「拉致をテロと認識するか」というアンケートの結果 :2003.11.21
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 10月4日に、このホームページの中で、「拉致をテロと認識するか」というアンケートに
対する違和感について書きました。
このアンケートは、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(通称:
救う会)と「拉致被害者家族連絡会」(通称:家族会)が共同で、衆議院議員立候補者に
対して出したもので、先の問いと、経済制裁についてが質問事項になっています。
 
 そして、衆議院選挙の際中に結果が公開され、各候補者の回答を、救う会のホーム
ページで見ることができます。(http://www.sukuukai.jp/)
「拉致をテロと認識するか」については、YES 93%,NO 0.3%でした。その他に印を
した人は6%くらいです。理由も記入できるようになっていて、一部を見ただけですが、
YESと書きながらも、テロという言葉と合わないと感じていた候補者がいたことがわかり
ます。
違和感を感じながらも、Noとは非常に答えづらい状況にある。そして、Noと答えた後の
状況を想像して、自分から先にYesと答えてしまう。これは、とても嫌な状態です。僕自身が
非常に弱い人間だからなおさらこの状態が嫌なのです。
この違和感をどの程度の人が感じているのか、僕はとても知りたいと思っています。
(なお、質問事項には違和感がありますが、回答をそのまま公開しているのは、良いことだ
と思います。)

 「救う会」「家族会」に関係して、選挙期間中にもう一つ事件が報道されました。新聞にも
載っていましたが、それは田中真紀子氏の発言に対してで、救う会の声明には、次のよう
に書いてあります。
  『昨日(10月31日)、田中真紀子元外相が佐渡において行った応援演説で、「 (被害
  者に)耳触りのいいことを言うべきではない」「(帰国した5人の拉致被害者 の)家族の
  国籍は国際法上は北朝鮮籍。外務省も知っているはず。(日本帰国は)難 しいとはっき
  り言うべき」という暴言を吐いたことが報道された。』
これに続けて、田中真紀子は、謝罪して引退しろ というように続いているのです。話の流れ
がわかりませんが、田中氏は外務省を悪く言う材料として、拉致被害者の家族を持ち出して
きたように聞こえますから、不用意な発言ではあると思います。また、国籍の話は間違って
いるのでしょう。
しかし、こういうことに非常に敏感に反応する姿勢は、北朝鮮に関する議論において発言を
しにくくする力を持ってしまいます。「救う会」「家族会」の意図がどういうものであれ、意向に
反する発言をしなくなりがちです。「家族会」も自分たちの影響力が大きくなっていること、
「家族会」に反対の意見を言いにくくなっていること、そして、それは、「救う会」や「家族会」
が批判している旧社会党的な体質に通じる点があることを意識しなくてはいけないのでは
ないかと思います。

上記のことは、別に「救う会」「家族会」に限ったことではなく、一般的に弱者と見られていた
人たちが、注目を集めるようになった段階で見られがちなことで、誰しも注意しておかなくて
はいけません。