の禁止
 @部分的核実験禁止条約(PTBT)・・・1963年 米英ソが署名、発効
  ・大気圏、宇宙空間、水中での核爆発実験を禁止
   (地下核実験は除外)
  ・1973年フランスが南太平洋で実施予定だった大気中での核実験に対し、オーストラリア
   とニュージーランドが国際司法裁判所(ICJ)に提訴。ICJは実験の一時停止を命じ、
   結局フランスは実験を中止した。

 
A包括的核実験禁止条約(CTBT)・・・1996年国連総会で採択。しかし、未発効
  ・核爆発を伴うあらゆる実験を禁止
  ・発効条件:一定レベル以上の原子力関連施設を有する44ヶ国の批准が必要。
          (事実上、44カ国に拒否権を認めている)
  ・44ヶ国中、署名41ヶ国、批准は33ヶ国
   インド、パキスタンが未署名。中国、米国、イラン、イスラエルは未批准

4.非核兵器地帯の設置
  [非核兵器地帯の概念]
   ある地域の複数の国家が条約を締結し、その地域での核兵器の生産や取得、他国に
   よる核兵器の配備を禁止することを約束
 
@ラテンアメリカ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)・・・1967年署名、地域33ヶ国全部批准
  ・きっかけは、1962年のキューバ危機
  ・地域外の米英仏蘭が非核の地位を維持することも定めている。4ヶ国も批准
  ・核兵器国が条約締約国に対し、核兵器の使用、威嚇を行わないという消極的安全保障を
   約束。1979年までに核兵器国が批准済み

 A南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)・・・1985年署名、翌年発効
  ・きっかけは、フランスの南太平洋での核実験

5.化学兵器の禁止

6.生物兵器の禁止

7.大量破壊兵器の不拡散

8.通常兵器の規制と禁止

9.南極・宇宙・海底での規制