「ベーシックサービス」(井手英策さん 7/23りっけん塾講座) :2026.8.9
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7月23日にりっけん塾の連続講座3回目をWEB聴講。講師は慶應義塾大学教授の井手英策さん。
サブタイトル「政治はポピュリズムを超えられるか」
井手さんはとにかく怒っていた。先の衆院選で与野党ほぼ全ての政党が消費税減税を主張していたことを。税金を減らして社会サービスも少なくすることを主張する政党があってもいい。しかし、減税や負担軽減以外を主張する政党が無いとはどういうことかと。
当然矛先は中道改革連合に向かう。ベーシックサービスを綱領に書いているが、消費税減税とはなんだ。魂が入っていない。
いい加減、消費税の逆進性を言うのは辞めたらどうだ。消費税は高額商品を買う富裕層の方が納める金額は大きい。消費税を取って低所得者に回した方がはるかに低所得者層に有益だ。なぜそのことを正面から言わないのか。
こういうことを言ってくれる人がいるのに、なぜ減税を公約にしたのか。いっぱいいたはずなのに。それはみんなで公約を考えてこなかったからだと思う。選挙直前に小手先で流れに乗っかろうとするからこんなことになる。中道になったから負けたわけじゃない。SNSのせいでもない。そうでなくても惨敗していただろう。僕ですら投票するのをやめようかと思ったくらいなのだから。
今は少し違う動きが出てきているような感じがしているが。
【概要】
[平成の31年間で起きたこと]
・共稼ぎ世帯60%増加、しかし、世帯収入のピークは1990年代後半
・一人当たりの所得は世界4位から26位へ。現在は38位。アメリカの4割以下
・企業時価総額トップ50社のうち、日本企業は32社から1社へ
→先進国から発展途上国へ
[自己責任社会ニッポン]
社会支出の対GDP比を他国と比較すると、
・現役世代の社会保障が少なすぎる。
・しかし、高齢者がもらいすぎなのではない。(高齢化1位なのだから)
→運さえ悪ければ、すべての人たちに将来不安が直撃する社会構造
[生活防衛に必死な人々]
「それは政府の責任ではない」と思う人の割合
・「病人が病院に行けるようにする」1位/35か国
・「高齢者の生活を支援する」1位/35か国
・「失業者の暮らしを維持する」2位/35か国
等々。井手氏は分断社会と命名。他者への思いがなくなる。
弱者に配慮しない。格差是正という言葉が通じない。
→このような社会を作ったのは誰か・・・それは私たちだ!
[犯人探しと袋叩きの政治]
・歴史の分岐点だった1995年の「財政危機宣言」
・公共事業、特殊法人、公務員、議員、復興予算、薬価がターゲットに
→政府と政治家を明らかに信頼していない社会の誕生
(ISSP(国際社会調査プログラム)”Citizenship 2014”)
「たいていの場合、政治家は正しいことをしていると信頼してよい」→「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」との回答 34カ国中33位
(ISSP “Role of Government2016”)
「あなたは日本の政府を信頼していますか?」→「とても信頼している」「まあ信頼している」との回答 35カ国中28位
[寝た子を起こした?]
