相続税 :2011.2.27
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1.相続税の課税方式
 ・大きく2つに分類される。
   遺産課税方式・・・遺産自体に課税
   遺産取得課税方式・・・各相続人の取得した財産について課税
 ・日本は、遺産取得課税方式に遺産課税的要素を取り入れたユニークな税制になっている。
 ・米国は前者、ドイツ、フランスは後者の税方式

2.相続税の課税根拠
 ・富の集中防止、再配分
 ・所得税の清算 ・・・優遇税制や租税回避行為を死亡時に改めて清算するという考え方
 ・老後扶養の社会化に対する還元 ・・・日本独自
   被相続人が生涯にわたり国・自治体から受けた給付に対応する負担を、死亡時に
   相続税として社会に還元・清算することを求めるという考え方。

3.日本の相続税の計算
 ・次の5段階で計算
  @課税価格の合計額の計算
    遺産総額から非課税財産を除いたり、3年以内の贈与分を加えたりする。
  A課税遺産額の計算
    合計課税価格から基礎控除分を除く。
    基礎控除は5千万円+1千万円×法定相続人数
  B相続税の総額の計算
    課税遺産額を法定相続分で按分して税額を計算し、合計する。
  C各人の算出税額の計算
    相続税の合計を各人が取得した割合に応じて配分
  D各人の納付税額の計算
    各人の算出税額から税額控除等を行う。
 →上記のBを実際の取得財産で計算していない点が、遺産課税的要素を加えたことに
   なるようだ。
   
4.相続税の現状
 ・相続税の課税割合は死亡者100人に対して約4人。
  (1987年7.9人、2007年4.2人)
  一部の資産家のみを対象にした制度になっている。
 ・相続税負担率(相続税の課税価格に対する納付税額)は2009年で10.8%。
 ・相続税の税収は、1兆2710億円(2010年)。1993年は2兆9千億円
 ・世界的には相続税は減縮・廃止の方向
  ただし負担率は日本より高い
  2009年 :17.9%(米)、17.3%(英)、18.4%(ドイツ)

5.相続税の課題
 ・相続税の課税割合が4%程度にまで低下
 ・高齢者世代間の資産格差が次世代まで引き継がれる可能性が増している。
 ・老後の扶養を社会的に支えていることが、高齢者の資産の維持に寄与している。