消費税に関する私の考え :2010.7.1
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 菅首相が参議院選挙前に消費税10%を口にしたことから、参議院選挙の
 争点の一つが消費税になっている。
 ただ、民主党のマニフェストには明記されていないので、中途半端な状態に
 なっている。
 「消費税の議論を始めることが公約」というのはおかしい。

 ただ、消費税の議論をすることが重要であることは確かだ。参議院選挙の
 争点とは別に、消費税について私なりに考えてみたい。

 消費税は景気に左右されにくく、1%増で2.5兆円の歳入増になると一般
 的に言われている。現在5%の消費税を10%に上げると、12.5兆円の
 歳入増となる。
 現在の財政赤字は44兆円ほどだから、5%上げてもそれだけで財政を
 立て直すことはできない。
 しかし、もし、税率を20%にするなら、増加する15%分は40兆円近くに
 なるので、財政立て直しの切り札になる。
 だから、税率を何%にするかという議論は非常に重要で、その割合によって
 消費税の役割自体も変わってくる。

 ただし、いきなり消費税を20%にするというのは、国民の理解を得られない
 できないし、変化が大きすぎる。将来像を明確にしながら、当面の目安は
 やはり10%になるように思う。

 さて、消費税5%アップを国民が受け入れるのは無理だろうか。
 家族で生活している場合の1年間の消費を400万円と仮定する。すると、
 5%消費税がアップすると支出は20万円増えることになる。
 最近数年の収入の減少額に比べるとむしろ小さい額なのだが、収入が減って
 いる上に20万円税金が上がるとなると、やはり苦しい。決して出せないお金
 ではないとは思うが、やはり20万円は大きい。

 そこで、家族の収入を増やす政策を同時に取るべきだと私は考える。
 女性でパート勤務の方は非常に多い。その中でも会社務めの夫を持ってパート
 勤務している女性は、100万円とか130万円とかの壁があるために、もっと働く
 意志を持ちながら、仕事時間を抑えている人が多い。
 このため家族の収入は抑えられてしまっている。
 
 私の家内も現在は年間130万円以下に収入を抑えている。これを越えると、
 健康保険料や年金保険料を払わなくてはならず大幅な収入減少になるからだ。
 そこで、一つの方策として、130万円の上限を150万まで上げるという策が
 考えられる。パート勤務の人が自分で仕事をして収入を増やして、家族全体の
 消費税分を稼ぐという考えだ。

 現在、会社勤めをしている夫を持っていて130万円から150万円の収入を得て
 いる人は非常に少ないので、その分の健康保険料や年金保険料はほとんど減らない。
 つまり、国がお金を出すわけではなく、自分たちで実質の収入が減った分を稼ぐ
 のだ。

 これが私の考える一つの方策だ。
 ただ、現在でもサラリーマンを夫に持つ主婦が健康保険料も年金保険料も払わな
 くて良いことに批判は根強い。さらに主婦を優遇することは、対象外の人は不公平な
 思いを強くするだろう。
 また、現行の制度ですら、女性を守っているようで女性の社会進出を妨げている
 という見方もあろう。

 ではどうするか。
 上記の考えの基本は、働く余裕があるのに働く時間を抑えている人を活用しようと
 いうことだ。
 この考えを更に進めると、100万円とか130万円の壁をなくすことになる。
 今は、たくさん働くと収入が増えないどころか大幅に減ってしまうという誤った制度に
 なっている。
 これを働く時間が多くなればそれだけ収入が増えるように制度変更すべきだ。
 これを実現するには、健康保険料や年金保険料は全員が支払うようにすれば良い。
 そうすれば実収入は仕事をたくさんするほど増えるので、消費税が上がって少なく
 なった収入分を仕事時間を長くすることで補える。現在の主婦のパート勤務であれば
 時間の延長には耐えられるのではないか。
 この案には働いていない主婦からの反対が予想される。しかし、今の制度が古くて
 時代に合っていないのだ。
 皆が対等な社会につなげる意味でも、かつ、消費税アップを国民の力で跳ね返す
 ためにも必要だと思う。

 ここまで、会社務めの夫とパート勤務の妻という家庭を対象に考えた。
 一人暮らしの方には当てはまらないし、夫婦でフルタイム勤務の場合も当てはまらない。
 まだまだ考えなくてはいけないことはたくさんある。

 それでも、仕事をする余裕を持った人が働くことで消費税アップによる実収入の減少を
 補っていく、という考えを入れた制度にしていくことが国民生活の向上に繋がっていく
 はずだ。
 消費税論議を、その他の制度と結びつけていくことで、もっといろんな発想が出てくる
 のではないか。その意味で、管首相の「強い経済、強い財政、強い社会保障」という
 考えは大きく発展していく可能性があるように思う。