・参政党の議席数:2025年参議院1議席→15議席。2026年衆議院3議席→15議席
・社会は右傾化していなかった。袋叩きの対象が変わっただけ。
「治安・秩序が乱れることへの不安」減少してきていたが、2025年急増
「中国人の増加に対する意識」変化は少なかったが、2025年に否定が急増
[日本におけるポピュリズム]
日本のポピュリズムにおける<三反主義>
• 経済:反緊縮主義 →バラマキの先行・借金大国化
• 社会:反多元主義 →分断社会・排外主義化
• 政治:反既得権主義 →政治・政府不信
→ 日本では以上の傾向がきわめて深刻な状況まで来ていることを認識する必要がある
(=右派ポピュリズムへの急接近とその伸長の可能性)
→ この危機的な状況のなかでバラマキを競いあった日本の政治。どの政党も減税しか言わない。
[1928年 ペール・A・ハンソン(スウェーデン)の言葉]
スウェーデン社会がよき市民の家となるためには、階級差が取り除かれ、社会的配慮が発展し、経済的平準化が行われ、働く人びとが経済の管理にも参与できるようにされなければならない。民主主義は、社会的にも経済的にも実現され、適用されなければならない。
賃金政策、税制、社会化を通じて、富の偏在を是正すべきだ。例えば相続権を制限し、相続税を強化することによって、個人資産の一部を公共のものへ移していくことも、もはや検討すべき段階に来ているのではないか。
[財政は社会を映す鏡だ]
・2022年の国民負担率(対国民所得比)48.4%。米国36.4%、英国49.7%、ドイツ55.9%、フランス68.1%、スウェーデン55.5%。
・米国以外と比べると、特に高くはない。消費税の割合が少なく、個人所得税も少ない。法人税の割合が高い。
・個人の税が少ない。自分が払うのは嫌がる。
・社会保障は自分に戻ってくるという意識があり、受け入れられやすい。
・社会支出のGDP比を見ると、住宅、失業、労働がほとんどないレベル。
[中道改革連合の綱領]
・第2の柱:現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築
「持続可能な経済成長を実現し、弱者を生まない社会を築くために、誰もが必要な支援にアクセスできるよう、教育・医療・介護などのベーシックサービスを充実させ、現役世代の負担に配慮した、持続可能な社会保障を実現する。」
それなのに、消費税減税
[消費減税の何が問題か?]
・消費税5%減税した場合、15兆円の収入減少。235万までの収入層は還付7033円。768万円以上の層は19540円還付。収入が多い層ほど還付が多い。いい加減、消費税の逆進性を言うのを止めたらどうだ。
・食料品の税率ゼロで減収は5兆円。
[救済から権利へ]
ベーシックサービス
• 医療・介護・大学授業料などのベーシックサービスを全員に提供
• 給食費・学用品費・修学旅行費などの子どもの教育費も無料に
• 介護・幼保・看護の現場で働くエッセンシャルワーカーの給与を50万円上げる
品位ある最低保障
• 生活扶助・失業手当を3割増
• 住宅手当を低所得世帯に年間24万円
→ 仮に消費税ならあと5%強で実現=負担率は先進国の平均程度
→ 住宅手当で増税後も低所得層の年収は15万円以上増える
→ 富裕層を受益者にしても所得格差は是正される
[どんな社会を目指すのか]
• 消費税2%上げれば、介護と大学授業料の自己負担なし、低所得世帯15万円
• 給食費の無償化、乳幼児医療費助成、中学校の制服・・・地方から声が上がっている!
• 消費税0.25%上げれば、民生委員50万円、公立病院黒字化、ケアマネ50万円増
• 100まで生きても、子どもが3人いても、失業しても、安心な社会をつくる
• 不安がなくなれば、経済が成長し、税収は増える→将来に減税すればよい
→ 自己責任の社会か? 自他の幸福が調和した社会か?
[増税という名のブルーオーシャン]
・朝日新聞調査に見る消費増税の受け止め
(増税実施前調査2019年5月) 賛成39%、反対54%
(増税実施後調査2019年10月)納得している54%、納得していない40%
・JNN世論調査「少子化対策の税源として消費税率を上げることについて」
賛成22%、反対71%
・FNN世論調査「少子化対策のために国民の負担が増えても仕方ないと思うか」
増えても仕方ない48.0%、増やすべきでない48.9%
⇒消費税増税に賛成する人は2割はいる。
政党支持率(時事通信調査) 立憲1.1%、公明3%、中道改革1.7%という支持率の
現実を見るべきではないか。
まず、理解の得られるコアの層に訴えるべきではないか。
[原点にかえれ]
• 真の中道とは「足して二で割る」ではない
→ アリストテレス「臆病と無謀の中庸は勇敢」
→ 健全財政vs.バラマキ→応益負担=責任と希望を分かちあう社会
→ 弱者救済vs.自己責任→相互扶助=自他の喜びが調和する社会
→ 経済成長vs.所得分配→生活保障=成長と格差是正を結果に変える社会
→ 一人ひとりの就労、活動、実践の前提条件を整えるという視点も極めて大事
◎答えが出せないときは、困っている方に付く。