天皇陛下への手紙問題 :2013.11.1
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昨日の園遊会で山本太郎参議院議員が天皇陛下に手紙を渡したことが
問題になっている。手紙の中身は公開されていないが、手紙を渡した理由
について山本議員は「原発事故による子どもたちの被曝や事故収束作業員
の劣悪な労働環境の現状を伝えたかった」と記者団に伝えている。
日本国憲法では天皇を日本国の象徴とし、政治と距離を置いている。
この観点から、国会議員が天皇に手紙を渡すという行為は天皇を政治的に
動かそうという意図を持っていると受け取られ、「天皇の政治利用」との言葉
で批判されている。
ただ、いくら国会議員であっても手紙一つで天皇を政治的に動かすことが
できるとは思えない。山本氏の行動を批判するというよりは、天皇の政治利
用と受け取られる恐れがあるので控えるべきと注意する程度で済む話だ。
しかし、自民党を始め各党からの批判は異常とも言えるほど強い。
NHKニュースのHPによると、今日参議院議院運営委員会の理事会が開かれ、
山本議員の行動を、「『天皇の政治利用』に当たり、国会議員としてあるまじき
行為で、参議院の品位をおとしめる」という認識で一致し、具体的な処分につ
いて、来週、協議することになったとのことだ。
「政治利用に当たり国会議員としてあるまじき行為」とはかなり強い言葉だが
内容としてはまだ理解できる。しかし、次の「参議院の品位をおとしめる」とは
一体なんだろうか。
どうやら政治利用うんぬんよりも、手紙を渡すという行為自体を批判していて
そのことが「品位をおとしめている」と感じているらしい。
天皇陛下は戦前の「神」ではない。園遊会は人間として人びとに直接話しかける
ことを主眼に置いているはずだ。今回の件を1901年に田中正造が足尾鉱毒事
件に関する直訴を明治天皇にしたことと関連付ける議員がいるが、時代錯誤も
はなはだしい。
山本氏はパフォーマンスか批判されることによる話題作りのためにやったかも
しれない。でも手紙を渡しただけで議会が議員辞職を求めるなどということはあっ
てはならない。処罰も不適切だ。もし処分されたなら「天皇に関することに触れる
と危険」という意識を国民に根付かせることになり、天皇家に対して暗いイメージを
抱くようになってしまう。
議会は将来に禍根を残すようなことをすべきではない。