「激動する国際秩序における日本外交戦略」(猿田佐世さん 5/21りっけん塾講座) :2026.5.23
戻る
5月21日にりっけん塾の連続講座1回目をWEB聴講しました。講師は新外交イニシアティブ代表の猿田佐世さん。
『自由』という本の中でドイツ首相だったメルケルは次のように書いています。
『通商関係において特定の産品を特定の国に完全に依存するのを避けることを意味する「デリスキング」という概念が最近何かと話題になっているが、このデリスキングと経済関係の分断を意味する「デカップリング」とのあいだにはわずかなギャップしかない。』
日本が進めている経済安全保障が中国とのデカップリングに繋がり、中国から見た日本の重要性を下げることによって戦争の障壁を下げることになっていないか。猿田さんの話を聞いてこのことを一番強く感じました。
猿田さんは30分強の短い時間に、ものすごいスピードと勢いで話をされました。新外交イニシアティブというシンクタンクを15年前に一人で立ち上げたそうです。HPを見るといろんなテーマについて政策提言を出しています。最近では「六ヶ所再処理工場の妥当性を問い直す」(2026/4/15)という興味深い提言をまとめていました。
【概要】
・ポイントの一つ目は、ASEAN、欧州では米中のどちらか一方に付くのではないのが主流ということ。現時点でアメリカべったりというのは日本以外ではフィリピンくらい。
・2つ目は、外交で目指すべきは、戦争が起きないよう最大限の環境整備をすること。第一に各国間の信頼醸成、第二に各国の相互依存の促進。
・様々なレベルでの外交(マルチトラック外交)が重要。トラック1は政府。トラック2は元官僚、議員、地方政府、政党、政府の政策に影響力ある有識者。トラック3は市民社会、経済界、学界など。トラック2とトラック3で重要なのは「制度化」。担当者を置き、継続的・定例化された関係に。日常的にやりとりし、顔が見える関係に。情報公開が進み、緊急対応・危機対応も容易に。そして戦争することの機会費用が高くなる。「幅広いテーマ」での「重層的な」制度。
・トラック2・3での外交の形としては、政党・議員外交、地方自治体外交・姉妹都市外交、議員外交、留学・高校の修学旅行、各分野での交流(学者・医師・看護師・生協・弁護士・・・・)、経済界。
・例:ドイツの政党外交:社会民主党は世界120か国にオフィスがあり、党外交を与野党時いずれを問わず継続。⇒日本の政党もまずワシントンに事務所を設けるべき。
・3つ目は、中国との関係。中国にとって重要な国であることは、安保上も重要。
・中国とのマルチトラック外交の制度化。日本と383の姉妹都市。在中国の日系企業の拠点数は32,364(2024年10月1位。2位の米国は9639拠点)。中国によって日本は米国、韓国に次ぐ3番目の貿易相手国
・まとめ:最後まで外交を諦めてはいけない。