イラク主権移譲 :2004.7.5
                                             戻る

   6月28日に、米英暫定占領当局(CPA)から、イラク暫定政府へと主権が
  移譲された。今後は05年1月頃の選挙により暫定国会を作り、その下で
  憲法制定し、さらに05年12月に新憲法下での国会議員選挙を経て、正式な
  政府選出というプロセスを踏むことになる。
   現段階での変化は、イラク人の政権がまがりなりにもできたことであり、
  そのこと自体は一歩前進だろう。しかし、当然のことながら、暫定政府に
  正当性はなく、米英による占領の延長線上に位置すると見られたならば
  武力による攻撃対象となりかねず、その攻撃をレジスタンスの一貫と見る
  こともできるだけに、それを多国籍軍の武力で抑えようとすると、今まで通り
  の構図と変わりがなくなる。日本の自衛隊は、このような情勢下で多国籍軍
  に入ることは避けなければならないし、抵抗運動を抑える立場に立つことも
  正しい選択ではない。
   僕は、まず、米英によるイラク攻撃を誤りと認め、CPAと暫定政府は全く
  違うものだと宣言するのが良いと考えているが、そのようになる可能性は
  今のところ無い。

   小泉内閣で自衛隊派兵について議論がないままに進められているが、これは
  日本国民の抵抗感が失われていることを反映している。しかし、毒ガスを持っている
  かもしれない、核実験施設があるかもしれないという理由で、ミサイルを打ち込んだり、
  占領したりするという際の武力と、ぎりぎりに追い込まれ用いざるを得ない防衛としての
  武力を同じと捉えてしまっているのではないか。両方のグレーゾーンがあるという
  理由で全てを同じと考えてしまっているのではないか。改めて考えてみるべきだ。